GemMed | データが拓く新時代医療 > 新型コロナ対応 > 検査関連 > 「コロナPCR検査の外部委託」の点数引き下げ階段造設し、2022年4－6月：850点、7月以降：700点―中医協総会

「コロナPCR検査の外部委託」の点数引き下げ階段造設し、2022年4－6月：850点、7月以降：700点―中医協総会

2022.3.17.（木）

新型コロナウイルスのPCR検査について、市場実勢価格を踏まえて保険償還点数を段階的に引き下げているが、さらなる激変緩和のために「4月1日から6月30日までは850点とする」との中間措置を設ける―。

3月16日に開催された中央社会保険医療協議会・総会（持ち回り開催）で、こうした点が了承されました。

外部委託するPCR検査、「さらなる激変緩和」求める声に応え階段を造設

新型コロナウイルスのオミクロン株は、若干の落ち着きを見せ、近く蔓延防止等重点措置が全国で解除される見込みです。しかし、収束には至っておらず、最近では「混合感染（コロナ感染＋2次的な細菌感染など）」による死亡者なども増加しており、予断を許さない状況は続いています。こうした中では依然として「感染防止策の徹底」と「医療提供体制の確保」が継続した最重要テーマとなります。

医療提供体制のうち、新型コロナウイルス感染患者を鑑別する検査法に関しては、厚生労働省が▼PCR検査（核酸検査）▼抗原定性検査▼抗原定量検査―を保険適用。さらに「迅速に新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザとを鑑別できる検査手法」（関連記事はこちらとこちら）の開発・保険適用を進めるなど、体制の拡充が進められてきています。

コロナ感染症治療薬（中でも「迅速な投与により重症化防止」効果が期待できる▼カシリビマブ（遺伝子組換え）およびイムデビマブ（遺伝子組換え）（販売名：ロナプリーブ点滴静注セット300、同点滴静注セット1332）▼ソトロビマブ（遺伝子組換え）（販売名：ゼビュディ点滴静注液500mg）▼モルヌピラビル（販売名：ラゲブリオカプセル200mg）▼トシリズマブ（遺伝子組換え）（販売名：アクテムラ点滴静注用80 mg、同点滴静注用200 mg、同点滴静注用400 mg）▼ニルマトレルビル、リトナビル（販売名：パキロビッドパック）（抗ウイルス剤のニルマトレルビルと、抗HIV薬のリトナビルを合わせて服用する）―）の相次ぐ登場、濃厚接触者の待機期間短縮や例外的な業務従事などの面で「コロナウイルス検査」の重要性が増しています（関連記事はこちら）。

ただし、コロナ検査の保険償還点数について「実勢価格を踏まえて検証し、その結果を踏まえて2021年内を目途に必要な見直しを行う」方針が固められ、12月8日の中央社会保険医療協議会・総会で各検査の「点数引き下げ」が了承されました。「保険点数が検査の実勢価格に比べて高い」→「自費検査の価格高止まりを招いている」と考えられたようです（関連記事はこちら）。

具体的には次のような点数引き下げが決定しました。

●PCR検査（SARS－CoV－2核酸検出）【国立感染症研究所が作成した「感染性物質の輸送規則に関するガイダンス 2013－2014版」に記載されたカテゴリーBの感染性物質の規定に従って、検体採取を行った医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合】
2021年12月30日まで：1800点
↓
21年12月31日－22年3月31日まで：1350点
↓
22年4月1日以降：700点

●PCR検査（SARS－CoV－2核酸検出）【上記以外の場合】
2021年12月30日まで：1350点
↓
21年12月31日以降：700点

●抗原定性検査（SARS－CoV－2抗原検出（定性）
2021年12月30日まで：600点
↓
21年12月31日以降：300点

●抗原定量検査（SARS-CoV-2 抗原検出（定量）
2021年12月30日まで：600点
↓
21年12月31日以降：560点

PCR検査（核酸検出検査）のうち「検査を外部委託する」ケースについては、点数の引き下げ幅が大きなため「激変緩和措置」として「21年12月31日から22年3月31日まで」の階段が設けられたものです。

この点、「さらなる激変緩和措置が必要ではないか」との声も強く、3月16日の中医協総会（持ち回り開催）では次のように「もう1段、階段を造設することで、より緩やかな激変緩和措置とする」ことが決定されました。

コロナPCR検査を外部委託する場合、新たな階段を設けて、より緩やかな点数引き下げとする

コロナ検査の点数概要

なお、中医協委員からは「コロナ検査を含めた検査料等については、市場実勢価格を踏まえた適切な点数としていくために、継続的に実態を把握・検証する必要がある」（支払側の松本真人委員：健康保険組合連合会理事）、「7月以降に700点に引き下げる予定だが、その時の感染状況や医療機関での実施状況を踏まえた上で、医療現場の持ち出しとなるようなことのないような柔軟な対応をしてほしい」（診療側の城守国斗委員：日本医師会常任理事ら）、「期間限定で点数を引き上げた理由などについて、国民に対しもう少し詳しい説明をしてほしい」（公益代表の中村洋委員：慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授）などの注文が付いています。