https://youtu.be/1opteM74I5M

福永活也弁護士が、同じく弁護士の都行志先生を訴えた事件の訴状を公開します。
次回3月25日です。令和3年ワ1779損害賠償請求事件
原告 福永活也
被告 都行志

訴状

 
令和3年1月24日


東京地方裁判所 御中
原告  福永  活也


当事者の表示 別紙の通り
請求の趣旨 別紙のとおり
請求の原囚 別紙のとおり

損害賠償請求事件
訴訟物の価額 1,200,000円
貼用印紙額 11,000円
予 納 郵 券 6,000円
証  拠  方  法
証拠説明書記載のとおり

附  属  書  類



1 訴状副本 1通
2 甲号証写し 各二通
3 証拠説明書 1通

当事者目録

 省略

請求の趣旨

1 被告は、原告に対し、金1,100,000円及びこれに対する令和元年8月17日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え
2 被告は、原告に対し、別紙1記載の謝罪広告を別紙2記載の条件で1回掲載せよ
3 訴訟費用は被告の負担とする
との判決並びに第1:頃につき仮執行の宣言を求める。

(別紙1)
省略

(別紙2)
省略


請求の原因

第1 当事者について
 原告及び被告は弁護士資格を有する者であり、いずれも実名によるTwitterアカウントを運用している(甲1及び2)。
 原告は被告に会ったことはなく、被告の存在を十分に認識しておらず、現在に至るまでどのような人物なのかあまり把握できていない。他方、被告は原告のことを一方的に認識しているようで、原告に対して様々な言及をしている人物である。

第2 被告の不法行為責任
 1 Twitterについて
本件では、Twitter(ツイッター)というウェブ上のSNSサービスの一種が用いられた事件であるため、最初に簡単にTwitterについて説明する。
 Twitterでは、「ツイート」と呼ばれる半角280字、前核140宇以内のメッセージや画像、動画等を投稿することが可能となっており、日頃から各アカウント保有者が、好きなことをツイートしたり、他人のツイートに対してコメント(リフライ)したりして、インターネット上で交流することが行われている。
 特定のアカウントからツイードをすると役稿者のタイムライン(当該アカウント保有者によるツイート等が時系列に沿って表示される)に当該ツイート内容が表示され、投稿者のフォロワーや投稿者のアカウントページを閲覧しに来た人に表示、通知されることにより、他者に拡散的に閲覧される仕組みとなっている。
 「リツイート」とは自身もしくは他者のツイートを再度自身の夕イムラインに投稿して表示させる機能である。誰かが投稿したツィートは、まずは投稿者のタイムラインに表示され、その人物のフォロワーを中心に伝播されていくが、さらに同人のフォロワー等の第三者が当該ツィートをリツィートすると、次は当該第三者のタイムラインにも当該ツイーとが表示され、当該第三者のフォロワーを中心に伝わっていくという形で、ピラミッド式にどんどん拡散されて無限定に伝播されていく仕組みとなっている。
 また、「引用リツィート」とは、ジツィートする際に、単に第三者が当該フィートを自身のタイムラインに表示させるだけでなく、自身のコメントを付した上で、当該ツイーとを表示させる機能であり、リツィートと同様に拡散される仕組みとなっている。
 「いいね」は、特定のフィートを閲覧し、主として好感の意を示すものであり、リツィートや引用リツィート程ではないが、一定程度、いいねをした人物のタイムラインに表示され、第三者に拡散される仕組みとなっている。

2 被告による本件ツィート①の不法行為性について
(1)本件ツィート①の内容
 被告は、平成31年2月7日、自身のTwitterアカウントから、「50倍の弁護士、ちょうど自分が最初の事務所を辞めて就職活動をしていたとき、事務所の求人を出していて、イソ弁の待遇が良かったので応募したことがある。そしたら、弁護士の採用は決めてしまったので、業務委託でどうかと言われ、東電訴訟を1件いくらでやらないかと勧誘された。怒り心頭で返信もせず」「(続き)弁護士採用したとか嘘だろうと思って、その後も50倍弁護士の事務所をウォッチしていたら、ずっと弁護士は自分一人。早い話、ひまわり求人でイソ弁募集を仮装して、人を集め、業務委託先を探していただけだと思われる。そこまで悪質なことができるなら、そりゃ50倍稼げるわと思うわ…」とツイーとした(甲3及び4.以下合わせて「本件ツイート①」という。)。
(2)本件ツイート①が原告に対する言及であること(同定可能性)
  本件ツイート①は、冒頭の記載にあるとおり、「50倍の弁護士」なる者について言及がなされたものであるが、「50倍の弁護士」とは、Twitter内で被告ほか弁護士資格を有する者やその知り合い等が原告に対して一方的に名付けたあだ名のようである。
 そして、同業者である弁護士を中心に少なくない人達から、このあだ名が原告のことを指すことが一定程度認識されており(甲5の1~13)、被告もこれを理解した上で、本件ツイーと①をしている。そして、本件ツイート①が原告に対して言及した投稿であることを認識する人が多数存在するからこそ、本件ツイート①は多数の人に関心を持たれ、計約350リツイート、13引用リツイート、578いいねがなされ、多数拡散されている(甲3及び4)。
 なお、原告に対するこのようなあだ名つけは、被告らが一一方的に呼び出したものであり、侮蔑的な意味合いを含んだ蔑称であると理解すべきである。
(3)本件ツイート①が原告の名誉権を侵害することについて
  被告は、本件ツイート①により、原告が、自身の法律事務所の求人を、「ひまわり求人」という求人フラットフォームでイソ弁(勤務弁護士)の募集をしていたが、それは虚偽の募集であり、実際には業務委託先を探していたと言及している(甲4)。
 そして、かかる言及内容は、原告が求人を仮装していたか否かという証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項として、具体的事実の摘示としての批判であると言える(最高裁判所平成9年9月9日判決・民集51巻8号3804号参照)。
 当該言及は、一応は末尾が「思われる」という表現態様となっているが、本件ツイート①全体において、被告なりの根拠と考察を伴って具体的に記載されていることからすれば、これは単なる感想を述べたものではなく、被告が憶測により具体的事実を摘示したものと言える。
 そして、このような本件ツイート①は、読み手にとって、原告が、本来的ではない利用方法によって求人を行い、さらに、求人に応募してくれた者に対して虚偽の報告をするような人物であるとの評価を与えるものであって、原告の社会的評価、特に原告の弁護士としての評価をも低下させる具体的事実の摘示である。だからこそ、被告自身、原告について「そこまで悪質なことができるら・・・」と痛烈に批判している。
 さらに、本件ツイート①は、いかにも原告への批判を煽る表現態様で多数拡散されたことから、複数人からコメントや引用リツイートにより原告は批判を浴び、まさに社会的評価を低下させられてしまった(甲3のコメント、4のコメント並びに6の1及び2)。
 しかし、被告が言及した事実は真実ではない。すなわち、随分前の事であるため、原告も正確な記憶がないが、当時原告は東京電力に対する原発事故による損害賠償請求を多数手がけており、実際に、勤務弁護士を採用しようと求人を出したことがあった。そして、実際には採用には至らなかったが、最初から勤務弁護士を採用する気もないのに、それを仮装したことはない。また、被告の指摘する業務委託というのがどういう具体的な内容を指しているのか不明であるが、他の事務所に所属している弁護士と共同受任形態で案件を処理したことはあるが、それ自体何ら不当なものではない。
 また、本件ツイート①は、「そこまで悪質なことができるなら、そりゃ50倍稼げるわと思うわ」とも言及しており、これは具体的事実の摘示ではなく、被告による意見論評だと考えられるが、このような意見論評についても、原告が反社会的な態様で弁護士業務を行っていることを示唆する言及であって、原告の社会的評価を低下させる意見論評であり、名誉毀損が成立する。
 ちなみに、被告からは、本件ツイート①の当該意見論評は正当性があり、違法性が阻却されるとの弁解があるかもしれないが、そもそも被告が当該意見論評の前提とした重要事実として、原告が求人を仮装していたという事実はないし、また、被告の原告に対する批判態様は、いずれも唐突に一方的に断罪するものであって憶測に基づく個人攻撃であると評価せざるを得ず、違法性が阻却されることはない。
 原告は被告から以上のような言及を受けたものの、原告は被告について一切の記憶も認識もなかったため、本件ツイート①がどのような根拠により投稿したものかを問い合わせたところ(甲7)、被告からは特に明確な根拠や証拠の提出がなかったことから(甲8)、全くの憶測で本件ツイート①をし、結果原告の名誉権を侵害したものと判断せざるを得ず、本件訴訟提起に至っている。
3 被告による本件リツイートの不法行為性について
 原告は、令和元年5月25日、昨今話題となっている匿名者による誹謗中傷問題について何か解決の一助になればという思いから、無料で発信者情報開示請求等の業務を請け負うことを、自身のTwitterから発信した(甲9)。
 これに対して、匿名アカウント保有者(@emittai)から、DM(ダイレクトメッセージ)で相談を受け、多少のやり取りがあった後、案件数が過多であったこと等の判断から、受任をお断りした(甲10)。
 すると、同匿名アカウント保有者は、原告とのDMをー・……一方的に公開して晒してしまった(甲9のコメント)。

 同人が晒したDMは、原告にとっては、自らの知見を要する業務に関するやり取りであり、かつ、通常他人に閲覧されないことが前提となっている性質を有するものであるから、このようなDMを晒されないことは通常期待できるものであり、原告にとって当該DMが当事者以外にみだりに公開されないことは法的保護に値するというべきである。
  したがって、当該匿名アカウント保有者による原告とのDM晒し行為は、原告に対する不法行為を構成する。
 それにもかかわらず、被告は、このようなDMを晒した投稿を、さらにリツイートする形で拡散させた(甲9の原告のツイートの下に、「弁護士都行志さんがリツート」と記載がある。甲11.以下「本件リツイート」という)。
 このような被告による本件リツイーとは、上記匿名アカウント保有者により侵害された原告について、さらに侵害を拡大、拡散させるものであって、同様に不法行為が成立する。
  ちなみに、被告から本件リツイーとの正当性が主張されるかもしれないが、何の生産的なコメントも付さず、単に違法性のある晒し行為を拡散させただけの本件ジツイートに正当性が認められることはない。
4 被告による本件ツイート②の不法行為性について
(1)本件ツイート②の内容
  被告は、令和元年6月9日、「勤務弁護士を募集する体を装い、応募してきた弁護士に、バイトとして原発関連業務を投げようとしていた人の「無料」は、相当怖いと思うよ…無償で使いパシリにされたり、働かされたりしそうなんで、俺だったら死んでも応募しない。」とツイートした(甲12.以下「本件ツイート②」という)。
(2)本件ツイート②が原告に対する言及であること(同定可能性)
  本件ツイート②は、当時、原告が前項に記載した誹謗中傷案件について無料で受任するとツイードをし、当該ツイートが1.6万リツート、4.4万いいねがされて(甲9)、大々的に拡散された直後の投稿である。そして被告は本件リツイートをしているように原告の当該ツイートを認識した上で本件ツイート②をしている。
  とすれば、本件ツイート②の内容として、「勤務弁護士を募集する体を装い、応募してきた弁護士に、バイトとして原発関連業務を投げようとしていた人の「無料」は」と記載されているのは、本件ツイート①で原告について勤務弁護士の求人を仮装していたと指摘されていた内容や原告による誹謗中傷案件の無料受任の件と重なっており、原告に対する言及であると理解できる。
  そして、第三者にとってもこのように理解できるからこそ、本件ツイート②は多数人の関心を浴び、65リツイート、122いいねと拡散されている。
(3)本件ツイート②が原告の名誉権を侵害することについて
 本件ツイート②は、原告に対して、「勤務弁護士を募集する体を装い、応募してきた弁護士に、バイトとして原発関連業務を投げようとしていた人」と言及しており、本件ツイート①と同様に原告の社会的評価を低下させる具体的事実の摘示をしている。
しかも、本件ツイート①は、原告が応募者に[バイト](アルバイト)として業務を投げようとしていたという表現になっている。これは、原告が、法律の専門家である弁護士に対して、「バイト」という正規・本業には値しない業務をやらせようとしていたという評価に繋がる表現態様となっている。
 とすると、原告は、自らの法律事務所に興味を持って応募してきてくれた人を、積極的に利用しようとした人物であるとの評価にさえ繋がることもあり、原告の社会的評価を一層低下させる言及である。 
だからこそ、被告自身も、原告に対して、「相当怖いと思うよ...無償で使いパシリにされたり、働かされたりしそうなんで、俺だったら死んでも応募しない」等と痛烈な批判を展開している。
また、このような本件ツイート②の公判の言及(「相当怖い・・・応募しない」)は、具体的事実の適示ではなく、被告による意見論評だと考えられるが、このような意見論評についても、原告と業務上の関わりを持つと酷い扱いを受けることを示唆する言及であって、原告の社会的評価を低下させる意見論評であり、名誉棄損が成立する。
 実際、本件ツイート②には、「ソレって完全にアウトだと思うのですが」と言った批判コメントも寄せられているし、またこのコメント者(弁護士高木良平を名乗る人物)は、別の機会に、「金があるのにやり甲斐搾取しようって発想がすごいな」(甲13の1)、「若手搾取みたいなスキームじゃなかったでしたっけ?」(甲13の2)と言及しているように、本件ツイート②により、原告が若手弁護士を搾取的に利用しようとする人物であるとの評価か出回っている。なお、甲第13号証の1及び2が原告に対する言及てあることは、これらの投稿の元になった別の投稿の中に、「日本一稼ぐ〇〇士」(甲13の1)と、原告が出版した著書のタイトル(甲14)を連想させる言葉が入っていることや、同人が、「50倍浪費しちゃうとか?」(甲13の2)と唐突に「50倍」という、原告のあだ名と思われるフレーズを述べていることからも理解できる。
 ちなみに、被告からは、本件ツイート②の後半の意見論評は正当性があり、違法性が阻却されるとの弁解があるかもしれないが、そもそも被告が当該意見論評の前提とした重要事実として、原告が求人を仮装していたという事実はないし、また、被告の原告に対する批判態様は、いずれも原告に対して何の弁明の機会も与えず唐突に一方的に断罪するものであり、かつ、その他の被告による原告に対する言及(甲15の1~3、甲16)からすると、いずれも唐突に「50倍」という蔑称的な意味合いを有する原告のあだ名を持ち出して、暗に原告を示唆し、揶揄して嘲笑する投稿が散見されており、このような日頃の被告による原告への批判姿勢は正当な意見論評の域を超えた個人攻撃であると評価できることから、違法性が阻却されることはない。
  このように、本件ツイート②は、本件ツイード①と相まって、原告の名誉権を侵害している。
 5 被告による本件ツイート③の不法行為性について
(1)本件ツイート③の内容
  被告は、令和元年8月17日、「オフ会が急減した要囚を考えると、・・・②50倍弁護士の女子大生寿司会のように写真を醸されるリスク・・・」とツイードし、さらに連なるコメントで「正確には哂されるですが、・・・」と言及している(甲16.以下合わせて「本件ツイート③」という)。
(2)本件ツイート③が原告に対する言及であること(同定可能性)
  これまで述べてきたとおり、原告は、同業者を中心に「50倍弁護士」という侮蔑的な意昧合いであだ名をつけられているようであり、被告もこれを認識しているのであるから、本件ツイート③は原告に対する言及であると理解できる。
(3)本件ツイート③が原告の名誉権を侵害することについて
 被告による本件ツイート③の内容として、原告の女子大生寿司会という記載があるが、これは以下の経緯による。
  原告は、令和元年8月6日、原告が経営しているアパレルECサイトの運言(甲17の1及び2)を手伝ってくれていたインターンの女子大生達と月に一度程度の定例会として、昼間にみんなで人狼ゲー厶(会話型の心理戦ゲー厶)をして、出前の寿司を食べた際に、その様子をツィートしたことがあったが、被告はこれを揶揄していものと思われる(甲18)。しかしながら、この会は、昼問に行われ、20歳前後の女子大生十数人を中心に、(甲第18号証の写真には写っていないが)原告と同年代の男女も複数人いて行われたものであるが、未成年者がいたため全員が飲酒は一切しておらず、またインターン生としてのアルバイト代以外に対価は発生しておらず、また写真撮影や公開に関しては参加メンバーには許諾をとっており、むしろ各メンバーはそれぞれ自分のSNSに同様の写真を公開していた。
 いずれにおいても、何ら法律に反する余地もなければ、参加者でもない第三者に批判される理由は一切ないものであった。
 これに対して、被告は本件ツイート③により、原告が女子大生との寿司会の写真を「晒した」という意味で言及している。これは写真を晒したが否かという証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項として、具体的事実の摘示としての批判であると言える。
  そして、原告が写真を晒した」という事実摘示が読者に与える評価は以下のように考えられる。まず、本来、「晒し」という言葉自体は物事を広く公の目に触れるようにすることといった意味合いで使われるものの、今では「ネット上において公開されていない情報をより衆目を集める形で公開する行為、主に個人の顔写真などの公開されていない個人情報や望ましくない事実などを、本人の意思に反して公開することを指して用いられる場合が多い」(甲19)。とすれば、当該言及は、原告が相当年下の女子大生達の顔写真を、本人達の意思に反して勝手にインターネット上に公開し、女子大生達肖像権を侵害等する人物であることを示唆する言及であると評価できる。よって、本件ツイート③は、原告の社会的評価を低下させる具体的事実の摘示として、原告の名誉権を侵害する。
 そして、被告は、原告が写真を晒したという言い方を勝手にしているが、上述したように、原告は参加者らと双方に同意を取った上で、SNSに写真を公開していただけであり、当該事実摘示は真実ではなく、違法性が阻却されることはない。
6 被告の各不法行為による原告の損害について
 以上、被告から原告に対して、複数の不法行為が認められるが、特に本件ツイート①及び本件ツイート②は、原告の弁護士としての業務にも直結する社会的信用を低下させるものであり、虚偽の風説流布による原告への偽計業務妨害にも該当する行為であって、これら不法行為によって原告が被った精神的苦痛は計り知れない。
 一方、被告は弁護士であり、法律の専門知識を有する人物であって、他人を害さないように一層高度な注意義務が課せられる立場であるし、特に同業者に対しては重ねてその名誉を重んじ、不利益に陥れてはならないはずである(弁護士職務基本規程70条及び71条)。
 それにもかかわらず、被告が原告に対して行った不法行為による精神的苦痛を慰藉するには、金1,100,000円を下回らない。
 ちなみに、本件は原告が偶々弁護士であったため、他の弁護士に依頼する必要がなく、弁護士費用を支弁する必要はなかったが、その分、自らの被害を回復するために、本業の時間を割いて本件訴訟を遂行せざるを得なくなったのであるから、このような事情は慰謝料の認定に斟酌されるべきである。
第3 遅延損害金
 本件訴訟提起時においては、本件ツイート①、本件リツイート、本件ツイーと②及び本件ツイート③を一連の不法行為とし、これらのうち最後の役稿となった本件ツイート③がなされた令和元年8月17日から支払い済みまでの間、民事法定利率年3分の割合による遅延損害金を求めるが、本件で間題となっている各行為のうち、実際に不法行為として認められた行為のうち最後のものが投稿された日を遅延損害金の起算点とし、かつ、それが本件ツイート①のみであった場合には、改正前民法による法定利率年5分の割合による遅延損害金を求める意向である。
第4 名誉回復措置請求
 原告は被告に対し、民法第723条に基づく名誉回復措置請求権の行使も認められる。なぜなら、本件各不法行為のうち、特に本件ツイート①及び本件ツイート②については、原告の業務に直結する社会的評価を低下させるものであり、虚偽の風説流布による原告への偽計業務妨害にも該当する行為であって、単に原告に対して金銭賠償責任を負うだけでは足りず、謝罪文の掲載により原告への名誉を積極的に回復させることが必要かつ相当だからである。
第5 結語
 よって、原告は、被告に対し、民法第710条に基づく損害賠償請求権として、金1,100,000円及びこれに対する本件各不法行為の最後の本件ツイート③の投稿日である令和元年8月17日から支払済みまで民事法定利率に基づく年3分の割合による金員の支払い並びに民法第723条に基づく名誉回復措置請求権として別紙1記載の謝罪広告を別紙2記載の条件で1回投稿するよう求める。

                            以 上

2か所の下線は山口が付したもの
転記ミスはあります