当記事では、上記のテーマでお話していきます。
USCPAの終盤でREGを受験される方も多く「なんとか効率のよい勉強法で一発合格したい」と考えられている方も多いのではないでしょうか。
一方で、分量も多く予備校の教材についても合格者の意見が分かれるなどなかなか対策が悩ましい科目でもありますね。
そこで、この記事では徹底的に教材選定から必要勉強時間、学習のポイントまでわかりやすく解説していきます。
まずは執筆者である私について少し紹介させてください。
>>プロフィール詳細 >>Twitter >>YouTube
凡人 of 凡人の呼び声も高い私が全科目合格まで何とかたどり着いていますので、わかりやすく地道な体験や戦略について解説していきます。
ブログでの解説よりも、動画講義がお好みの方は、ぜひ以下のYouTubeでも解説していますので、ご覧ください!!
それでは具体的なREG科目分析に入っていきます。
目次 [SHOW]
REG(米国公認会計士)出題範囲・配点・合格率
まずは、敵(REG)を知る事です。出題範囲やその科目難易度について説明していきます。
出題範囲と配点
まずは、AICPAが提供しているBlue Print(2021年1月版)からその得点配分を見ていきましょう
合算するとおおよそ以下の配分になっています。
①CPAの責任・業務:15%
②ビジネスロー:15%
③税法:70%
こちらを見ると、以下に税法の割合が多いのか理解いただけると思います。
アビタスのテキストでいうと、「CPA倫理規定」と「税法」併せて2/4冊分なのですが、配点でいうと、税法+αなので80%程度を占めます。
勉強の順番は多少背景知識がないとしても、税法から始めることを推奨します。しっかり対策に時間を取りましょう。
問題種別については、以下のとおりとなります。
REGは、MCが76問と非常に多いのが特徴です(配点は50%)。
またBlue Printにも記載がありますが、基本的にTBSではTAXしか出題されません(SkillのAnalysis以上に該当する分野がTAXにしかないため)。
したがって、TAXの分野は配点が高いのももちろんですが、より深い知識や理解が求められると言えますね。
逆にビジネスローや、CPA業務・倫理のあたりは、MCのみでの出題となりますので、MCに占める割合は一定高くなります。
REG(USCPA)合格率
気になるREGの合格率も見ていきましょう。全世界ベースにはなりますが、以下が科目別の合格率です。
科目 | 合格率 |
REG | 56.3% |
FAR | 46.3% |
BEC | 59.9% |
AUD | 51.0% |
出典:アビタスウェブサイト
REGに特段の英語力は必要ありませんので、全世界ベースの合格率をおおよその難易度ととらえて問題ないと思います。
56.3%なので、恐れることはありませんね。もちろん、試験範囲が広いので一定時間は要しますが、時間をかければ合格に着実に近づく試験といえます。
REG(米国公認会計士)対策|一発合格のための勉強法
必要教材と必要勉強時間
REG攻略に必要な教材
私自身はアビタスの教材で合格しています。結論から申し上げると、アビタス教材のみ(リリース問題も含む)で合格点は十分取得可能です。
私が経験から考える、必要な教材については以下のとおりです。
- 予備校テキスト
- 予備校問題集(MC・TBS)
- 直前対策講義
- リリース問題(余裕があれば3年分程度)
- 混合しやすい論点の横横串ノート
あまり手広くやる必要はありません。ある程度上記の教材について深い理解が得られていれば、80点以上は取得できると思います。
アビタス教材の不完全性の補完
残念ながらアビタスの教材は一定不親切なところがあり、十分に効率的に学習するための中身になっていません。
TACのまとめ教材などを追加で購入するのも一つの手ではありますが、別予備校の教材に手を出すのは費用も労力もかかるのであまりおすすめしません。
上記記載の必要教材にもありますが、自分で混合しやすい論点を横ぐしでサクッとまとめて置けば十分に対策は可能です。
まとめると言っても、習ったことを表で整理するだけなので、何をどうまとめておくかをこの記事で把握できれば1時間程度で対応可能です。
ただ、この作業がないと「試験中にわかった気になっていた論点の問題が解けない」ということが起こる可能性が高いので、面倒と言わずに手を動かしましょう!
もやもやした理解がすっきりしますので、勉強時間自体も短縮できます。
それでは、ここから具体的な攻略法について説明していきます。
必要勉強時間
みなさまのバックグラウンドにもよりますが、およそ必要な勉強時間は以下のとおりです。
REG2(TAX,CPA Responsibilities):200時間
REG1(Business Law):100時間
合計300時間程度を目安に受験スケジュールを組むと良いと思います。もちろん、合格レベルに達したと感じたら早めに受験するのも問題ありません。
攻略法①個人(Individual)対策
税法分野について、確実に得点源とするにはまずは「個人(Individual)の税申告」を十分に理解することが大切です。
ある程度理解しておけば良いテーマと、完全な暗記が求められるテーマがありますが、以下は確実に暗記してください。
- Gross incomeから、Taxable income算出までの一連の流れ→空で言えるように
- Gross incomeに含まれる項目と、含まれない項目→提示されてどちらか判断できるように
- Above The Lineで控除できる項目→空で言えるように
- Itemized Deductionで控除できる項目→空で言えるように
これ以外にも細かい論点で暗記すべき項目は多いですが、上記のTax Returnの大枠の理解が不十分だと、どうしてもMCやTBSで「何となくわかるような気がするけど、選択肢を選べない」というような得点に結びつかない知識になってしまいます。
AUDなどもそうですが「全体のフローの中で、今やっている問題やテーマがどの位置づけなのか」というのをイメージしながら受講したり、問題を解くと理解が定着しやすいですし、しっかり得点につながる知識となります。
このあたりの論点がある程度自分の頭の中で整理できてから、C/S CorpやPartnershipの学習に移るようにしましょう。
攻略法②BASIS対策
続いての非常に大事なポイントがBasisです。Basisを制すものはREGを制すと言われるほど頻出論点ですし、深い理解が求められるテーマでもあります。
Basisの学習をする際には「何が基本で、何が例外なのか」「Basisを足したり引いたりするのは、つまるところなぜか?」の2点を理解しておくことが大切です。
Basisの基本と例外
ある程度学習している人には当たりまえの話なのですが、Basisの考え方の原則は交換取引における「Amount Realized-Basis=Gain」と「Propertyを購入した時のBasisは払ったCash」です。
この2点が基本です。頭が混合したらまずはこの基本に立ち返りましょう。
ややこしいのは、勉強していく論点というのは、この2つの原則ではないケースばかりという点です。試験本番で迷わないように「原則と例外」という形をしっかりと理解しておきましょう。
例えばですが、Gainを認識しない取引(不動産同士の同種資産交換取引、不動産の買い替え、Involuntary Conversionなど)や、購入するのではなく無料で(贈与)Propertyを受領するときのBasisなどです。
こういった原則と例外を意識せずに勉強すると、予備校の動画講義はコマ切れになっているので、どうしても全体像がつかみづらいのです。
Basisの加算・減算
REGの税法は覚えることが山ほどありますが、実は考えれば当たり前なことも多いです。結論を丸暗記しようとするのではなく、なぜそういうルールになるのか、を自分で咀嚼することで簡単に覚えられる論点が多いです。
おすすめは「自分が税法を作る立場だったらどうするか?」を考えることです。
兄弟などの関連当事者にモノを売って無理やりLossを作って税負担を少なくしようとする人がいるのであれば、そういったロスを認めないようなルールを作りますよね?
こういう風に考えると、「まあ当たり前か」と納得して暗記できる論点が多くなり、定着もスムーズになります。
この話と表裏一体ですが、常にBasisを「加算する」「減算する」のは納税者にとってプラスなのか、マイナスなのかを考えてください。
その処理をするとどういう効果があって、税法を作った人は何故そうしたのか、を意識すると本当に理解がスムーズです。
咀嚼した内容を簡単にテキストにメモしながら進めていくと、復習のときなどにスムーズに記憶を呼び戻すことができます。
攻略法③租税主体別対策
この論点がアビタスの講義が解説不十分なところです。
残念ながら講義内容が租税主体別の一問一答のようなスタイルで「租税主体別で何が異なっていて、何故そうなっているか」の横断的な説明がないのです。
ですので、MCをチャプターごとに解いていくと解けるのですが、シャッフルされたり初見の問題になると非常に難しく感じます。
そこで行って頂きたいのが、租税主体別の横ぐし整理です。TACのような教材を買わずとも、自分の手で1時間程度で行えば十分ですし、むしろ自分で行った方が思考も整理できるのでおすすめです。
項目 | 申告方法 | 設立時の事業者損益認識 | 設立時の参加者損益認識 | 設立時参加者持ち分Basis | 設立時事業者Property Basis | 持ち分Basis加減算ケース | 分配時事業者の取扱 | 分配時参加者の取扱 |
租税主体 | ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ |
上記のエクセルの行を租税主体別(パートナーシップ、C/Sコーポレーション)に作成して、講義のタイミングや、MCやTBSを解きながら対応方法を埋めていきましょう。
また全項目は埋まらないですが、不動産同士の同種資産の交換取引も別の行で足しておくと知識の整理ができますのでおすすめです。
少し上記の内容を補足します。参加者というのは株主やパートナーを指します。
①:使うFormや、申告期限などを整理しておきましょう。
②③:設立するときに、参加者と事業主体それぞれで損益認識をするのか、また例外のケースはどういうケースかを整理しておきましょう。
④⑤:設立時の参加者の持ち分のBasis(拠出したモノ別)の計算と、Propertyを事業者が受領したときのBasisについて整理しておきましょう。
⑥:参加者の持ち分Basisを加算するケースや、減算するケースを整理しましょう。
⑦⑧:分配をするときの事業者の取り扱いと、参加者の取り扱いを整理しておきましょう。
残念ながら予備校の講義ではこういった項目が場当たり的に登場するので、本当に混合してしまいます。講義や問題を解きながら、自らどの「セル」の説明をしていて、他の租税主体とどう違うのか確認するようにしましょう。
このマトリクスがある程度空で言えるようになるほどBasisを理解すれば合格点はとれます。
なお、以下の論点はアビタス動画で本当に説明がないのですが、超重要論点なので必ずテキストなどに補記しておいてください。
アビタスで習わない超重要論点
Cコーポレーションの設立時の株主の損益認識で「受領したBootの範囲でGainを認識する」という際のBootには、債務を引き受けさせた際の疑似Bootは含まない。
これ以外の論点では基本的にBootに疑似ブートを含むのですが、上記のケースは含みません。問題集の解説動画でも特段説明なく答えだけ紹介されるような形となっているので、しっかり理解しておきましょう。
攻略法④信託・遺産対策
信託、遺産も頻出論点なのでしっかり整理しておきましょう。
特に遺産については、関連するTAXについて以下の3種がありますので、混合しないように理解しましょう。
①死亡した人のIncome Tax
②遺産のIncome Tax
③遺産のTransferにかかるEstate Tax
攻略法⑤CPA業務規定対策
CPAの業務責任や倫理規定は出題範囲の割に得点配分が大きいので必ずしっかり対策するようにしましょう。
MCをたくさん解けば十分と思います。
また裁判所関連の問題は非常によく出題されているようですので、集中的に勉強しましょう。
2題~3題出題されることがざらのようです。Blue PrintにもCourt関連の記載はしっかりあるので、それだけ重要論点ということですね。
攻略法⑥ビジネスロー対策
最後がビジネスローです。MCを中心にあまり時間をかけずに短期集中で暗記してしまいましょう。
勉強時間についてもTAX、CPA業務に9割割いて良いと思いますので、あとは時間が許す限りビジネスローの対応をしていきましょう。
攻略法⑦不合格になってしまったら
基本的には攻略法①~⑥と、ここから解説する当日の戦術をうまく活用すれば一発合格できると思います。
しかしながら、REGは頭が混合しやすい試験ですし、試験範囲も広いので1度、2度不合格になる方もいるかもしれません。
そういったときに、あらためて予備校の教材の復習をやるのが基本にはなりますが、心が折れそうになったら心機一転洋書で練習するのもありです。
最初から洋書に手を出すのは、時間がかかりすぎるので私はあまりおすすめしませんが、タイミング次第で投入してもよいでしょう。
日本で洋書を手に入れて対応するなら、以下のWiley教材がよいでしょう。
最新のスタディガイドを活用することで、出題範囲の整理や練習にも役に立ちます。どうしても日本国内の予備校教材はリニューアルタイミングが若干遅れますので。
またクエスチョンパックの方では非常に多くの問題演習をこなすことができるので、ここまでやれば不合格になる可能性は極小化できます。
Wileyをこなしている方は90点以上で合格される方も非常に多いですね。
REG試験本番での戦略とまとめ
ここからは、試験当日でどのように戦略的に問題に対峙していくべきかを解説します。
実力を活かすも殺すも戦術次第ですので、しっかり把握しておきましょう。
適切な時間配分と心構え
まずは、受験の時間配分についてです。ベーシックな時間配分でいうと
テストレット①~②:50分×2=100分
テストレット③~⑤:1問15分×8=120分
で20分余る計算となります。
本番は焦ったりすることもあるでしょうから、バッファーとして20分みつつ、問題を解いていきましょう。
あまりMCでスピードを上げすぎると、本来解ける問題を落としてしまう可能性があるので、ある程度テストレット1は慎重に入りましょう。
問題は、他の科目同様
当記事のまとめ
最後に当記事のまとめです。
あらためて解説してきた内容を整理して振り返ってみましょう。
チェックポイント
- REGはしっかり正攻法で対策すれば合格できる科目
- 教材は広げすぎずに、租税主体横断のまとめのみ自分で作ればOK
- CPAの業務責任、倫理規定は出題範囲に対して配点が多く得点源に
- ビジネスローはあまりの時間でMCを中心に練習を
- 時間配分はMC100分、TBS120分で20分バッファーを作ろう
上記をしっかり意識し、対策・本番当日に臨んでもらえれば間違いなく合格を手に入れられます。
最後に関連記事の紹介です。以下の科目別対策も是非ご覧ください。
>>【USCPA】FARを確実に一発合格する勉強法|米国公認会計士への道