ワクチンの種類によって効果の違いはあるか?
次に追加接種の際に用いるワクチンの種類について説明します。下の図をご覧ください。
追加接種のワクチンの種類について
複数回接種により、体内でコロナ反応性細胞が増え、個々の細胞の感受性が上昇する
(感受性の高いものほど刺激を受けやすいので、ポジティブセレクションが働き、より反応性の高い細胞が生まれる)
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追加接種の場合、前ほど良いワクチンでなくても、ある程度の抗原量があれば多くの人はしっかりと反応するはずである
→ 追加接種は、同じものでも、異なるものでも、あるいは国産ワクチンでも、いずれでもOKかもしれない。交差接種は決して悪くない
保存期間の長いものは追加用のストックとして有用
リコンビナントワクチンは変異株にはすぐに対応できない(作り変えるのに時間が必要)という問題点はあるが、追加用には使えるかもしれない。また、粘膜を刺激する噴霧ワクチンがいずれ使えるようになるかもしれない
ワクチンを複数回接種すると、体内でコロナ反応性リンパ球が増え、個々の細胞の感受性が上がっています。これは感受性の高いものほど刺激を受けやすいので、一種のポジティブセレクションが働き、より感受性の高い細胞が生まれやすくなるからです。
このために、追加接種の際には前ほど強いワクチンでなくても、ある程度の抗原量さえあれば、多くの人ではしっかりと反応できるはずです。つまり、追加接種では、ワクチンの種類はあまり問題にならず、国産ワクチンも使えるはずです。もちろん、1、2回目と接種するワクチンの種類を変える交差接種も有効です。現在、国産で保存期間が長いワクチンが作られつつありますが、そういうものは追加用のストックとしては有用であるということになります。
したがって、追加接種というのは、早ければ早いほど良いというものではなく、慌てずにしかるべき間隔をあけて行うことが大事だと考えています。
ワクチンだけに頼りすぎないことが大切
この点、忽那先生があげたイスラエルのデータは、私には一種の「反面教師」として見えます。
つまり、ポイントとしては、新型コロナに対する免疫は、中和抗体の量だけで判断してはいけないということと、追加接種の間隔を短くし過ぎると良質の免疫ができない可能性がある、そして、ワクチンは使い方が大事、さいごに、ワクチン接種だけではなくてその他の感染対策も大事、ということです。
イスラエルはワクチンにやや頼りすぎの嫌いがあり、日本やシンガポールなどに比べると、マスク着用や行動制限などの感染症対策が十分でないように思います。ワクチンと感染症対策は「感染制御」を支える両輪で、どちらが欠けて十分な効果があがりません。
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