- 1122/03/18(金) 08:13:03
- 2二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 08:14:45
保守
- 3二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 08:22:20
3スレ目突入か
- 4二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 08:26:21
終わらない地獄
- 5二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 08:31:39
12時に地獄が終わると信じてる いややっぱ終わらないで(小声)
- 6二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 08:38:14
続いてしまったのか
- 7二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 08:57:35
10レスまで伸ばすか
- 8二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 08:59:27
どうしてまだ続くんですか…?
- 9二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 08:59:59
ブライトレの登場により物語は危険な領域へ突入する…
- 10二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 09:14:40
わっ、次スレ…
- 11二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 10:14:27
実装記念呪物
- 12二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 10:21:39
意図して地獄にしてるのがいると、何か地獄感無くなる感じする。
- 13二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 11:13:46
解像度が上がるから…さらなる、さらなる地獄を…!
- 14二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 17:58:19
みんなはブライトを引けたかな?私はだめでした
- 15二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 17:59:45
地獄スレももう3スレ目か…
- 16二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 18:49:50
俺は引けたけどスレ主は引けたか?
- 17二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 19:26:06
このスレの住人なのに引けてないとかないよなあ?
- 18二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 22:36:03
星が2に、星2が7とか言う過去最高の当たりして、ブライトもついでにマチタンも無しとは恐れ入ったぜ…
- 19二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 23:56:41
1のSS好きだから1には普通にブライトお迎えしてイチャイチャしてて欲しい
(そして続きを書いてくれ) - 20二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 09:52:35
いったいどうなるんだ?
- 21二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 10:02:43
ドベトレ♂さんとズブトレ♀さんが超常識的にくっついて終了ですわ。
- 22二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 10:34:56
無事天井でお迎えした
出会いからメジロだった - 23二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 19:41:13
保守しておく...何が起きるんだ...
- 24二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 20:48:53
ブライト実装されてなんだか申し訳なくなってドーベルとズブトレで書こうとしてたのに書けなくなりました……
- 25二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 21:58:37
正直書いてくれてる人に難癖付けてる方が結構萎える気がするわ
- 26二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 23:45:10
ドーベルが夢でブライトとトレーナーのことを見ちゃうとかどうですか...
- 27二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 23:47:58
絶対に2人とトレーナーには幸せになって終わって欲しいがそれはそれとして地獄のような関係が好き
- 28122/03/20(日) 00:41:21
- 29二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 01:07:25
- 30二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 09:26:46
良かったぜ!
- 31二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 10:19:42
- 32二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 11:12:56
ブライトにNTり属性があるって噂、あれ本当なの(困惑)
でもわからんでもないような気もするんだよなあ無意識にいつの間にかNTRみたいな - 33二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 11:47:42
あれに関してはむしろスズカさん側のリアクションがネトラレ感をマシマシにしてるような。
ただ、まぁブライト自体にライアンにお世話になったって自覚があるから他の子を嬉々として可愛がるタイプみたいだし、空気もゆったりしてるし馴染む子多そう。
それが結果的にntrみたいな空気感作りそう。
- 34二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 12:09:33
ブライトはドーベルに春盾を奪われてから、NTり属性に覚醒めてしまったんだ…
- 35二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 20:07:42
自分のトレーナーがブライトのお世話をしていると思ったらいつの間にかNTRれていた……何を言ってるのか分からねえと思うが(ry
公式NTR属性持ちとはたまげたなあ…… - 36二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 22:31:41
ブライトの育成終わらせた後に改めて見るとブライトのトレーナー脳破壊じゃ済まないだろコレ…って気分になってとてもいい(よくない)
- 37二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 08:09:07
というかあのグッドEDの後にこれやられたら、脳破壊というかブライトトレからブライトへの信用が地に落ちるだけじゃねえのというか……ブライトトレ→ベルトレへのブチギレ具合が凄いことになりそう
- 38二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 10:43:24
どのトレーナーもそうだけど、トレーナー→担当の感情は恋愛とは明言出来ない範疇に留まってるから、逆に妄想派生の幅は広くていいと思う。
グットエンド後に付き合っている人がって言われて、素直に祝福するけど意外と前に交際が始まっててプライベートなことを喋るぐらいには信頼されなかった?これが当たり前の距離感?と直接聞くわけにもいかない疑問が浮かんで困ってしまうトレーナーたちも見たい - 39二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 14:04:45
メインストで二度目の春天落としたブライトが感情を露にして涙しているのを見てさ、一度目をドーベルに取らせるなんて考えたら苦しくて辛くてどうしようもなくなっちゃった……
- 40二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 21:18:07
ドーベルのシナリオしか持ってないからブライトのことあんまり語れないけどどんな人でも仲良くなれるというかそういう雰囲気持って行けるからな...
- 41二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 00:10:32
保守
- 42二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 08:44:41
- 43二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 18:05:11
あえて甘々...?
- 44二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 18:22:50
- 45二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 21:41:33
支部にブライトのえぐい脳破壊SSあったんだけどここで紹介していいのかな……
- 46二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 21:44:44
- 47二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 23:53:09
ぐちゃぐちゃになるメジロ家いいね
- 48二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 00:15:54
これです……脳が焼かれて心臓が麻痺しかけた
1さんこういう勝手な紹介よくないぞって思ったらこのレス削除してください
#ウマ娘 #メジロライアン(ウマ娘) Sunny Place Fruit Tree - Pinpyの小説 - pixivメジロライアンは服の袖を少しだけ捲り、腕時計を見た。10時55分。約束の時間まであと5分──紫煙の名残が染みる不潔な空気を大きく吸い込んで、使命に暮れる悲愴なため息を吐き出す。 背筋を伸ばして周囲を見回す。壁も床も、テーブルも椅子もカウンターも、およそ何もかもが黒みがかった茶色で...www.pixiv.net - 49二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 10:24:15
保守しとくね...
- 50二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 16:45:05
ブライトの毒いいよね
- 51二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 23:51:41
ドベトレとドーベルがブライトによって落とされる
- 52二次元好きの匿名さん22/03/24(木) 07:17:39
サンクス、助かる。また読も……
- 53二次元好きの匿名さん22/03/24(木) 15:02:55
保守
- 54二次元好きの匿名さん22/03/24(木) 21:29:48
落とさない
- 55二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 00:00:12
これはss待ち?
- 56二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 00:27:32
- 57二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 07:58:46
待ってますね
- 58二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 10:58:52
お待ちしてます!
- 59二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 16:17:17
保守
- 60二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 22:25:39
※ドーベルが春天に勝つ概念が前提のお話
“クールビューティー”と一部では称されるらしい、アタシの無愛想な顔。
そんな仮面がありがたく思えるなんて、予想だにしていなかった。
おかげさまで、これまでと大きな変わりのないように日々を過ごすことができている――他人から見る限りでは。
アタシはあの一幕を、どこか他人事のように受け止めていた。
ただ“トレーナーとブライトが、アタシのトレーナー室でキスをしていた”という事実が転がっているだけで。
時間が経つにつれ、ああそうですか、という感想しか出てこなくなった。
そこにあるのは、アタシのレースパフォーマンスが以前よりは落ちているということと、トレーナーに対して本当の意味で心を開くことは、もはやないだろうということだけだった。
どんな気分になっていようともお腹は空くもので、お昼時のカフェテリアへ向かう。
何の理由もなく和定食を頼んでお盆を受け取ると、人混みを避けるように端の方のテーブルに座った。
いただきます、と手を合わせてお椀に口をつけたけれど、味はよくわからなかった。
お漬け物をつついていたところに、横から声をかけられた。
「おや、ドーベルさん。こんにちは」
「あ、ブライトの……」
ワイシャツの首元までボタンを閉めて、ネクタイも固く締まっていて。
かっちりとした印象を持たせつつも、どこか抜けたような雰囲気が漂う人物。
ブライトのトレーナーをしている彼とは数度顔を合わせたことがあったから、大きな苦手意識はなく話すことができた。
「こちらの席、お借りしても?」
「え、うん……いいですよ」 - 61二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 22:27:49
一人で食べていたかった気もするけれど、断るのも悪いと思い、申し出を承諾する。
彼はトレーをテーブルに置き、アタシの向かいに座って。
唐揚げにお箸を伸ばしながら、口を開いた。
「先日の天皇賞、一着おめでとうございます」
「……ありがとう」
春の天皇賞。
アタシは3200m先のゴール板を先頭で走り抜け、見事盾を手に入れた。
――ブライトに先着して。
「絶対に譲れない戦いだったのですが……貴女には敵いませんでした」
そう語る彼は、苦々しく笑っている。
「ブライトもかなり落ち込んでしまって、裏では涙していたみたいで」
あのブライトが泣いていたなんて。
アタシの知らない彼女の一面に驚きを覚えると同時に、なんとも言えない罪悪感のようなものがわき上がってきた。
「……すみません」
「いいえ! 謝らないでください。ドーベルさんは何も悪くありません。指導力が足りなかったのがいけないんですから」
表情は変わらぬ微笑みを保っていたが、言葉の節々には感情がにじんでいる。
「こんなに近くに居る相手なのに……トレーナーというものは、時に無力なんですねえ」
- 62二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 22:28:35
彼は遠い目をしながら、ご飯を口に運ぶ。
その瞳は、過ぎてしまった出来事と、変えようのない現状を諦観しているような色をしていて。
どこかで見覚えがあるような気がした。
「しまった。余計なことまで話してしまったな」
「別に…… 担当にこんなことは言えないだろうし」
“担当にこんなことは言えない”
自然と出た一言だったけれど、何か本音を隠すような、上辺だけの関係は。
アタシを含め、それは望ましいものと言えるのだろうか。
――それとも、最初からそういうことだったのだろうか。
「たまになら……アタシでよければお話、聞いてあげてもいいけど」
「はは、すみません。情けなくて」
気がつけば、お昼休みはあとわずかになっていた。
早くしましょう、と促して、アタシは焼き魚の身をほぐした。
慌てて食べたから、いくつか小骨も飲み込んでしまった。
けれど、魚の味は確かに感じられた。
- 63二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 22:29:19
次に彼と出会ったのは、ターフの上だった。
ブライトとの模擬レースを頼まれて、挨拶に行ったとき。
浮かない顔をして、バインダーに目を落とした姿が目についた。
「ブライトとのレース、よろしくお願いします」
アタシが話しかけて初めて、近くまで人が近づいていたことに気がついた様子だった。
「ああ、ドーベルさん。今日はよろしくお願いします」
彼からは気の抜けたような雰囲気はなく、どこか張り詰めた――思いつめたような、そんな印象を受けた。
「宝塚記念に向けて、2200mでお願いします」
アタシは依頼に応じて、ブライトが待つスタートラインへと向かう。
――ネクタイの結び目が乱れていたことは、指摘しなかった。
三本の模擬レースは、全部アタシの圧勝だった。
本調子とは言えないアタシが、これほどまでに差をつけてしまったことが信じられなかった。
「ドーベル、お疲れ」
トレーナーがボトルを手に駆け寄って来る。
アタシは黙ってそれを受け取ると、喉を潤しながらブライトと彼女のトレーナーの様子を窺った。
ブライトの鹿毛の耳は垂れていて、白シャツ姿の彼も肩を落としていた。
- 64二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 22:30:12
「……最近、ブライトもいまいちぴりっとしていないみたいだな」
“ブライト『も』”
トレーナーが知ったような口を利く。
アタシの調子が上がらないのはアンタのせいで、ブライトはアンタが変なことをしたとかじゃないの、とは言えなかった。
アタシは代わりに、比較的当たり障りのない言葉を発した。
「……必勝で臨んだのに負けたのが、かなり堪えたんだと思う」
当然のように期待していたものが手に入らなくて動揺するのは、アタシがよく知っている。
それが栄誉でも、盾でも、たとえ愛や人間だとしても。
きっと同じなのだろう。
トレーナーは、うーん、と悩むような素振りを見せてから。
「ドーベルもそろそろ仕上げていかないとな」
と、先ほどの走りの指導を始めた。
- 65二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 22:31:47
阪神レース場 芝2200 右回り 晴れ 良バ場
アタシはなんとか掲示板を確保するのが精一杯だった。
スズカに楽々逃げ切られ、エアグルーヴ先輩にも歯が立たなかった。
トレーナーとの二人三脚に何かが挟まった状態のままで、勝てるわけがないと言えば、その通りとしか言いようがなかった。
ブライトは11着だった。
ゴール後の彼女は俯いていて、表情は見えなかった。
ウイニングライブを終えて、お手洗いに立ち寄ってから戻る最中。
控え室の近くまで来たところで、がたん、と物音がした。
不思議に思いつつ扉に手をかけようとすると、物陰から出てきた人物に呼び止められた。
「ドーベルさん、駄目です。ドーベルさん」
ぐい、と突然腕を引っ張られて振り向くと、声の主はブライトのトレーナーだった。
彼の姿を見て、アタシは目を疑いかけた。
その顔には憔悴したような色が見え、首元は乱れ服にはしわが残っており、普段の彼とは思えないほど崩れていたのだから。
「ど、どうしたの……?」
「いいからこちらに」
連れられるままにその場を離れる。
通路を右へ左へ。いくらか進んで人気のないベンチが目に入ると、彼は力が抜けてしまったかのように腰を下ろした。
ややあってから、はあ、と大きくため息をつく音が聞こえた。
- 66二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 22:33:31
薄暗い蛍光灯が殺風景な通路を照らしている。
暫しの間、二人の間に沈黙が流れる。
アタシが声をかけかねていると、やがて彼は苦しげな口調で切り出した。
「……担当トレーナーと担当ウマ娘の絆って、何なのでしょうね」
――アタシには、それだけでわかってしまった。
控え室に入ろうとしたアタシを慌てて制止して、あんなに惨憺たる姿になっていて。
口にしたのは“担当間の関係”について。
この人は気づいてしまったんだ。残酷な真相に。
自分の担当ウマ娘が、担当トレーナーではない人に気を許していることに。
担当ウマ娘がその人物と、他人や知り合いという関係を超えた間柄にあることに。
――これを知っているのは、もうアタシだけじゃないんだ。
アタシだけが、表面を取り繕うために隠しておく必要はないんだ。
同情や憐憫の念が浮かび上がってくる。
けれど、それよりも一人だけで抱え込む現状が終わることに――終わらせられることに、内心では少なからず安心や喜びを感じていた。
「……大丈夫、アタシは大丈夫だから。みんな吐き出して、いいから」
彼は弱々しい目をわずかに見開いてこちらを向く。
言うべきか言わざるべきか、逡巡しているようだった。
それもそうだ。アタシだって関係者の一人なのだから。
- 67二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 22:35:02
膝を曲げて、うなだれる彼と目線を合わせて。
力なく投げ出された両手を、包むように握る。
そして。自分でも驚くくらいに、優しげな声色で。
「大丈夫。アタシは、全部知ってるから」
彼は目を瞑ると眉間に皺を寄せて、押し留めようとして――しかし、抵抗は及ばず。
堰が決壊したかのように、全てを打ち明け始めた。
「……長電話で席を外していたら、ブライトがどこかへ行ってしまってね。ようやく見つけたと思ったら、ドーベルさんの控え室に向かって行って――」
やっとの思いで切り出すように。その声は徐々に震えてくる。
「扉を開けた君のトレーナーの胸にね、思いつめたような顔をして飛び込んでいったんだよ。……そのまま彼の唇を奪って、押し倒すようにして――」
ぽたり、と一雫が手の甲に落ちた。
「……そこから先は扉が閉じてしまったから見ていないけど、いま彼女があの部屋に居るのは確かで」
ひとつ、またひとつと彼のズボンの染みが増えていく。
「何なんだろうね。――少なくとも、ブライトのことは一番に思っていて、誰よりも信じていて……彼女のためならなんだってできたのに……っ」
涙がこぼれ落ちていく度に、彼が築いてきた――築き上げたと思っていた信頼関係が、崩れ去っていくように見えた。
「支えていこうとしていたのに、本当は全く彼女の力になれていなくて、無様でみっともなくて……!」
アタシはそっと握った手を離して、何も言わずに彼の頭を抱きしめた。
毛先が少し乱れた髪の毛を一本一本なぞるように。ゆっくりといたわるように撫でた。
- 68二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 22:36:40
彼は肺を空っぽにするくらい大きく息をついて、胸元から離れていく。
「すごいんですね、ドーベルさんは」
控え室の前で目を疑ったときよりもひどい有り様で、そう話しかけてくる。
「あの関係を知っていた上で、何変わらず振る舞っていたなんて」
「……アタシも、知ってしまった日は落ち着いてなんかいられなかったし」
忘れもしない、春の盾を手に入れた数日後。
ふらりと立ち寄ってしまったトレーナー室という現場。
あの夜は散々涙を流した。
流しすぎて、悲しみや苦しみまでどこかへ消えてしまったかと思うくらいに。
「でも、ベッドの中で全部吐き出したら、どうでもよくなっちゃって」
彼は黙ってアタシの言葉に耳を傾けている。
――“どうでもよくなっちゃって”?
本当にそうであれば、このように気が昂ってしまうなんてありえない。
「だって、もう手遅れで、今さらどうしようもなくて」
感情を揺さぶられるというのは、本当にあるもので。
先ほど涙を目にしたせいか、歯止めが効かなくなっている。
「誰かに言えるわけなんてなくて、だから自分の心を殺して抑え込んで」
- 69二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 22:38:04
隠していた本音を溢しながら、この人にならさらけ出してもいいのではないか、と。
不思議と、アタシはそう思っていた。
「……アタシ、トレーナーのことが好きだったのに。……担当トレーナーとして以上に」
「……! ドーベルさん……」
「でも、気づいてしまったら、元のように心を開くことすらもできなくなって――」
そこまで言ったところで、今度はアタシが抱きしめられる番だった。
「――貴女は強いウマ娘だ。あんなに辛い現実を、たった一人で背負い込んでいたなんて」
「……っ!」
“強いウマ娘”
いつも、トレーナーがかけてくれていた言葉。
たとえ今後、トレーナーから同じように声をかけられても、以前のようには受け取れないだろう言葉。
「もう一回、言って……っ」
「……? 貴女は、強いウマ娘ですよ」
アタシの望みを汲んだかのように、背中を優しく叩きながら。
求めるように口にしてくれる。
耐えた。
耐えようとした。
せり上がってくるものを、瞼の寸前で押し留めようとした。
- 70二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 22:39:06
「“ドーベル”って、言って」
「……ドーベルさんは、強いウマ娘――」
「違う。“ドーベル”って!」
「……ドーベルは、強いウマ娘だよ」
――一粒だけ、頬を伝うものがあった。
わずかに残っていたトレーナーへの親愛も、情念も、未練も。
それらは全て、たった一滴に溶け込んで、無機質な床に流れ落ちていった。
「……なんだかアタシたち、ものすごく惨めだね」
「ははっ。そうかもしれないですね」
お互いに赤くなった目を合わせて、自らを嘲るように笑う。
一方的に最も近しく思っていた存在がどこか遠くへ行ってしまって、その末に泣いているのだとすれば、自分勝手で滑稽極まりない。
乾いた笑いを交わしていると、ブーッというバイブレーション音が聞こえた。
「……ブライトからです。“どちらへ行かれたのですか?”って」
突き出されたメッセージアプリのトーク画面を見る。
その一つ前のやりとりは、二か月前の日付だった。
「そろそろ戻りましょうか」
そう言って席を立とうとする彼を、アタシは手で遮る。
「こんな格好で歩いていたら恥ずかしいから。……ちょっと動かないで、おとなしくしてて」
- 71二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 22:39:49
彼の首元へ手を伸ばす。
歪んだ結び目をほどいて、シャツのボタンをきちんと上まで閉める。
続いて、ネクタイもきゅっと、きつめに締め直す。
「……はい。顔は……どうしようもないか」
「悔しくて泣いてきたってことにします。ドーベルさんは?」
「……アタシもそうする」
ほんの少しだけ、頬が緩んだ。
彼は立ち上がると、ぐっと身体を伸ばした。
「ドーベルさん、ご迷惑をおかけしてすみませんでした。……ありがとうございました」
「ううん、アタシの方こそ……ありがとう」
「全部聞いていただいて、少し心が軽くなりました」
この二人の関係は何というのだろう。
担当ウマ娘とトレーナーではないし、単なる知人というには少々深すぎるような気もする。
ただ、傷の舐め合いをする間柄ということは確かであり、アタシはそれを悪くは思っていなかった。
「また、お話を聞いてくれますか」
「アタシでいいなら、いくらでも」
「今度は泣き出さないように気を付けないといけませんね」
ぽつぽつと言葉を交わしながら。
アタシたちはそれぞれの控え室に戻る。
――本来、最も信頼すべき相手だった人が待っている控え室へ。
- 72二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 22:40:58
芝のコースには四つの人影と二つの尻尾。
最近ではブライトと合同トレーニングをすることが多くなっている。
あれから数か月。
アタシは府中ウマ娘ステークスで一着を取り、ブライトも京都大賞典で二着になるなど、復活の兆しを見せている。
ブライトのトレーナーも、以前のような風格を取り戻している。
誰の目にも、復調するどころか、むしろライバル同士で磨き合うよい傾向にあるように写るだろう。
それは、トレーナーの目にも、ブライトの目にも。
けれど。
トレーナーは知らない。
アタシが、ブライトのトレーナーとよく語り合っていることを。
アタシが、トレーナーとブライトの関係に気づいていることを。
ブライトは知らない。
彼女のトレーナーが、アタシを頻繁に頼っていることを。
彼女のトレーナーが、アタシのトレーナーとブライトの関係に気づいていることを。
アタシは知っている。
ブライトのトレーナーに、アタシの心が靡きかけてしまっていることを。
そして、この歪な関係はいつか破綻してしまうだろうことを。
- 73二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 22:42:26
方やG1ウマ娘、方や重賞五勝ウマ娘。
一目には、どちらも担当トレーナーとの人バ一体の絆が、輝かしい戦績へと導いているようにしか見えない。
――その実、本当に通じ合っているのは、どちらも自分のトレーナーではないのにも関わらず。
「ドーベル~ 本日の並走、よろしくお願いいたしますわ~」
「うん、よろしくね」
ブライトの呼び掛けに、アタシは笑って返事をする。
仮面は剥がれていない。
――少なくとも、いまのところは。
メジロドーベル√ END 7『掛け違え』
- 74あとがき22/03/25(金) 22:45:19
- 75二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 23:12:24
- 76二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 04:39:12
新作きとるー!!ありがとう……
- 77二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 11:11:55
保守しとくね...
- 78二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 18:39:47
- 79二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 18:47:54
- 80二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 19:33:54
シニア級も3年目に入った。歪な関係は思いの外長く続いて、気づけばアタシもブライトも引退を考え始めるような時期に差し掛かっていた。
当然、思うところはある。今の関係はレースがあるからこそ続いているもので。引退して学園を去ることになったらアタシたちはどうなるんだろう。
もしブライトとアタシのトレーナーが結ばれるんだとしたら───メジロ家にアイツが迎え入れられることになる。ふたりにそのつもりはあるんだろうか。そうなる時が来たら、アタシはどんな顔をすればいいんだろう。
そんな思いを抱え始めたある日。ブライトのトレーナーに誘われて、アタシと彼は旅に出ていた。
「やっぱり海は綺麗ですね。海岸から眺めるのもいいですが船から景色を見るのも乙なものです」
フェリーのデッキの上で柵に凭れるのは、いつもでは見られない私服姿の彼。相変わらず着こなしはかっちりしてるけど、それでも新鮮だ。アタシもその隣に並んで海を見る。歪み一つない水平線は綺麗ではあったけど、作りもののようで味気なく感じた。
「ドーベルさん、どうですか?船酔いはしていませんか」
「大丈夫。でも、ちょっと肌寒いかも」
海の上は思ったより冷える。上着くらい持ってくればよかったかなと思うと、身体が温かい感触に包まれる。
この時期にしてはちょっと厚手すぎるような上着。それを彼が掛けてくれた。ありがとう、と顔を見上げると困ったようにはにかんで。
「よかったら着てください。その服には似合わないかもしれないけれど」
「ううん、大丈夫。船を降りたら返すね」
こういう不器用な気遣いは初めてだった。多分、異性と付き合った経験も多くないんだろう。アイツだったらきっともう少しスマートで、有無を言わさぬようなやり方だったんだろうな。
───待って。なんで今アタシ、アイツのことを考えたの?
もうとっくに割り切ったつもりだったし、今隣にいるのはブライトのトレーナー。なのに他の男(ヒト)のことを考えるなんて、ひどい女だ。自己嫌悪と申し訳なさが胸の奥からこみあげて、本当に船酔いしたように気分が悪くなってきた。
「顔色がよくありませんね。船内に戻りましょうか」
「……うん」
気を遣わせちゃったらしい。
とはいえ気分が悪いのは事実だから、素直に彼の気遣いに甘えることにする。
ああ、早く着かないかな。陸の上なら、きっと気分もマシになるだろうから。 - 81二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 20:45:23
続き来てるじゃーん
- 82二次元好きの匿名さん22/03/27(日) 00:59:44
保守!
- 83二次元好きの匿名さん22/03/27(日) 08:58:08
続き待ってます
- 84二次元好きの匿名さん22/03/27(日) 18:48:50
保守
- 85二次元好きの匿名さん22/03/28(月) 01:02:28
ブライトはどうしてこうも適性があるんだ...
- 86二次元好きの匿名さん22/03/28(月) 08:29:11
保守
- 87二次元好きの匿名さん22/03/28(月) 09:12:02
- 88二次元好きの匿名さん22/03/28(月) 18:31:44
保守
- 89二次元好きの匿名さん22/03/28(月) 20:56:43
春天前からブライトとベルトレがくっついていたらドーベルに負けたことでブライトの脳はぐちゃぐちゃの粉々
春天後にくっついたとしても負けた傷を埋めるようにブライトがベルトレに沈んでいったのだとすればドーベルが引き金を引いたことになるから、ドーベルがその事実を知ってしまった日には二度と走れなくなっちゃいそう - 90二次元好きの匿名さん22/03/28(月) 22:54:52
上の方にもあったが自分たちの未来のためならドーベルの担当してたとて呑み込みそうな底無しの気があるよブライトは
何ならそれでドーベルが気付いて奮起してぶっ飛んだ行動起こすまでがお望みでむしろ本命だったりする…詳しくは言えんが - 91二次元好きの匿名さん22/03/29(火) 06:03:45
こえー……ありえないと言えないのが怖いところ
- 92二次元好きの匿名さん22/03/29(火) 17:37:03
保守
- 93二次元好きの匿名さん22/03/30(水) 00:21:43
ドーベルは強い子だよってドーベルトレが言うから心の支えになってたのにそれを無くされるのやっば
- 94二次元好きの匿名さん22/03/30(水) 06:09:44
なんなんだろうな、ブライトのあの大物感……
- 95二次元好きの匿名さん22/03/30(水) 15:55:21
保守
- 96二次元好きの匿名さん22/03/30(水) 21:36:48
保守保守
- 97二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 00:48:49
ドーベルはトレーナーが応援してくれることが好きみたいなところあるからな...
- 98二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 10:20:44
保守
- 99二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 20:04:26
保守
- 100二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 20:25:00
自分もなにか書きたいけどどっちもいないから無理だった
- 101二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 00:04:52
ドーベルがトレーナーを取られたあとはどんな思い出も汚されたものになっていくんだよね
- 102二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 10:06:54
保守
- 103二次元好きの匿名さん22/04/01(金) 14:42:54
ブライトは失ってもトレーナーさんのために何とか這い上がれそう、ドーベルはマジで引退というか喪失したものがデカすぎてやばい
- 104二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 00:10:23
ブライトもトレーナーさんの未来を貰おうとしたり大概だけど、ベルちゃんの場合は依存してそう具合がガチなんだよな…
- 105二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 08:29:18
保守
- 106二次元好きの匿名さん22/04/02(土) 10:40:51
ブライトの適正にNTRが入ってしまう