フリップ芸にもデジタル化の波! 紙芝居芸人・ZAZYさんが、液晶ペンタブレットを実はバリバリ使いこなしていた話
R-1グランプリ2022決勝を終えたZAZYさんに、話を聞いてみました。
液晶画面に直接メモや絵を描くことができる「液晶ペンタブレット(液タブ)」。Twitterなどで漫画家さんが使っている姿を見たり、デジタルイラストやスケッチに興味があったりといったきっかけで存在を知っている人もいるでしょう。
一方で、液タブに対してよく抱かれるイメージとして「プロの漫画家さんやイラストレーターさんが使うもの」「気になってはいるけど、気軽には手が出せない」という声も聞かれます。かくいう筆者も、そのような印象を持っていた一人でした。
そこで今回では、そんなイメージとは少し異なる――ある方をお招きして、“気軽に使える”液タブの魅力を探っていきたいと思います。
お笑い芸人のZAZYさんです。
金髪ロングヘアに全身ピンクというビジュアルも印象的ですが、ZAZYさんといえばやはり「紙芝居ネタ」。個性的なイラストの紙芝居を、クセになるリズム感でどんどんめくっていくZAZYさんのネタは、一度見ると忘れられなくなる強烈なインパクトがあります。
この記事はズバリ、そんな「紙芝居芸人」のZAZYさんに、ペンタブレットメーカー・ワコムの液晶ペンタブレットを使ってもらってみよう! という企画です。
「R-1決勝のネタも、液タブとCLIP STUDIO PAINTで描いてました」
本日はよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
先日はR-1グランプリの決勝お疲れ様でした。優勝まであと一歩という結果で、ZAZYさんはとても悔しそうでしたが……2本ともたくさん笑って、優勝がどちらになるか最後までわかりませんでした。
ただ実は、このインタビューでは「アナログイラストを描いている芸人さんに、液タブでデジタルイラストを描いてもらったらどうなる!?」という企画をやろうと準備していまして……そうしたらR-1の決勝で、ZAZYさんがノートPCとともに現れて、フルデジタルネタを披露されたので意表を突かれました。
あのネタで使っていたイラストは、液タブなどを使ってデジタルソフトで描かれたものなんでしょうか?
はい。(液タブを)持っているので、自分のデスクトップPCとつないで描きました。ソフトはCLIP STUDIO PAINTを使ってます。
まさかの「もう持っててバリバリ使ってた」という。
ワコムさんの液タブを使ってますよ。たしかこんな……(ワコムさんと機種を確認する)。
「Cintiq 13HD」ですかね。すでに使っていただいているというのは予想外でしたが、うれしいです。
同じ絵を手描きで複製、後輩がコーヒーこぼして描き直し……→デジタル導入へ
デジタルイラストは、いつごろからネタに導入されたんでしょうか?
4年~5年くらい前ですかね。それ以降は紙芝居スタイルのネタでも、デジタルで描いた絵を大きく印刷して使っています。
では、それより前は完全アナログで?
そうです。ぶっといマーカーで線を書き、絵の具やクレヨンで色を塗ってましたよ。同じ絵が何回も続くネタでは、なるべく同じになるように気を付けながら何枚も同じ絵をちゃんと実際に描いてました。
THE・アナログエピソードですね。絵の具で塗るのも大変そう……!
乾き待ちの時間とか大変ですよね。それでも塗りムラとかはあったりするので、デジタルで描いた絵を印刷したほうが、発色が圧倒的によかったです。
デジタルイラストを始めたきっかけは、そういった苦労があったからなのでしょうか?
一番は「データが残せる」というところでした。ネタで使った紙芝居は保管してはいるんですが、スベったやつとかイマイチだったやつは、すぐ捨てちゃうこともあって。そういう絵をあとから使いたくなったら、一から書き直すしかありませんでした。でもデジタルだと、データが残っていればまた印刷すればいいだけなので。
捨ててしまった絵をもう一度描き直すのはキツいですね。汚れてしまったり傷んでしまったりした場合も、アナログだと描き直すしかないんですね……。
ネタ用にまとめて持っていた紙芝居に、後輩がコーヒーをこぼしてしまったこともありました。後輩もどうしたらいいか分からず、すごく謝っていたので、その場では「全然、全然」って言ったんですが……内心は最悪でしたよね。弁償とかもできないものですし。
ああ~、それはつらい……!
アナログでの作画からデジタルに移行して、描き心地に違和感などはありましたか?
それは全然! スムーズに使い始められました。
液タブは手元を見ながら描けるので、やっぱり始めやすいんですね。あとは、ペイントソフトといえば機能がたくさんあって難しそうなイメージを持つ人もいると思いますが、CLIP STUDIO PAINTを使いこなすのに苦労はしませんでしたか?
描くだけなら本当にすぐ描けますからね。そこからあとは、こういう効果を使いたいときはどうすればいいんだろう? とひとつひとつ調べながら覚えていきました。それでもすぐに慣れましたよ。なんや、この「レイヤー」って概念は!!(※) って最初すごく感動したりしましたね。
※レイヤー:透明なキャンバスを何枚も重ねて1枚の絵にする機能。「背景色のレイヤー」「人物の色のレイヤー」「人物の輪郭線のレイヤー」などとレイヤーを分けることで、他のレイヤーには影響を及ぼさずに、指定したレイヤーだけを編集できる。CLIP STUDIO PAINTやPhotoshopなど、多くのペイントソフトに搭載されている基本的な機能のひとつ。
一度披露したネタでも「ここの絵は色を変えたほうがウケたかもな」とか「ここの字はもっと大きくすればよかった」とか思うことがあるんですよ。レイヤーを分けていると、そういうときに一から描き直さなくてよくて、ぱっと修正できるのがいいですね。
一度披露した紙芝居ネタでも細かいアップデートが入ることがあるんですね。
あとは「絵としてはめっちゃうまく描けたのに、紙全体に対して小さかった」とか「下書きでは良かったのに、ペンでなぞったら違う感じになった」みたいな失敗もありますよね。そういうのもアナログだとやり直しができないので。
絵を描いているとよくなるやつだ……!
そういうのも、デジタルだと修正が簡単にできるので、すごく良いですよね。
液タブを使ってその場で絵を描いてもらった
デジタルでも絵を描き慣れていらっしゃるということなので、今日はこの場で実際に少し絵を描いてみてもらえないでしょうか。ワコムさんに液タブを持ってきてもらいました。
今日持ってきたのは、「Wacom One 液晶ペンタブレット 13」という製品です。ワコムの液晶ペンタブレットの中でも、エントリーモデルという位置づけの製品ですね。
ミドルクラス以上の「Wacom Cintiq」や「Wacom Cintiq Pro」などの液晶ペンタブレットは、サイズによって7万円台から40万円するものもありますが、「Wacom One」は4万円台でお求めいただけます。※ワコムストア価格
今、液タブってそんなに安くなってるんですね!
デジタルイラスト制作や画像編集などのクリエイティブ用途から、テレワークでの資料への書き込みや手書きのメモまで、様々な分野でお気軽にご利用いただけるデジタルスターターパックです。デジタル初心者の方にも気軽に手に取ってお試しいただきたい製品ですね。
めちゃくちゃ使いこなしてる……。
(サクサクとお絵描き中)
描き心地はどうでしょうか。ご自宅で使っているのは「Cintiq 13HD」とのことですが……?
いい感じに使えてます、普段使っているものよりペンもだいぶ軽くなってますね。これが4万円台で買えるのはいいですね。
ペンの感知精度や画面上でのわずかな反応ズレなど、年々アップデートする企業努力は重ねています。ZAZYさんが普段お使いいただいている「Cintiq 13HD」は、プロ向けの製品ですが少し前のモデルなのに対し、「Wacom One」はエントリーモデルですが最新のテクノロジーを採用しているので、十分使いやすいと感じていただけてるのかなと思います。
できました。
早!!!
できてる……時間にして10分もかかっていないかもしれないです。いつもこんなに早く描けるのでしょうか?
一番描き慣れてる絵を描いたので、早くできました。
やっぱりこの絵が一番描き慣れてるんですね。絹江おばあちゃんとパン。
かかる時間は絵によって全然違いますね。描き慣れている絵だと5分くらいで描けると思います。芸能人の方の似顔絵などはすごく時間がかかります。
描くのが大変で記憶に残っている方などいらっしゃいますか?
俳優さんの絵は難しいですよ。檀れいさんを描くのも難しいです。
檀れいさん、ZAZYさんのネタに結構登場しているイメージだったのに……! 特徴をつかんで似顔絵を描くって難しいですよね。
この鉛筆みたいなのは何ですか?
そちらは、三菱鉛筆さんとワコムが共同で開発したデジタル鉛筆です! 中に入っているのはデジタル芯ですが、外側は本物のHi-uni鉛筆と同じ木材を使っています。
Wacomの刻印も入ってるんですね!
「Cintiq」シリーズは純正ペンしか対応していないのですが、「Wacom One」ではこういった、有名文具メーカーのデジタルペンでも描画ができるようになっています。
すごい。本当の鉛筆で液タブに描いているみたいで、ちょっといけないことをしてる感じがします。
見た目は完全に鉛筆ですもんね。
アナログ×デジタルの可能性は、いろんな場所で
イラストをササッと描かれているのを拝見して、ZAZYさんはすでに液タブを使いこなしていたのだな~とあらためて驚きました。デジタルイラストと紙芝居ネタって、実は相性がいいんでしょうか。
自分のネタでは特に、イラストの枚数がたくさん必要だったり、同じイラストを繰り返して見せたりといったことがあるので、デジタルイラストを始めて良かったとはすごく思っています。
一方でやっぱり、フリップや紙芝居を使うスタイルの芸人さんの中には、紙にアナログで描くスタイルにこだわる方もいるんじゃないかなとも思っていました。R-1決勝では、デジタル絵をモニターに表示する“完全デジタル”ネタを披露したZAZYさんですが、その辺りについてはどう考えていらっしゃいますか。
R-1決勝のようなネタはPCでしかできないですが、紙芝居を手でめくっていくスタイルのネタは、めくるテンポやめくり方でも笑いを取ることができて、それはPCではできないことなので。どっちにもメリットがありますよね。「どっちもありやな」って思ってます。
王道の紙芝居スタイルの“らしさ”はそのままに、デジタルイラストの便利さや、デジタルならではの面白い表現も同時に追求されているのはさすがですね。
意外な方の「液タブ使いこなしエピソード」を聞くことができて、とても興味深かったです。「液タブ=漫画家さんやイラストレーターさんが使うもの」という印象があったのですが、ZAZYさんやワコムさんから今回お話を伺って、イメージがだいぶ変わってきました。
「Wacom One」は、プロのイラストレーターさんというよりもデジタル初心者の方にこそ使っていただきたい、エントリーモデルの液タブです。お値段もワコム製品の中では手に取りやすい価格帯になっているので、まずはぜひZAZYさんのように「デジタルで描く便利さ・楽しさ」を感じていただきたいですね。
ZAZYさん、ワコムさん、ありがとうございました!
【異色のコラボ】 ZAZY×Wacom One フォトギャラリー
今回のインタビューの前から液タブを使いこなしていたというZAZYさんでしたが、やはり多くの読者の方にとって「紙芝居じゃない」ZAZYさんの姿は新鮮に映ったのではないでしょうか。「ZAZY×Wacom One」という異色の組み合わせを、最後は写真でたっぷりと堪能してもらえればと思います。
【完】
提供:株式会社ワコム
アイティメディア営業企画/制作:ねとらぼ編集部/掲載内容有効期限:2022年3月31日
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