【EDH】要求仕様の確立と見える化
2020年4月11日 Magic: The Gathering
1.動機
カードゲームに事故は付き物である。また事故やドブンとまでは行かなくとも、回りの良し悪しは往々にして感じるだろう。折角のゲームなのだから、フラストレーションはなるべく軽減したいものだ。そこで、EDH中のQOLを上げるために確率を活用しようと思う。
ゲームで確率と言えば、まずポケモンの命中率が思い浮かぶ。ポケモンでは「命中率85」というように、数値を見た上で技を取捨選択し使用することが出来た。また命中率は100,95,90,85,80,…というように人間が「切りが良い」と感じる値となっている。そのため自分が満足出来る数値を把握しやすい。つまりポケモンでは、
数値→感覚
という順で確率を体験することになる。
しかし、カードゲームには命中率のような目に見える指標が無い。精々爆積みなどのコイントスくらいか。だからこそ計算することに意義があるのだが、ポケモンの命中率とカードゲームの確率には大きな違いがある。
例えばnターン目に土地をk枚引く確率Pを考えるとき、総土地数Kに依存して確率Pは様々な値をとる。この場合、確率Pの価値は自分の満足度のみに依存し、数値の切りの良さには何ら意味が無い。そのため、自分の感覚が明確でなければ確率を有効活用出来ない。つまりカードゲームでは、
感覚→数値→感覚
という順で確率を体験することになるのだ。
では自分の感覚を明確にするにはどうしたら良いか。この疑問の答えを知るべく検討を進めた。
2.目的
EDH中のQOLを高めるため自分の満足度の閾値となる確率を明らかにする。その上で、自分のデッキ構築における要求仕様を確立させたい。デッキの乱れは宇宙の乱れ。
3.見える化
感覚を定量化するためには、既存のデッキで満足度の高いものの確率を計算すると手っ取り早いだろう。言わばデッキの見える化である。ここでは私が所持している2つのデッキをモデルに確率を見ていく。
◆キープ条件について
デッキA,Bのキープ条件を満たす確率は以下の通りである。
デッキA:40.0%
デッキB:40.3%
想像していたより低いと感じる。しかしこれほど値が近いのであれば、この確率を自分の満足度の閾値と見なして差し支えないだろう。またダブルマリガンまでにキープ条件を満たす確率はデッキAで78.4[%]となる。実戦では次のマリガンでキープ条件を満たす確率は変動しないが、よりキープ条件の厳しいデッキを構築する際の目安として。
◆土地の枚数について
レナータとケリクでは土地の枚数に1枚の差がある。しかし、この差を体感出来ているとは言い難い。そもそも土地の採用枚数についてはまだ確信を得られていない。そのため根本的な所から見ていこうと思う。
画像の1枚目は「デッキ99枚の初手7枚について、横軸を引いた土地の枚数k=0,1,2,…,7、縦軸を確率Pとして、総土地数K=28,29,…,38の確率分布」を無理やり平滑線で示したものである。このグラフからわかることは以下の通りである。
・EDHのメジャーな土地配分では総土地数を増やすと初手の土地数がバラツきやすくなる
・総土地数28~36では初手の土地数の最頻値は2枚
・自分は1.0%程度の差を認識出来ない
キープ条件とする土地の枚数は2枚以上が妥当だということは直ぐに理解出来る。初手の土地数を3枚要求するとQOLは下がりそうだ。
ここでデッキ99枚の初手7枚をキープした場合を考える。初手の土地数をk枚、総土地数をKとすると、
デッキ内土地数:K-k
デッキ内の土地割合:(K-k)/93
となる。例えば、初手の土地数が1枚と2枚ではデッキ内には1/93の差しか無く、次のドローで土地を引ける確率は1.08[%]しか変わらない。デッキの総土地数を1枚増減させた場合にも同様のことが言える。
一方で、初手の土地数の差がゲームに無視出来ない影響を与えることは言うまでもないだろう。手札の1枚とデッキ内の1枚には、人間が感じる価値に大きな差があるということだ。
では初手以外はどうでも良いのかというと、そうでもない。画像の2枚目は「デッキ99枚の総土地数K=28,30,32,34について、横軸を引いた土地の枚数k=0,1,2,…,7、縦軸を確率Pとして、全部でn枚引いた時の確率分布」を無理やり平滑線で示したものである。初手7枚からドローを進めた際の確率ではなく、机上論の色が強いため注意されたし。
このグラフから「総土地数の変動次第では、引いたカードの枚数の方が欲しいカードを引ける確率に与える影響は大きい」ということが見て取れるだろう。
つまり、微調整の段階では土地よりもドローを優先した方が土地を引きやすくなる。当然これは土地以外の枠にも共通するため、早い段階で統率者がドローソースとなるデッキは非常にQOLが高そうだ。ティムトラ使おう。
当たり前だが、採用に足るドローが無い場合は、欲しいカードを増やすことで少しでも理想に近づけるようにすると良いだろう。テンポロスにはなるがサーチをドローの代用にすることも出来る。
4.要求仕様
以上のことから、自分の要求仕様は以下のようになった。
・キープ条件を満たす確率は40.0[%]以上
・微調整ではドローを優先して採用
自分が楽しむためだけにした計算だが、誰かのQOLを上げるきっかけになれば嬉しい。
カードゲームに事故は付き物である。また事故やドブンとまでは行かなくとも、回りの良し悪しは往々にして感じるだろう。折角のゲームなのだから、フラストレーションはなるべく軽減したいものだ。そこで、EDH中のQOLを上げるために確率を活用しようと思う。
ゲームで確率と言えば、まずポケモンの命中率が思い浮かぶ。ポケモンでは「命中率85」というように、数値を見た上で技を取捨選択し使用することが出来た。また命中率は100,95,90,85,80,…というように人間が「切りが良い」と感じる値となっている。そのため自分が満足出来る数値を把握しやすい。つまりポケモンでは、
数値→感覚
という順で確率を体験することになる。
しかし、カードゲームには命中率のような目に見える指標が無い。精々爆積みなどのコイントスくらいか。だからこそ計算することに意義があるのだが、ポケモンの命中率とカードゲームの確率には大きな違いがある。
例えばnターン目に土地をk枚引く確率Pを考えるとき、総土地数Kに依存して確率Pは様々な値をとる。この場合、確率Pの価値は自分の満足度のみに依存し、数値の切りの良さには何ら意味が無い。そのため、自分の感覚が明確でなければ確率を有効活用出来ない。つまりカードゲームでは、
感覚→数値→感覚
という順で確率を体験することになるのだ。
では自分の感覚を明確にするにはどうしたら良いか。この疑問の答えを知るべく検討を進めた。
2.目的
EDH中のQOLを高めるため自分の満足度の閾値となる確率を明らかにする。その上で、自分のデッキ構築における要求仕様を確立させたい。デッキの乱れは宇宙の乱れ。
3.見える化
感覚を定量化するためには、既存のデッキで満足度の高いものの確率を計算すると手っ取り早いだろう。言わばデッキの見える化である。ここでは私が所持している2つのデッキをモデルに確率を見ていく。
デッキA
統率者:狩りに喚ばれしレナータ
キープ基準:19(サーチ9,ドロー10)
マナ加速:21
土地:31
デッキB
統率者:ヨーグモスの息子、ケリク
キープ基準:14(サーチ12,ドロー2)
マナ加速:38
土地:30
初手のキープ条件(デッキA,B共通)
・キープ基準が1枚以上
・マナ加速が1枚以上
・土地が2枚以上
◆キープ条件について
デッキA,Bのキープ条件を満たす確率は以下の通りである。
デッキA:40.0%
デッキB:40.3%
想像していたより低いと感じる。しかしこれほど値が近いのであれば、この確率を自分の満足度の閾値と見なして差し支えないだろう。またダブルマリガンまでにキープ条件を満たす確率はデッキAで78.4[%]となる。実戦では次のマリガンでキープ条件を満たす確率は変動しないが、よりキープ条件の厳しいデッキを構築する際の目安として。
◆土地の枚数について
レナータとケリクでは土地の枚数に1枚の差がある。しかし、この差を体感出来ているとは言い難い。そもそも土地の採用枚数についてはまだ確信を得られていない。そのため根本的な所から見ていこうと思う。
画像の1枚目は「デッキ99枚の初手7枚について、横軸を引いた土地の枚数k=0,1,2,…,7、縦軸を確率Pとして、総土地数K=28,29,…,38の確率分布」を無理やり平滑線で示したものである。このグラフからわかることは以下の通りである。
・EDHのメジャーな土地配分では総土地数を増やすと初手の土地数がバラツきやすくなる
・総土地数28~36では初手の土地数の最頻値は2枚
・自分は1.0%程度の差を認識出来ない
キープ条件とする土地の枚数は2枚以上が妥当だということは直ぐに理解出来る。初手の土地数を3枚要求するとQOLは下がりそうだ。
ここでデッキ99枚の初手7枚をキープした場合を考える。初手の土地数をk枚、総土地数をKとすると、
デッキ内土地数:K-k
デッキ内の土地割合:(K-k)/93
となる。例えば、初手の土地数が1枚と2枚ではデッキ内には1/93の差しか無く、次のドローで土地を引ける確率は1.08[%]しか変わらない。デッキの総土地数を1枚増減させた場合にも同様のことが言える。
一方で、初手の土地数の差がゲームに無視出来ない影響を与えることは言うまでもないだろう。手札の1枚とデッキ内の1枚には、人間が感じる価値に大きな差があるということだ。
では初手以外はどうでも良いのかというと、そうでもない。画像の2枚目は「デッキ99枚の総土地数K=28,30,32,34について、横軸を引いた土地の枚数k=0,1,2,…,7、縦軸を確率Pとして、全部でn枚引いた時の確率分布」を無理やり平滑線で示したものである。初手7枚からドローを進めた際の確率ではなく、机上論の色が強いため注意されたし。
このグラフから「総土地数の変動次第では、引いたカードの枚数の方が欲しいカードを引ける確率に与える影響は大きい」ということが見て取れるだろう。
つまり、微調整の段階では土地よりもドローを優先した方が土地を引きやすくなる。当然これは土地以外の枠にも共通するため、早い段階で統率者がドローソースとなるデッキは非常にQOLが高そうだ。
当たり前だが、採用に足るドローが無い場合は、欲しいカードを増やすことで少しでも理想に近づけるようにすると良いだろう。テンポロスにはなるがサーチをドローの代用にすることも出来る。
4.要求仕様
以上のことから、自分の要求仕様は以下のようになった。
・キープ条件を満たす確率は40.0[%]以上
・微調整ではドローを優先して採用
自分が楽しむためだけにした計算だが、誰かのQOLを上げるきっかけになれば嬉しい。
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