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クールジャパンの成功例か??  低落傾向から、海外販路拡大によって出荷量が反転上昇する日本のプラモデル

プラモデルの出荷額が再び増加傾向

鉱工業指数では、プラモデルの出荷動向を、数量に基づいて2010年を100として表した指数を公表しています。その推移を見ると、ミニ四駆ブームを背景に上昇していた指数は2015年にピークを迎え、その後は低下してきていました。

ところが、2017年半ばからは、反転上昇してきています。2018年第2四半期の指数水準(季節調整済)は155.6と高水準になっています。

出荷金額を調査している生産動態統計調査によると、ピークであった2016年第2四半期とほぼ同じ、72億円台に回復しています。

このように、2018年に入って、プラモデルの出荷は、数量面でも金額面でも高い水準となっています。

出荷額増加の背景に輸出拡大

プラモデルと言えば、史上最大のヒット作と言われるのがガンダムのプラモデル(ガンプラ)です。昨年8月には、ガンプラ作りを体験できる施設、ガンダムベース東京がオープンしました。この施設、実は、東京より先に、韓国や台湾に開設されていました。また、この夏には香港でイベントが開催されるなど、ガンダムは、日本国内だけなく、海外でも人気のようです。

工業統計によると、プラモデルの出荷額は、2016年に約190億円でした。これに対し、貿易統計によると、同年のプラモデル輸出額(注)は約98億円、つまり半分以上の額を輸出していることがわかります。

このプラモデルの輸出量(単位:トン)の推移を確認すると、実は、2017年下半期に大きく上昇しているようです。プラモデルの輸出の一つのピークは、2015年上期だったのですが、この時期は丁度、プラモデルの出荷量がピークだった時期でした。そして、2018年上期のプラモデルの出荷は、この過去のピークを越える水準になっているものと推測されます。

このように、プラモデル出荷の背景には,海外販路の成功があるように思われます。

輸出先として存在感を増す中国と北米

輸出量増加の黎明期とも言える2012年の時点では、韓国、香港、台湾が輸出先国・地域シェアのトップ3で、この3カ国・地域で輸出量全体の約70%を占めていました。2016年になると、これらの国に加えて、中国、アメリカ、タイが存在感を示すようになり、輸出先が多様化しています。実は、この5カ国・地域は、訪日外国人消費においても存在感のある5カ国・地域です(関連記事「日本で活発に消費してくれるのは、どこから来たお客様?;消費額上位5カ国・地域別の訪日外国人消費指数の動き(その1)」)

ガンプラを販売しているバンダイは、公式ショッピングサイト「プレミアムバンダイ」を、2012年に香港に開設して以降、台湾、シンガポール、中国、北米と海外で順次拡大しています。輸出先の顔ぶれを見ると、その取り組みが奏功しているようです。特に、海賊版の横行が問題になっていた中国でも、本物が手に入る公式ショッピングサイトが開設されたことによって、日本からの「本物」の輸出が拡大しているようです。

ガンダムは、ハリウッド映画にちょい役で出るだけではなく、日本企業が本格的に出資参加して実写映画化されることにもなっており、世界的なコンテンツになろうとしています。

先ほど紹介したように、プラモデルの主要輸出先は、日本での観光消費支出の多い国・地域と重なっています。こういったエリアのみならず、ガンプラを含むmade in Japanのプラモデルが、クールジャパンの成功例として、さらにより広い世界に雄飛していくことを期待したいところです。

(注)工業統計は「プラスチックモデルキット」の値、貿易統計は「娯楽用模型(プラモデルを含む)」の値であるため、貿易統計のカバレッジが大きい分割り引いて見る必要がある。

<参考記事>

「プラモデルの出荷動向(2015年まで)」

https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20150902hitokoto.html

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FAX : 03-3501-7775
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最終更新日:2018年9月20日
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