22日に約2か月半ぶりに「まん延防止等重点措置」が全面解除となるが、病床使用率が依然高い水準の大阪府の医療現場は、依然として苦しい状態が続いている。
「24人陽性者がいた。2人は酸素が低下している」ーー。昨年12月17日以降、大阪府内で発生したクラスターのうち47%が高齢者施設だった。死者の割合も60歳以上が97%を占めている。
自宅療養者を中心に訪問診療を行っていた「KISA2隊大阪」の小林正宜医師。2月初旬からクラスターが発生した高齢者施設の支援に入り始めた。
「あまりにも今回の第6波でクラスター(が発生した高齢者)施設が多くなりすぎて、クラスターが起きてから2週間経ってようやく我々のところに情報が来て、介入する状況が多くありました。そのような状況ではすでに感染者20人,30人いるような状況になってしまっている」(小林医師)
高齢者施設でクラスターが多発している原因については、小林医師は「高齢者のみなさんは感染していてもしていなくても、ほとんどの方がマスクをしていませんでした。どうしても認知症や高齢者の方々の事情でマスクができないこともありうるかもしれませんが、その辺が非常に問題点であって広がりやすさの原因になっているんじゃないか」と説明する。
現在の往診はピーク時に比べると半数ほどになったというが、府内の軽症中等症の病床使用率は約55%と依然、高い水準だ。「何日も下痢が続いている、すごく体がしんどいけど、酸素濃度はまだ95,96%あるという患者さんは、救急車を呼んだとしても酸素が保たれているので搬送にはなりません。通常の医療ではこういったことは起きませんから」(小林医師)
小林医師は感染者数が減少傾向であることを踏まえ、”まん延防止”の解除については一定の理解を示している。「今回重要な部分は高齢者の感染と重症化。ここはまん延防止のターゲットと直結しないと思っています。まん延防止をいったん解除するのは経済面からみても、ある程度妥当な判断なのではないかと考えています」
22日”まん延防止”が解除される一方で、依然として厳しい状態が続く医療現場。高齢者への感染を予防する継続的な対策が求められている。