精選版 日本国語大辞典「籠脱・駕籠脱」の解説
かご‐ぬけ【籠脱・駕籠脱】
〘名〙
① 見世物芸の名称。
(イ) 江戸時代に行なわれた軽業(かるわざ)の一つ。底のない、円筒形の竹籠を横たえ、その中をくぐり抜けたり、ろうそくや刀を立てた輪の中を飛び抜けたりするもの。輪くぐり。
※俳諧・西鶴大矢数(1681)第三七「時の声上を下へとかへしけり 夫篭ぬけのてんてんてれつく」
(ロ) 見世物芸の一つで、小鳥などに、籠の中で、紙捻(こより)で作った輪をくぐらせるもの。
※俳諧・俳諧塵塚(1672)上「そよそよとあち東風あつる玉簾〈来安〉 籠ぬけの鳥やいにかねにけん〈立圃〉」
(ハ) 奇術の一つで、体を縛られて入れられた竹籠の中からすばやく抜け出るもの。
※風俗画報‐一三九号(1897)諸興行並遊覧場「籠抜け 一人の蛮人を固く網裡に包み、大なる竹籠に入れ、蓋を鎖し、蔽ふに毛布を以てす」
② 駕籠(かご)や建物などの中に居るように見せかけて、こっそり抜け出ること。
③ 籠を破って逃げ出ること。また、遊女が遊里から逃げ出ること。
⑤ 取引相場で、盛んに買いまたは売りに出て、同時に裏でその反対の取引をすること。〔取引所用語字彙(1917)〕
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