【チェンソーマン83話】チェンソーの悪魔はアヴァッドーン王

 

 ハローやあガイズみんな
 これは『チェンソーマン』83話考察。ネタバレ注意。

 

 

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Hierarchy of angels

 

 チェンソーの悪魔が復活した。

 わたし はチェンソーの悪魔の正体を「アヴァッドーン(אֲבַדּוֹן)」の王と予想する。それはセラフィムの姿形と真チェンソーマンの姿形のゆえだ。アヴァッドーンは、通常「アバドン」と表記されている。


 『チェンソーマン』は『天上位階論(De Coelesti Hierarchia)』における靈使エンジェルの九クラシズ(諸階級)が使われていた。たまに漫画やビデオゲーム小説ノヴェルで使われるこれらを説明しよう。この書は、靈使エンジェルたちが、九つのクラシズに従っているという靈使エンジェル論だ。そのクラス(階級)は神に近い順に、

 

 

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Angels?


熾靈使セラフィムשָׂרָףサラーフ)→セラフィム
智靈使ケルビムכְּרוּבケルーヴ)→ビーム 
座靈使ガルガリ(Galgalim)→ガルガリ
主靈使ドミニオン(Dominion)→ドミニオン
力靈使ヴァーチェVirtue)→ヴァーチェ
能靈使パワー(Power)→パワー
権靈使プリンシパリティ(Principality)→プリンシ
大靈使アークエンジェル(Archangel)→不在。早川アキ?
靈使エンジェル(Angel)→エンジェル

 

となる。ただし『天上位階論』は、成立年代や筆者について悪質な噓があって広まった偽書、とても長い間すごく権威があった偽書で、現在は権威を失っている。それゆえ著者は「ディオニュシオス・アレオパギテス」とされる。ガリガリム(スローン)、ヴァーチェ、パワー、プリンシパリティは、聖書に〜天使と書かれていない。プリンシパリティは誤訳から生じた語で、他の箇所では「ビギニング(beginning)」と訳されている。また、ルシファーは後世の解釈によるもので、聖書にデビルまたはサタンとしてのルシファーは一度も書かれていない。天使や悪魔に関する日本語wikipediaは誤訳と誤まりだらけ。と言うより、“天”使や“悪魔”や“天国”や“地獄”や“宗教”や“教会”や“教皇”や“黙示録”などの基本語彙がほとんど誤訳(英語、ラテン語ギリシャ語、ヘブライ語に対して)。日本語では聖書の語も文も形も意も知ることができない。しかし、『チェンソーマン』は漢字以外、絵や展開で聖書の形と意を伝えている。

 

 

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タンポポダンディライオン

 

デンジがキリストのように釘を打たれ、キリストのように磔にされ、キリストのように地獄に下る時、キリストの受難(死)を象徴するタンポポライオンの歯(dandelionダンディライオン)を絵と形にする。

 

 

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アヴァッドーンは扉だらけ

 

集団で扉だらけの現世の向こう側、地獄に落とされる地獄篇は、集団と扉と向こうの字を含む語丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶地獄アバドאֲבַדּוֹןアヴァッドーン)」を絵と展開にしたもの。

 

 

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“六人”で呼び出された地獄の悪魔

 

対マキマ対策部隊が舌(契約)によりマキマを呪い、火と馬の形で現れる地獄の悪魔を呼び出すのは、舌と呪いと火と馬と馬の制御の話丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶の「地獄ゲヘナγεέννηςゲーンネース)」(ヤコブの手紙3:3-10)を絵と展開にしたもの。

 

チェンソーマン』はしっかり聖書の言葉を踏まえて絵を形をしている。

 

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ポップなアバラ

 

 聖書の言葉を絵と形にした『チェンソーマン』。聖書の『外面紗レヴァレーション(黙示録)』9章の言葉から、セラフィムの見た目「イナゴlocustローカスト)」と真チェンソーマンについて調べてみると、当たりがある。

 

そして第五の靈使エンジェル喇叭トランペットを鳴らした。わたしは星が天より外れ地に落ちるのを見た。星はアビス(アビュッソス)の穴の鍵が与えられた。そして星がアビスの穴を開き、穴から煙が逆さ雷の如く昇り…煙の中からイナゴらが地にぬっと出て来た…イナゴらはアビスのエンジェル丶丶丶丶丶丶丶丶丶(※)を彼らのバシレイアとしていただき、彼の名はヘブライ語でアヴァッドーン(アバドン)と言い、彼はギリシャ語でアポッルーオーン(アポリオン)の名を持っている。

 

このイナゴらがセラフィムイナゴらがいただくアヴァッドーンのバシレイアチェンソーマンだろう。チェンソーマンの姿形が外骨格で手足が多く昆虫的なのも、イナゴらのバシレイアとすれば筋が通る。 「アヴァッドーン(אֲבַדּוֹן)」の語は、“雄牛(価値あるもの)の群れ(集団)を向こう側に”という文字で出来ている。向こう側(地獄)に行った雄牛の群れがエンジェルたちで、真チェンソーマンがアヴァッドーン王とすれば、チェンソーマンのエンジェルたちが王に従うのは道理だ。

 

※「アビスのエンジェル」━━エンジェル自体は「特使」的な意なので、「アビスのエンジェル」や「デビルのエンジェル(マタイ25:41)」の言い方が聖書本文にある。また、旧訳聖書本文はエンジェルがサタン(敵)、人間がサタン(敵)として書かれている箇所もある。一般的なイメージ、エンジェルが善で、サタンが悪という短絡的な考えは聖書にない。

 

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マキマは何かを信仰する

わたしは聖書用語はほとんど誤訳と言ったが、もしかすると仏法(仏教)用語の地獄や悪魔や魔鬼マキなどからも考察できるかもしれない。

 

 ますます辛く面白くなっていくチェンソーマンに期待しつつ、しーゆーまたね👋

 

 

 追記。神話別記事(2020/09/12)

 アヴァッドーン(アバドン)=アポロン

tenfingers.hatenablog.com

 

【チェンソーマン83話】チェンソーの悪魔はアヴァッドーン王

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