「CES」は、米ラスベガスで毎年開催されている大型展示会だ。以前は「家電見本市」という位置付けだったが、近年は最新の技術が集結する「テクノロジー展」の様相を呈している。CES 2022は今年1月に終わったばかり。どのような先進技術に注目が集まったのか。
目次
そもそも「CES」とは?
前述の通り、CESは毎年ラスベガスで開催される展示会で、開催月は1月となっている。主催しているのは全米民生技術協会(CTA)で、展示会の規模としては世界最大級だ。
CESは「Consumer Electronics Show」の略称であることから「家電ショー」という意味合いを持ち、その名の通り、以前はさまざまな家電製品がこの展示会で大々的にPRされた。プラズマテレビに電子ペーパー、ハードディスクドライブ……といった具合だ。
しかし、時代の中心がハードウェアの開発からソフトウェアや新技術の開発に移行しつつある中、CESは技術見本市という役割を果たしていくようになる。日本のメディアも以前はCESのことを家電見本市と紹介していたが、いまは技術見本市と記載するケースが多い。
CESで注目を集めた技術
そんなCESが2022年も年明け早々の1月に開催された。今年はどのような技術に注目が集まったのだろうか。特に来場者から大きな関心を集めたのが、「自動運転」や「メタバース」に関連する技術だ。
自動運転:GMやボルボ・カーズが新技術などアピール
米自動車メーカーのゼネラルモーターズ(GM)に関しては、メアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)の口から自動運転ソフトウェアに関して言及があった。
GMは現在、「Super Cruise(スーパークルーズ)」と「Ultra Cruise(ウルトラクルーズ)」という2つのソフトウェアを開発している。両方とも自動運転ソフトウェアとして開発されているが、Ultra Cruiseの方がより高度な技術が搭載される予定だ。
このUltra Cruiseの実用化時期について、バーラCEOは「2023年」という目標を掲げた。Ultra Cruiseを搭載した車両では、走行中の約95%をハンズフリー(手放し)でいられるという。
スウェーデンの自動車メーカーであるボルボ・カーズ(Volvo Cars)は、将来的に同社のフラッグシップとなる新SUV(多目的スポーツ車)として「コンセプト・リチャージ」を発表した。市販時期については明らかになっていないが、注目したい点がある。
それが、自動運転向けセンサーとして知られる「LiDAR」を標準搭載するという点だ。ボルボ・カーズはコンセプト・リチャージを使って、カリフォルニアで公道実証を開始する計画を立てており、安全性が立証された後、本格的に自動運転車として商用展開するものとみられる。
メタバース:エヌビディアやヒュンダイが戦略・構想を発表
CES 2022では自動運転技術と並んで「メタバース」にも注目が集まった。
メタバースとは、仮想空間で自分の分身(アバター)を使って他のユーザーと交流する仕組みのことを指す。以前はオンラインゲームの中でだけ注目を集めていたが、最近はメタバースをさまざまなビジネスとマッシュアップ(組み合わせ)させる動きも加速している。
こうした中、CES 2022では半導体大手の米エヌビディア(NVIDIA)が、メタバース用のコンテンツを制作することが可能な基本ソフトの無償バージョンを展開することを発表した。韓国の自動車メーカーであるヒュンダイ(Hyundai)は、メタバースを通じて現実とロボットをつなげるという構想を発表している。
昨年はFacebookが「Meta」に社名を変更し、メタバース事業に注力することを発表して話題となった。2022年は今後もさまざまなメタバース関連のニュースが飛び出しそうだ。
「J-Startup」は通算4回目の出展
CESでは、JAPANパビリオンとして「J-Startup」が出展したことにも触れておきたい。出展は通算4回目で、今回は日本のスタートアップ企業52社が参加した。
そしてその中の6社がCESの主催者から贈られるイノベーションアワードを受賞している。参考までに、受賞企業と対象製品を紹介しておこう。
企業 | 対象製品 |
エアラボ | 吸引式ハンドドライヤー「CIRCULA」 |
クォンタムオペレーション | 非侵襲血糖値取得センサー |
Piezo Sonic | 自律搬送ロボット「Delivery AMR:Mighty-D3」 |
フェアリーデバイセズ | LTE搭載ウェアラブルカメラ「LINKLET」 |
mui Lab | 手で操作が可能な木製のIoTデバイス「muiボード」 |
ライトタッチテクノロジー | 採血のいらない非侵襲血糖値センサー |
※出典:JETRO
来年のCES 2023にもぜひ注目を
CESは毎年開催され、今後も最先端の注目技術が披露される場であり続けるはずだ。来年のCES 2023にもぜひ注目したい。