「なぜ、恐竜は巨大化したのか」に“迫る”かもしれない驚きの「極秘研究」を大公開する
私はNHKの番組ディレクターとして15年以上に渡り、特に恐竜研究(古生物研究)の最前線を自らの足で追いかけている。「ダーウィンが来た!」ではティラノサウルス、丹波竜、デイノケイルスなどを、「NHKスペシャル」では、むかわ竜(カムイサウルス)を特集した「世紀の発見!日本の巨大恐竜」(2017年)、モンゴルや北極圏の恐竜を特集した「恐竜超世界」(2019年)などを制作。日々、目まぐるしく情報が刷新されていく「恐竜たちの新たな世界」を様々な放送枠で紹介している。
そんな私が最近、特にホットだと感じているのがこの日本だ。世界的に重要な恐竜化石が日本から次々と見つかっているのは勿論、日本人研究者による恐竜研究自体が大変、“熱い”のだ。前編の「謎の恐竜テリジノサウルスの正体」に続き、後編では「岡山発!ジュラシック・パークもビックリの極秘研究」を紹介したい。
取材のきっかけは、恐竜学の世界的な権威
今、岡山県で進む、恐竜学の常識を変えるかもしれない驚きの研究がある。その極秘研究を知るきっかけも世界的な恐竜学の権威、北海道大学の小林快次(こばやし よしつぐ)博士だった(前編参照)。
話はコロナウイルス流行の前、2018年までさかのぼる。その夏、NHKスペシャル「恐竜超世界」(2019年放送)の撮影のため、私は小林さんと共にアメリカ・アラスカ州のデナリ国立公園にいた。北極圏で生きていた恐竜たちの化石を求めて山道を何時間も歩いた。途中、小林さんといろいろな話をしたが、その際、「小林研出身の研究者でぜひ取材した方がいい人がいる」と教えてくれた人がいたのだ。
その人こそ、岡山理科大学の千葉謙太郎(ちば けんたろう)博士だった。「とても面白い研究をしている。『ダーウィンが来た!』で取り上げたらきっと面白い話になるはず」とのことだった。千葉さんは一体どんな研究をしている方なのか。出会いの結果、どんな新しい番組を作ることができるのか。アラスカの空を見ながら、期待が高まった。