以前カゼトゲタナゴを累代維持しようとするもカネヒラ浮上で終わったタナゴ飼育。

 

今年は真面目にやってみました。

 

動画作ったのでご笑覧ください。

今回は「小学生や外国人でも理解できる」をコンセプトに作ってみた。

 

カゼトゲタナゴの生態

 

 

 

 

では記事を。

 

まずは種親の健康チェック サーチ

 

 

問題無し。

 

九州遠征から3年近く経過。

フルサイズを採集したから、推定年齢5歳くらいでしょうかね。

野生寿命は2年程度。

カゼトゲは飼育下だと長生き。

 

●カゼトゲタナゴ飼育

 

(餌)

 

動物食寄りの雑食。

餌は市販の粉餌(口に入る小粒タイプが良し)

 

 

(フィルター)

 

無難なのは、外部フィルターにセラミック濾材(生物ろ過主体)

保険でエアレーションや投げ込み式フィルター(物理ろ過)を用いる。

 

水が古くなるとヒレが溶け、体調を崩すので定期的に換水、フィルターの掃除。

 

特に上部フィルター等の物理ろ過主体で飼育する場合は、昼夜の水温変化が大きい春秋に水質悪化が速まるので、その時期だけヒーターで水温を一定にすると壊滅防止になる。

 

 

(その他)

 

タナゴの中ではバラタナゴやボテに次いで頑丈。

古い水に弱い面があるため水質に注意。

体が小さいので、同サイズかおとなしい魚と混泳させる。

飛び出し防止処置をしておく。

 

 

(繁殖について)

 

他のタナゴ同様、年間を通しての日照時間、水温変化で成熟する。

どちらかというと性成熟は水温変化に依存している。

屋内飼育では照明一日8時間。

屋内水槽における水温は12℃(真冬)~30℃(真夏)

 

無加温飼育の場合、春になるとオスに婚姻色があらわれる。

タナゴ繁殖はメスが重要。

オスは二枚貝無しでも勝手に発情するが、メスは抱卵までいっても産卵管が伸びず、繁殖失敗する場合が多い。

広めの落ち着ける環境で単独種飼育すると成功率は上がる。

 

カゼトゲは水温を上げれば真冬でも産卵することは確認済なので、タナゴの中では比較的容易。

本当に難しいのはイチモンジでもタビラ類でもなく、ヤリタナゴ。

適当に飼っていてはメスの産卵管が伸びずに終わる。

 

どうしても繁殖にこだわるなら人工授精させるか、外飼いすればあっさり産む。

 

 

婚姻色の出たオス(太陽光反射)

 

 

水を通さず直接太陽光反射させるとここまで発色する。

参考までに「タナゴ  構造色」で検索すると、詳しい解説出てきます。

 

 

メス(太陽光反射)

 

 

メスも少し色出ますね。

 

 

水中ではこんな色です。

 

婚姻色の出たオス(去年の写真)

 

 

 

婚姻色オス(今年の写真)

 

 

比べると老化してるなあ……。

寿命が近づくと退色し、痩せていきます。

 

こんな風に。

 

 下矢印

 

死亡数日前の個体

 

 

最期は大抵エロモナスかぽっくりですね。

 

 

抱卵したメス(去年の写真)

 

 

 

抱卵し産卵管の伸びたメス(今年の写真)

 

 

バラタナゴに比べ、カゼトゲは伸びた状態でも産卵管が短い。
 

去年の失敗は混泳水槽で産卵させようとした事。

繁殖行動はするけど、他の魚が気になって途中で止めてしまう。

昔、真冬に加温した混泳水槽で普通に産卵していたから、また産むだろうと正直なめていました。


そこは反省し、今回は設備を二つに分けました。

 

 

●観察用屋内水槽

 

貝を覗くカゼトゲタナゴのペア(去年の写真)

 

 

 

●屋外容器

 

 

屋内は産卵、浮上用水槽を置くスペースない……。

混泳水槽で産卵行動を観察した後、種親を屋外に移し単独種飼育する。


2週間後、二枚貝を隔離。


長期間産卵設備に二枚貝を入れておくと、産卵している確率は上がるが、二枚貝餓死リスクが増す。

 

短期間で二枚貝を引き上げると餓死リスクは下がるが、産卵している確率は下がる。

 

多数浮上しても困るので、イシガイ使いました。

カゼトゲ生息地にいる種類の貝に産ますのが本来の生態かと思い使用。

イシガイなら産卵終わった後も広めのビオに少数入れておけばそこそこ長生きしますしね。

 

注意点としては二枚貝は最初から死にかけの物や、ヒルが寄生している物がけっこうあり。

(注意といっても口が開きっぱなし、閉じる力が弱い、程度でしか判断できないが)

特にヒルに寄生された二枚貝からの稚魚浮上率は低い。

卵食ってるのでしょうか(汗)

 

では保険で二枚貝数十個使おう、という発想は乱獲と消費飼育に繋がるのでお互い控えましょうね。


人工授精がもっと手間かからず、顔、ヒレ、浮袋の奇形リスクがなければ……。

 

 

脱線してきたので話を元に戻し、


隔離から3週間後。

 

稚魚浮上(赤丸の中)

 

 

 

浮上直後の稚魚  横  体長約5mm

 

 

上から

 

 

最初からブライン幼生を食べる。

後は一日に1、2回ブラインを少量与える。

成長遅くてもいいなら粉餌でも可。

 

屋内にて中型プラケースに投げ込み式フィルター入れて、週一回 3分の2換水

 

 

浮上後13日目 体長6mm

 

 

 

この段階ではまだ弱々しい。

 

 

浮上後24日目 体長7mm

 

 

 

 

体高が出てタナゴらしくなってくる。

 

 

浮上後40日目  体長1cm

 

 

 

形としてはタナゴ。

泳ぎの速さも親並みに。

ピンボケ気味なのはそのせい(笑)

この時期からブラインシュリンプから粉餌に切り替え。

 

 

浮上後83日目  体長2cm

 

 

安心サイズに。

親と同居開始。

水槽内では粉餌に加え、苔も食うようになり雑食性が増す。

 

 

浮上後110日目  体長3cm

 

 

 

親と同サイズ。

 

兄弟ショット

 

 

翌春には繁殖を開始する。

 

 

で、肝心の浮上率は? って。


そりゃ低いのなんの(笑)

ほんの数匹。 少し貝の引き上げが早かったかな。

 

生息地でタイバラに押されている感じがしたのは、繁殖力の差でしょう。

カゼトゲはタイバラより繁殖期が短く一回の産卵数も少ないですからね。

 

 

ではここらで、おしまい。。。

 

 


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