ポノス株式会社
「にゃんこ大戦争」&
新プロジェクト・
エンジニアインタビュー
2021年で9年目を迎え、子供から大人まで幅広い世代がプレイしている「にゃんこ大戦争」で知られるポノス。新規エンジニアの募集に際し、エンジニアチームを束ねる西端氏、「にゃんこ大戦争」チームのエンジニアリーダーである門脇氏、新規プロジェクトチームのエンジニアリーダー・榎並氏に、ポノスならではの働き方やロングランタイトルならではの苦労、求めている人物像などを聞きました。
ポノスのエンジニアは多様性のかたまり
写真:ポノス株式会社 西端さん
――ポノスで働くエンジニアの特徴を教えてください。
西端
割と各業界からまんべんなく在籍しています。スマホアプリやコンシューマーゲームの開発だけでなく、他業種から転職してきた方もおり、いろいろな文化がある感じです。
榎並
江戸オフィス(東京支社)はスマホアプリの開発経験者が多いので、ディスコミュニケーションが起きることなく、スムーズに開発ができています。
門脇
京オフィス(京都本社)のエンジニアは多種多様ですが、自分の知らない業界の話や経験談も聞けて、それがいい刺激になっています。
西端
結局、ゲームが好きな方が集まっているので、バックグラウンドが違っていてもサークル的にまとまっている状態ですね。
写真:ポノス株式会社 門脇さん
――入社後は特定のアプリの開発チームに所属する形になりますか?
西端
基本的には、いずれかのチームに所属してもらいます。ただ、チームによっては複数のアプリを担当しているので、その場合はフレキシブルにいくつかのアプリに関わっていただくことになります。
――それぞれのチームは、どんな雰囲気なのでしょうか?
榎並
出社して仕事をしていたときは、コミュニケーションをとりながら和気あいあいと働いていました。リモートワークになって雑談が減ってしまいましたが、Slackに今やっている仕事の内容を書き込むチャンネルを設けて、「誰が何をしているのか」を共有しつつ、そこで「こんなことがあった」と報告したり、ネタを放り込んだりするようになりました。チャットベースではありますが、コミュニケーションはできている状況です。
写真:ポノス株式会社 榎並さん
門脇
私のチームはどちらかというと、黙々と仕事をこなす方が多い印象です。でも、会話が必要なときはやはりワイワイとなるので、メリハリのある環境といえます。
リモートワークになってからは雑談部屋を設置して、決められた時間に会話できるようにしました。仕事をしながら聞いているだけでも構いませんし、興味のある話題であれば会話に参加してもいいというものです。
西端
私は複数のチームに入っていますが、ワイワイしているチームが多いと思います。リモートワークになってからも、その空気を(チャットツールで行う)エンジニアお茶会などを通じて維持している印象です。年齢差があってもフランクに会話をしていて、堅苦しい雰囲気はどこにもないですね。
――ほかのチームのエンジニアとの交流はありますか?
榎並
チームの垣根を越えるしくみとして、ライトニングトーク大会を開催したり、アドベントカレンダーを作ったりしてきました。こうした技術交流を通じて、エンジニア同士の関係性を築いています。
西端
各チームのリーダーは、定期的に会議を開いて情報共有をしています。
求めているのは技術力+多彩な経験+コミュニケーション能力
――ご自身のチームに加わってほしいエンジニア像を教えてください。
榎並
(アプリやゲームの)リリース経験があると助かります。プログラムを作る、アプリを作るという経験は皆様あると思いますが、リリースをするところまで経験している人は意外と少ない。ゴールを見据えてプロジェクトを進めていける人がいいですね。
また、開発に使用しているUnityは進化が早いことも特徴ですが、そうした技術の進化にちゃんとついていけて新しいUnityの機能を使っていきたいという意欲のある人であると、チームとしてもありたがいです。
西端
技術のキャッチアップは大切ですから、ポノスのエンジニアには自分の働く時間の10%を学びにあてていいというルールを用意しています。週に4時間程でしょうか。そういう時間を積極的に利用してほしいと思います。
榎並
チーム内でも「この新しい技術はどう使えるか」といった議論が活発に行われています。エンジニアが学ぶためのしくみはありますので、学ぶ姿勢のある人にはいい環境ではないでしょうか。
門脇
好奇心旺盛で視野が広い人、新しいプログラミング言語や技術に興味を持っている人であれば。新しいものはすぐにゲームの開発に役立つわけではありませんが、開発を支えるツールなどを作ることにもつながります。
西端
エンジニアは技術者と思われがちですが、技術者ではなく工学者と考えた方が良いと思っています。どうしてもプログラミング技術が注目されますが、プランナーが描いた夢を具現化するプロセス全体がエンジニアの仕事になります。 プログラム言語は機械と対話するためのツールですが、エンジニアは人と対話する能力も同じくらい大事ですから、「仲間と信頼関係を築ける」ことを重視しています。エンジニアに限らず、チームにはバックグラウンドが違う人が集まっています。あることに対していろいろな発想が出たとき、自分と違う考えに反発するのではなく、相手の考えに敬意を持って接することはとても大切です。
――技術的な面で必須の条件はありますか?
榎並
Unityのエンジニアで申しますと、Unityでの開発経験にプラスして、iOSやAndroidのネイティブアプリの開発経験があるとありがたいです。アプリの開発ではネイティブ側の条件を調べる必要も出てきますが、そのときにネイティブアプリ開発の経験が活きてきます。
また、Unityでアプリを開発中に、機能拡張をした経験があるといいですね。エンジニア以外の方(プランナーやデザイナー)が使いやすいようにデータを整えたり、新たな機能を考えて作ったりできると、プロジェクトを効率的に進めることができます。
門脇
クライアントエンジニアに求めるのは、アプリとして組み立てた経験です。ビルドして確認ができ、ツールを使いこなし、デバッグまでできる。その上で、スマホアプリの基本的な機能になっている課金やガチャの処理についての実装経験があるといいです。
さらに、運営面も視野に入れるのであれば、ストアへの申請経験や知識まであるとありがたいですね。特に、ポリシーはどんどん変わっていくので、そういった変化も含めて学んでいることが大切になります。
西端
エンジニアとして長く活躍している人は、新しい機能や技術を求めることが趣味になっていて、学習とは捉えていないように思います。学ばなければいけないのではなく、好きな情報を集めていた結果、学びになっている。新しい映画を追っている人と同じように、新しい技術を追いかけている印象があります。
長く運営する「にゃんこ大戦争」の肝は“安全性”
――「にゃんこ大戦争」の開発・運営上のエピソードを教えてください。
門脇
2021年で9周年を迎えたタイトルなので、一番難しいのは「コードの保守」です。特に、昔からある古いコードを保守する部分については慎重に行っています。「にゃんこ大戦争」は国内版に加え、多言語対応したグローバル版、韓国版、台湾版の4つですが、ローカライズやカルチャライズを行っているため、微妙な違いがあります。それでも、基本的な仕様に違いが出ないよう、ユーザーが不便を感じないように開発を進めていくことは難しいですね。
西端
コードの保守は、一番胃が痛くなります。追加要素は、長年運営してきて積み重なったところに、新たな仕様を追加していく形です。昨年、一部機能のリファイン(洗練)をした際に設計を担当しましたが、「これで大丈夫だろう」と進めていくと、「こんな仕様があった!」というものが後から出てきます。このリスクを避けることは難しいので、リリース日を決めて作るのではなく、最初から安全なスケジュールを組んで作業を行いました。
門脇
エンジニアとしてはコードをきれいにして、今後の保守性も高めたいところですが、仕様として曖昧な部分はどうしても存在します。ユーザーに影響がないように改良できるところ、現状を維持したほうがいいところを見極めながら実装していく。クライアントもサーバーも、コードはつぎはぎだらけになってはいるものの、保守しやすいようにアップデートを繰り返しています。
――各ローカライズ版では配信する国ごとに業務の違いはありますか?
門脇
サーバー周りのトラブルは少ないです。日本と韓国、台湾は、ほぼ同じ時間帯にユーザーがプレイするのでピークのずれもほとんどありません。グローバル版は当然ピークがずれますが、突発的に対応するような事態は起きていません。日本での経験から、安全に運営する方向に舵を切っていることが奏功していると思います。
――エンジニアとして、巨大なタイトルに関わることの魅力は何でしょうか?
西端
「にゃんこ大戦争」は、大人から子供まで幅広い層に認知されているタイトルですので、ふとしたとき「そこにあるゲーム」になっています。それを感じられることは、開発者として得がたい体験になるのではないでしょうか。
門脇
私自身ももちろんプレイしていますが、子供も遊んでいるので、イベントがあれば連れて行きます。同じように親子連れで参加している人も多く、小さい子からある程度大きな子供、大人も含め年齢層に偏りがありません。そういうタイトルにエンジニアとして関われていることは、ありがたいと思います。
西端
先日、旅行をした先に、落書きボードのようなものが設置されていたのですが、そこに「にゃんこ大戦争」に出てくるキャラクターの絵が描かれていました。思わぬ場所で遭遇できることも、長く愛されてきたタイトルならではの経験です。
――幅広いユーザー層を抱えるタイトルということで、気を付けていることはありますか?
門脇
技術的なことはもちろんですが、それよりも安全意識が身に付くことです。エンジニアチームは、リリースした機能へのフォロー、現在開発しているもの、将来の仕様などに対する責任を担っており、いずれの部分についてもユーザーに迷惑がかからないように開発を進める必要があります。
例えば、リリース済みの部分であればセーブデータが壊れないこと。開発中のものは仕様に影響が出ないように、将来の機能はどうしたら安全な設計になるのか。そういったことを常に意識して開発を進める必要があり、すべてのタスクに対する安全意識が染み付いているように思います。
西端
サーバーエンジニアであれば、安全面はもちろん、負荷の面も「もっと小さいタイトルであれば通用した設計」が「にゃんこ大戦争」ではぜんぜん通用しません。どういう設計にしたら膨大なユーザーの負荷を乗り越えられるのかを考えて実装できる経験は、とても大きなものになると思います。人数的な規模だけでなく、海外から大きなアクセスもあるタイトルはあまりありませんので。
また、ほかのタイトルでは出会えないレアな不具合に当たることもあります。ほかでは見つけられなかった不具合への対応も、いい経験になるのではないでしょうか。とはいえ、不具合は不具合なので、別に当たってもうれしくはないのですが(笑)。
――安全を優先するポノスのカルチャーはどのように生まれたのでしょうか?
門脇
私が中途採用で入社して最初に感じたのは、タスクや新しく実装する機能について無理をせず、安全を最優先していく姿勢です。その根本にあるのは、「ユーザーにおもしろがって遊んでもらうこと」にあります。
スケジュール内に、ギリギリ実装が間に合うかどうかという機能を入れることが、果たして本当にユーザーにとって良いことなのか。そうした問いかけを行い、ずらせるものについては柔軟に対応しています。常にユーザーのことを考えることは、ポノスのポリシーにも沿っていますし、個々人の意識にも浸透しているように思います。
「にゃんこ大戦争」は、職域にこだわらず全員が参加して開発&運営
――個性的なネコのキャラクターの誕生には、エンジニアも関わっているのでしょうか?
門脇
直接デザインをすることはありませんが、雑談の場で論争が起きていることはあります。「にゃんこ大戦争」に携わるメンバーはペットを飼っている方が多いので、その様子を見てアイディアを出し合っているのかもしれません。
門脇
チャットグループを通じて、職種に関係なくキャラクターのアイディアを出しています。最終的な決定はプランナーが行い、デザイナーが作成しますが、採否にかかわらずエンジニアもネタやアイディアを投下できる環境は用意されています。
また、キャラクターではありませんが、UIやUXの実装において、「使い勝手が良くない」と感じたときは改善提案をしています。コードの保守を実施するときに、「こうしたほうがいい」というフィードバックを、エンジニアからプランナーに行う形です。
榎並
エンジニア発信のアイディア出しも行われています。「ゆる~いゲゲゲの鬼太郎 妖怪ドタバタ大戦争」では、エンジニアが出したアイディアが実装されました。Google マップの機能を使ったものなのですが、勉強会に参加したエンジニアが導入のしやすさを知って提案し、ゲーム内に実装しました。
エンジニアだから、プランナーだから、デザイナーだからという職域にしばられることなく、全社的にゲームをもっと良くしていくためにアイディアを出し合う雰囲気があります。
門脇
エンジニアがキャラクターデザインに意見を言ったとき、デザイナーが聞く耳を持たないということはありません。ゲームの仕様を決めるときも、プランナーが考えた仕様書のままではなく、「もっとこうしたほうが使いやすい」というエンジニアの意見も採用されます。
西端
建設的な意見を受け入れる姿勢が、どの職種の方にもあるように思います。意見がそのまま採用されなかったとしても、「フィードバックされて修正されました」ということはありますね。
スマホのゲームを、小規模なチームで開発している醍醐味や楽しさは、そういう部分にあると思います。数百人単位のプロジェクトになると分業化せざるをえませんし、みんなが好き放題に意見を出したらまとまりませんからね。
門脇
「にゃんこ大戦争」というタイトルが、ユーザーから愛されることを一番大事にしているので、みんなが出すアイディアも時代に流されません。今これが流行っているから我々も実装しようという風にはならないです。「にゃんこらしさ」という軸がぶれることはありません。
キャリアプランや働き方は本人の希望を尊重
――「にゃんこ大戦争」ではなく、新規タイトルに関わりたいという希望は通りますか?
西端
本人の希望を踏まえて参加するチームを決めているので、新規タイトルを開発したいという意思がある人については、新規チームに配属される可能性が高いです。もちろん、そのときの状況にもよるので一概には申し上げられませんが、ずっと既存タイトルの運用業務ばかりということにもなりません。
――ポノスで描けるエンジニアとしてのキャリアプランについて教えてください。
西端
話し合いながら次のステップを決めるというのが基本です。選択肢は広く用意されているので、技術を極めたい人にはその道を、別の方向に進みたいときはそちらもという形になっています。弊社に入ると「こういうキャリア形成ができる」というものが用意されているのではなく、「自分で選択」「自分でやりたいことを見つける」。それを、いっしょに探していく温度感です。
門脇
レールが敷かれているのではなく、自分でレールを敷いていく。それを会社は尊重して後押ししてくれるので、自分の目標に向けてマイルストーンを置き、いかに達成していくかということになると思います。
榎並
個人のビジョンをサポートする体制が整っています。自己研鑽の制度も利用しつつ、描いた将来像に向けて進んでいくのがいいと思います。
西端
制度としても用意されていますが、それぞれの希望を聞いて受け入れる風土があるので、やりたいことを見つけたときはどんどん相談したほうがいいでしょう。その一方で、ステップアップを目指さない働き方も可能です。何年目だからマネージャーを目指そう、資格試験を受けようというのではなく、働き方を自分で選べる特徴的な評価制度になっています。流行の言葉で言うなら「多様性を認めてくれる」会社ですね。
――最後に、これからポノスのメンバーに加わる人へ、メッセージをお願いします。
榎並
他社とは違う弊社ならではの“斜め上を行く”タイトルを作りたいと考えておりますので、クライアントもサーバーも、技術力のある人に来ていただきたいですね。私自身がそうであったように、今までの会社とは違うモノづくりの体験ができると思いますので、そういう部分にも興味を持ってくださる人をお待ちしています。
門脇
私がそうであるように、他業種からの転職も可能な職場です。むしろ、他業種での経験をゲームにフィードバックしていけます。その上で、ゲーム開発に対して自分なりのビジョンと熱意を持っている人に参加していただければと思います。
西端
ポノスは、IPの収益基盤がありつつも動きやすい組織です。大きすぎず小さすぎない、ちょうどいいサイズ感ですから、組織に積極的に関わっていきたい、自分から何かを変えていきたいという野望を持っている人にぜひ加わってほしいです。
- ポノス株式会社 西端大希
- プリントシール機関連サービス、女性向けゲーム、スマホアプリなどの開発に幅広く従事後、ポノスに入社。技術開発室の室長として、エンジニアの育成やマネジメントを行いつつ、多くのタイトルにも関わっている。
- ポノス株式会社 門脇幹宏
- 2019年、ゲーム業界未経験で中途入社。「にゃんこ大戦争」のクライアントエンジニアとサーバーエンジニア、双方のリーダーを務め、海外版「にゃんこ大戦争」の開発、新規プロジェクトも担当している。
- ポノス株式会社 榎並亮
- フィーチャーフォン向けのアプリ開発会社などを経て、ポノスに入社。「ゆる~いゲゲゲの鬼太郎 妖怪ドタバタ大戦争」に携わり、現在は新規プロジェクトにリードエンジニアとして参加している。