渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

独色

2021年12月19日 | open


ドイツ軍の軍装品を売っている店
のサイトは、バックにはジャーマン
ブルーを使っているようだ。
ドイツ軍の色。車両やオートバイは
この色。

しかし、考えるに、よく『仮面
ライダー』(1971)ではナチスの
制服を使用できたなあと思う。
ショッカーはナチスの残党が作っ
たという設定だったからというの
もあるが、ハーケンクロイツだけ
でなく、ナチス軍服はヨーロッパ
では厳禁だ。ドイツでは法律で
禁止されている。
これに関しては「表現の自由」など
は認めない。
ヨーロッパは徹底していて、ナチ
ズムとファシズムを完全否定する。
そして、過去の大戦でのナチスドイ
ツの所業を悪であると認識していて、
それを許した事への反省からナチス
系の表現は禁忌としている文化と
意識性が根付いている。
それを理解しない無知でおばかな
日本人は、平気でナチスのコスプレ
をしたりする。国際感覚ゼロ。

北野たけしがベネチア国際映画祭
に出席した時のスピーチで、イタリ
ア人に向かって「もう一度日本と
組んでアメリカとイギリスに一泡
噴かせてやろうぜ」と言った。
一堂がシラーっとなり失笑された。
たけしは帰国後に「ウケなかった。
シャレのわからねえ奴らだ」とか
言っていた。
わかってねえのは北野たけしだ。
なにビートたけしかましてんだよ、
と。シャレになってねえのはあん
ただ。
三国同盟の枢軸の事しか頭にない。
そもそもイタリアは大戦末期に国が
ふたつに割れて、ナチスドイツと
戦った「イタリア」があった事さえ
もしかすっとたけしは知らないの
だろう。
また、戦後ヨーロッパにおいては、
ファシズム、ナチズムをお笑いの
ネタとして言うような不謹慎な文
化は一切存在しない。
西欧全土を蹂躙し、ユダヤ人を大量
虐殺したナチスの行為を断じて永遠
に許さないという精神性と教育が
ヨーロッパでは徹底されている。
それをたけしは知らなかったのだろ
う。
それは、たけしが明大ブントでは
真面目にワッショイやってなかっ
たからという訳ではない。彼のア
ンテナの限界性だ。
たけしは、尊敬する勝てない人物と
して明石家さんまを挙げている。
しかし、さんま評として、「知性に
欠けるからお笑いの基本が難しい話
ではなく瑣末な人の仕草や言動を
あげつらっていじる事しかできない。
それが彼の限界性」とも言っていた。
だが、イタリアでの一件は、殿、
あれはオソマツだと思いますよ。

41年前、ある新左翼セクト機関紙
の文化欄の取材の時、問い詰めた
訳ではなにのに、話しているうち
にたけしは涙ぐむように下を向い
てしまった。
お笑いのネタの立脚地の視点の問題
について文化史的な点から話しかけ
ていたら。
大人気だったお笑い芸人だった彼
がよくうちらの取材を受けてくれ
たなとは思うが、たけしは言葉に
詰まってしまっていた。
嫌な顔をしていたのではない。
何かを思い出すように、下を向いて
黙って涙ぐんでしまったのだ。

長年続けたコメンテーターの席を
降りるという。
今後は更に良い映画を撮ってほし
いと願う。
劇団ひとりの『浅草キッド』は
最高だったよ。近年まれに見る
良作ノンフィクション映画だった。
たけしも、もっともっと作ってほ
しい。
スピルバーグは『ウエストサイド
ストーリー』を作ったぜ。2月に
公開だ。
たけしも、観た人が感動して死ん
じゃいそうになるくらいの作品を
これからも撮ってほしい。



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