猫が騒ぐ日のいい夫婦の日カイオエです。厄災との戦いが終わったいつかの未来のお話。ふたりは結婚して子どもがいます。女体化ではありませんが、オーエンが生みました。カインは領地を持っています。名前のあるモブが出ます。
いずれ出したいカイオエが定住する話の一部にするかもしれないので11/22限定です。
「あの……っ! 父さまと母さまが、喧嘩して……!」
止めるに止められず、助けを求めて駆け込んだ使用人部屋では、ぼくの訴えを聞いたアリッサとレナが顔を見合わせた。
「あら。まぁ」
暢気に呟いたレナが頬に手を当てて小首を傾げる。隣に座るアリッサのほうはと言えば、顔色ひとつ変えずに紅茶を啜った。
「おや、それはお珍しいことで」
返す言葉にも動揺はない。だから早くと急かすぼくに、アリッサはのんびりとカップを差し出した。
「本当に若さまの目のあるところで夫婦喧嘩なんて、お珍しいことですね。普段は一応若さまと姫さまの目を憚ってらっしゃいますのに……お茶を一杯いかがですか、若さま。少し落ち着いてくださいませ」
「いやあの、ですね…っ」
「……若」
空になったティーカップを置いて、アリッサが神妙な顔で向き直った。
「夫婦喧嘩と申すものには、二種類あるのをご存知でしょうか」
「今は講釈を聞くよりふたりを止めに行くべきじゃないかと。屋敷が壊れてしまいます」
「よいですか。ひとつは真剣な諍い。お互いのこころの根本に端を発するもので、深刻な意見の相違です。こちらは周りの者が上手く繕って双方を宥めなければ、あるいは夫婦別れにもなり得るもの」
もうひとつは、とベテランのメイドでぼくと妹と魔法の指南役のひとりでもある魔女は淡々と続ける。
「仲の良すぎる夫婦が、近頃平穏に過ぎてつまらない、妙味に乏しいと刺激を求めて起こすものです。こちらはむしろ、口を挟めば巻き込まれて側杖を食らい、周囲が精神を疲労する羽目になる類のものですよ……さて」
アリッサが淹れ直した茶を口に運び、幾分同情を含む眼差しとなる。
「御父君と御母君の夫婦喧嘩は、どちらと思われますか?」
「……明らかに後者ですね」
「御名答。さすが聡明でいらっしゃる。チューターのエルヴィスが喜ぶでしょう」
言いながら今度はミルクを注いでシュガーを落とした琥珀色の液体をくるくるかき回してミルクティーにしてから一口啜り、ふぅ、と呆れつつのひと息を吐いた。「ストレート以外は紅茶とは認めない」を座右の銘にしている彼女にしては稀有な事態だ。母とは異なる嗜好を持つアリッサは甘味をこよなく愛してはいない。
「この時期です。おおかたオーエンさまが寒い寒いとお嘆きになり、御領主が新しく暖かい場所に別荘を作ってやるとおっしゃり、ひとりで行くのはいやだ、子どもたちもいっしょに連れて行けばいいだろう、そういう問題じゃない、俺が今領府を空けるわけにはいかない、少しくらいならいいでしょう、馬鹿を言うな大人しく行ってくればいいじゃないか風邪を引いたらどうする、素直にひとりでさびしいと思って言ってるのに騎士さまはぼくと仕事どっちが大事なの、比べられるか、なにそれぼくをを厄介払いする気? ……と斯様な乳繰り合いの」
「アリッサ。言葉が少々猥雑ですよ」
年若いレナが年長者のような口ぶりで窘めた。
「おっと、失礼いたしました。兎にも角にも斯様な会話の果ての夫婦喧嘩でございましょう。案じる必要など欠片もございません」
「……アリッサさん、リビングを見ていたんですか?」
旅の詩人のように淀みなくすらすらとほぼ一言一句違わずに諳んじたアリッサの台詞に、唖然と聞き返すが彼女は遠い目になるばかりだ。
「毎年恒例ともなれば、会話の内容など察するのは容易いこと」
ぼくは初めて目にする盛大な喧嘩だったのだが、アリッサにしてみれば見慣れたものであるらしい。こちらも負けず劣らず見慣れているのか、レナもさして気にした様子はなかった。だがぼくの顔を見て首を傾げる。
「あら、そう言えば姫さまはどうなさいましたの?」
「あ、妹はうちに残って…」
止めようとあたふたしている。アリッサが茶器を置いて腰を上げた。
「あらまあ、大変。姫さまもこちらにいらっしゃっていれば、御領主さまと奥方さまの喧嘩は放っていくこともできましょうが、姫さまは今頃胸を痛めてらっしゃいましょう。私、お迎えに行ってきますね」
「ナイトレイ卿と奥方さまをお止めする必要はないでしょう。姫さまだけこちらにいらしていただくように」
「はい」
ぱたぱたと軽やかなシューズの音を立ててアリッサが出て行くのをぼくは二の句も継げずに見送った。
「若」
「あ、はい」
「ご心配はわかりますが、この世には杞憂というものがございます」
「……はい」
「御領主と奥方さまの夫婦喧嘩は、その最たるもの。どうぞ、あまりお気に病まず、放っておくことをお勧めいたします」
「……うん」
実に賢明な忠告なのだろうが、普段の仲の睦まじい両親を見ているだけに、喧嘩そのものが不安を煽る。素直に頷いたものの、やはり戻って止めるべきかと考えているところに、アリッサに連れられてぼくの妹姫がやってきた。
「兄さま……」
「……まだ、してる?」
「うん……」
「大丈夫ですよ、姫さま。一刻ほどこちらでお過ごしくださいな。喧嘩というのは燃え草がなくなれば鎮火します。しばらくしてお戻りになれば、仲直りしてらっしゃいますよ」
「……ほんとう?」
「はい」
にこりとアリッサが頷く。茶を淹れ、姫の前にも差し出した。まだ落ち着かないぼくたちを見て、彼女は頬に手を添えた。
「それにしても、毎年恒例ではありますけど、一度本当に奥方さまが避寒にお出かけになってはどうでしょうね? 試しに家を借りて」
「……その前にまた盛大な大喧嘩が勃発しかねません。レナにはわかります」
「半月か一月か、その程度と期間を区切ってのことですよ。姫さまと、できれば若さまもごいっしょに。それに私もお供をして参れば、及ばずながら多少は気も紛れましょう」
それに、とにこやかにアリッサが続ける。
「一度いらしてみれば、二度とは喧嘩の種にはなりませんでしょうから」
レナが眉を寄せた。
「どういうこと?」
「私の見立てではありますが」
ふふふ、とアリッサが少女のように笑ってミルクティーを一口飲む。
「三日もすれば、御領主さまは奥方さまのいらっしゃらない家に帰るのが億劫になり、政務所に寝泊まりするようになりましょう。短時間ならどこでもお休みになられますし。そして十日もすれば、耐え切れなくなって具合を崩していないか見に行くとでも口実を付けて別邸に向かわれますね。そこでまた爆発的な夫婦喧嘩を起こし、仲直りをして三日ほど滞在した後に、奥方さまを連れてお戻りになりましょう」
「……荒療治ですね」
顔を顰めはするが、レナにも異論はないようだった。
「いかがです? 姫さまと若さまからも一度お言葉添えをしていただけませんか? ……ああ、私がこのように申したとは内緒にしてくださいませね」
狼狽える姫と顔を見合わせた。
「……本当に、そうなりますか?」
「領内での賭け事は禁じられていますからできませんけれど、もしも半月以上が過ぎても御領主がお迎えに行かないことがありましたら、私と料理人が腕によりをかけて姫さまと若さまと、それからオーエンさまをお慰めするためにご馳走を用意しましょう」
でもむしろ十日も持たないほうに賭けますわ、などとアリッサは唇で弧を描く。彼女が信用に足ることはわかっているのだが、なにしろぼくと姫にとっては初めて目にした派手な夫婦喧嘩だ。信じきれないながらも、悪いようにはならないから大丈夫というアリッサに従って、一度母上に遠出を勧めることにした。
ソファに寝転がったまま微動だにしない母さまに、私は困り切って台所を見た。助けを求めた乳母は鼻歌交じりに昼食の支度をしており、こちらに来てくれる様子はない。
「か、母さまー……」
そっと肩に手を置いてみるが、母さまは枕代わりのクッションを抱え込んだまま呻くばかりだ。
「あったかいお茶、淹れてきたら飲める?」
「…ありがとう……でも、今はいいや……おまえは優しいね。誰に似たんだか」
ぐずぐずと鼻を鳴らしてクッションに顔を押し付ける。
「……騎士さまが不足している……死にそう…」
「母さま、死なないでー!!」
「そうですよ、奥方さま。さあ、そろそろお昼にいたしましょう。起きてくださいな」
「アリッサがつめたい……」
それでもようやく半身を起こした。いつものきらめきに欠ける濁ったのこがね色の目が恨めしげに侍女を見るが、アリッサの方では気にする素振りもなかった。苦い笑顔を浮かべて昼食を並べる。
「まだこちらにおいでになってから六日目ですよ。我々魔法使いには瞬きにも満たぬ時間です。御領主さまが魔物討伐にお出かけのときとは比べものにならないでしょうに」
「だって……騎士さまは、うちにいるってわかってるのに」
自分のほうが家を空けているという状況が、馴染みがない分違和感が激しいらしい。私たちのおうちからは馬を駆けさせても半時あまりのところだ。母さまなら帰ろうと思えば一瞬で移動可能な距離が愚痴に拍車をかけるのかな。
「……ぼくもあの子といっしょに行けばよかった…」
兄さまも一度はこちらへ来てはいるのだが、今日は一旦家へ帰っている。サラダボウルを差し出しながらアリッサが口を挟んだ。
「それでは何のための避寒かわかりませんよ」
「うう……だってー…」
「お寂しいのはわかりますが、せっかく息抜きにいらしているのですから、体調を整えることに専念してくださいな」
「……はい」
「珍しく素直ですこと。こんなに弱っておいたわしい」
渋々フォークを手に取る。母さまの食事は、私とアリッサのものに比べれば随分少ない量になっているが、それでも食が進まないのか銀器の動きは遅い。
「母さま、もう少し食べて」
「そうですよ。せめてよそった分は召し上がってくださいね。どうしても無理であれば、残しても構いませんが……」
「うん、食べる…食べるけど」
「あのね、母さま。マドレーヌ作ったの。アリッサといっしょに。私が混ぜて型に入れたんだよ。お昼寝の後で、いっしょに食べよう?」
「ありがとう、ぼくのかわいい小さな姫君。うん、そうだね」
遅々とした進みだったが、それでもなんとか完食すると、アリッサに促されて横になった。
「姫さまも少しお休みくださいな」
「お片付けがまだあるでしょう?」
「大丈夫ですよ、私がいたしますから。それよりも、奥方さまが静かにおとなしくお休みになられるよう、見張っていてくださいませ」
にこやかにブランケットと空気みたいに軽い羽根布団を差し出してくる。その言い様はちょっとどうかとは思ったが、上掛けを持って母さまの隣に座った。ふわりと広げて、軽くしわを伸ばしてから細い脚に掛ける。白黒の市松模様は私も気に入っているものだ。目を動かし、布の盤を駆ける騎馬を見た母さまの顔に笑みが浮かんだ。
横たわった母さまに向けて私も目を細める。母さまは安堵にも似た吐息とともに目を伏せた。
「……きもちいい……おまえもおいで」
しばらくじっと見守るお仕事を頑張っていると、私にも睡魔が襲ってきた。あくびをレースの袖口で押し隠していたのだが、片付けを終えて戻ってきたアリッサにばっちり見られてしまった。私のしろがね色の長い髪を押さえていたバレッタをぱちんと外して微笑する。
「姫さまも横になってください。私がいますから」
「……うん。じゃあ、ちょっとだけね」
やわらかな声に促されるままに横になった。程よく水気を含んだ空気が暖炉の熱に揺らされて心地よい。少しだけ、と思いながら目を閉じれば、すぐに全身を微睡みが覆っていくのを感じた。
ただいま、という声が遠くから聞こえた。小さな騎士が帰ってきたのだと、重い瞼をこじ開ければ西日が差し込んでいる。寝起きで泥のように重い身体を起こした。
「あ、母上、起きた?」
覗き込んできた愛息に、笑みを返す。
「うん、おはよ……おかえり。帰ってきたんだねぇ。すっかり寝ちゃってたよ」
「うん。ただいま…あのね、母上、それから」
ゆっくりと体を伸ばすぼくを見て、一足早く目覚めていたらしい姫が含み笑う。どうしたのかと問おうとしたところへ、出迎えに行っていた侍女が戻ってきた。連れてきたのは、もうひとり。
「……騎士さま?」
「ただいま。久しぶりだ……」
実に数日ぶりに目にする姿に、ぼくは目を丸くした。
「どうしたわけ? なにかあった?」
「……別に」
唸るように答えてどさりと座る。苦笑気味の息子と、嬉しそうに笑み零す姫を見遣ってなぜか渋い顔をした。
「お茶をどうぞ、御領主さま。喉が渇いたでしょう。供も連れずに単身駆けて来るなんて。箒で来ればよかったのに。奥方さまは白湯を。それを飲まれましたら、お茶を差し上げましょう」
「あ、うん」
差し出されたカップからぬるい白湯をゆっくり飲む。だるさが抜けていくようだった。
「……魔法を使えるのを忘れていた……」
「ほんとに、どうかしたの?」
「なんでもないよ……うちのちび助が」
「うん?」
「……おまえの」
「ぼくの?」
「……具合が、あんまり良くないとか言うから、な」
ぼくの目から鱗が落ちた。
「えぇっと……心配、して、きてくれた、とか?」
「……別にそんなんじゃないが、様子がどんなだかを見に来ただけだ」
ぼくを見て、ちらりと子たちとアリッサを見て、罰が悪そうに唸って額髪を掻き上げる。ゆっくりひとつ息を吐き出して、ようやく訊ねてきた。
「……具合、どんなだ」
じわりと顔が熱くなる。
「……ぜんぜん、良くなんてない……夜はちゃんと眠れないし、朝起きてもすっきりしないし、昼寝したってだるくなるばっかりで、寝るのは飽きたけど動けないし、やることもそんなにないし、ごはんもおいしくないし」
「あら、失礼ですこと」
ぽつりと挟み込まれた笑い交じりの苦言に、らしくもなく慌てて顔を向ける。どうも調子が狂いっぱなしだ。
「ちが…おまえの料理がまずいんじゃなくて!」
「はいはい、承知しております。旦那さまがいらっしゃらないと、なんにもおいしくないんですよね」
「……うぅ…」
明らかなからかい言葉に唇を尖らせる。だがそれ以上拗ねる気にもなれず、騎士さまの外套を掴んだ。寄りかかり、頭を押し当てる。堪えていた恨み言がひとりでにぼろぼろと口から溢れ出した。
「……もうやだ。こっちはあったかいけど、おまえがいないとなんか変だ。姫がお菓子作ってくれたのに、甘くておいしいのに、少ししか楽しくない。いろんな話してても、横見ておまえがいないと全部つまらなくなっちゃう。朝起きても、騎士さまがいない……どこにも、いない」
避寒地の名の通り、屋敷に比べれば格段に暖かい。だというのに家にいるとき以上に睡眠不足に悩まされていた。足先が冷えて寝付けないほど寒くはないのに、どうしてか上手く眠りに浸ることができなかった。一度眠りについても、真夜中に目を覚ましてしまう。いったん目が覚めてしまうと、部屋に自分の呼吸しかないことに違和感を覚えてさらに寝付けなくなるという悪循環だった。数日来の寝不足は、ただでさえ回らなくなった頭をさらに鈍くさせる。かつてのミスラに同情してしまった。騎士さまがいないという事実を忘れかけては思い出し、思い起こして確認してはその度にこころが疲弊していく。
たかが数日の別離で、ぼくはすでに音を上げていた。
「……もうやだ、帰る…うちに帰りたい…」
はぁ、と騎士さまが大きく息を吐いた。さすがに情けない自分の言動を思い返して身を強張らせ、離れようとする。その頭を大きな手が撫でた。
「荷物をまとめてくれ」
え……とぼくは顔を上げた。騎士さまがアリッサに向かって言ったのだ。命じられた侍女のほうでは慌てるでもなく即座に頷く。
「大丈夫です。それほど広げてはございませんから一時もいただければ片付けましょう。ですが、どうせなら本日は御領主さまもこちらにお泊りになって、明日になってからゆっくりと帰られては?」
「うん?」
「奥方さまの最近の不調の原因は、御領主さまがいらっしゃらないことに端を欲するものですから、旦那さまがお泊りになれば本日はこちらの土地でゆるりとできましょう。いかがですか?」
「……おう」
見遣れば、なぜか子どもたちが彼女にきらきらとした憧憬の眼差しを向けている。
「すごい、ほんとにアリッサさんの言う通りだったね」
「あら、姫さま。内緒話でしたでしょう」
「あっ!」
「…内緒って何が? 姫? ねぇ? きみ、ぼく付きの侍女でしょう。裏切らないでよ」
「いえいえ、こちらの話です。……それに姫さま、私の見立てとは少々ずれてしまいました」
「見立て? ってなに?」
「奥方さまはお気になさらず……さて、それでは私はお夕飯の支度にとりかかってまいりますね。今宵ならばオーエン様もちゃんとお召し上がりになれましょう?」
「あ、うん…」
忙しくなる、などと言いながら彼女は腰を上げた。その手伝いをしてくるという姫と、馬の世話に行ってくるという息子を見送ってふたりして顔を見合わせる。
「……ついこの間産まれたような気がするのに逞しくなったもんだな」
「しわくちゃの猿みたいな顔でぎゃんぎゃん泣き喚いてたのに、さっき立ったと思ったらもうぺらぺら一人前に喋って走り回ってるんだから――ねぇ、見立てってなんだろ?」
「……知らないほうががいいんじゃないか」
「あー…うん、ぼくもそんな気がしてきた」
他愛ない言葉を交わし、そんなことさえ久しぶりで愛おしい。まだ握ったままだった騎士さまの前身ごろを離し、腕を背に回す。
「いくらあったかくっても、おまえがいないのが変でいやだ。ねぇ、他所に行けなんてもう言わないで」
暑いのも寒いのも嫌いだ。魔法でいくら遮断しても好きじゃない。けれど抱き返してくる暑苦しいこの熱がなければ、夜が上手く過ごせない。数え切れないほどの、幾千の夜も昼も知らずにひとりぼっちでやり過ごせたぼくはどこに行ったんだろう。騎士さまの手が寝乱れたぼくの髪を梳く。優しいその動きは、こいつもまた同様に思っているからだろうか。
「……まあ、なんだ。うち、帰るぞ」
「うん」
うちと示される場所へ、騎士さまと共に“帰る”ことが出来る事実に、ぼくは艶笑も忘れて数日ぶりの満面の笑顔を咲かせたのだった。