映画作品のロケ地探しと聖地巡礼。
この大林宜彦監督の『彼のオートバイ.
彼女の島』(1986年)は、多くのバイク
ファンがロケ地を訪れている。
それは広島県尾道市の岩子島だったり、
信州だったり群馬だったりする。
それはそれで、「皆さんやってるね~」
とか「いいね~」とか思う。
だがしかし!
この作品で重要な幹となる主人公コオ
のアパートとスナック「道草」の場所
を訪ねてみたレポートはネット上では
発見できない。誰もいない。見つけた
人が。
もしかすると、映画製作者以外、35年
過ぎた今でも、誰もその場所を特定でき
ていないのではなかろうか。
都内新宿区や大田区のダブワン走行シーン
の場所は私でも特定できた。
だが、コオのこのアパートとスナック
「道草」の場所は現在なおネット上では
特定した人が現れない。
コオのアパートには特徴がある。
・バイク1台がやっと通れる坂道にある
・その路地に入るまでの後方に寺がある
・アパート隣は切通のような崖状で
花崗岩の石垣がある
・部屋の外は墓であり、墓石や卒塔婆が
ある
以上の事から、土地柄的特徴を照合する
と、多分だが予想では新宿区内かと思わ
れる。
また、スナック「道草」の場所は、
東急線が上に通る「ケタ下2.2M」の
ガードがある場所だ。しかも、
ガード下にはガードレールがあり、
S字ぽいコーナーからガードに入る
道路のレイアウトだ。
だが、東急線の改修が進んだ現在、
そのような地形の場所は地図上では
見当たらない。
たぶん、自由が丘もしくは大岡山
(可能性が非常に高い)であろうと
は推測できるが、大岡山の場合は
現況が地下鉄になってしまったので、
古い資料を図書館等で探しまくらない
と照合が不能だ。
こうした調査というものは、ネット
情報などはあてにならず、実際に
古い資料を資料保管してある場所
に実際に赴いて念入りに慎重に
調査しないと事実は浮上させられ
ない。
かつて昔の私の仕事はそうした
土地建物の明治初期からの遷移や
所有権関係の移転、周辺の文化的な
歴史遷移等を徹底的に「現実」に
即して入念調査する業務が多かった。
裁判の疎明資料や所有権に関する
裁判外交渉の為の根拠資料作りの
為だ。
あれはあれで面白い仕事だった。
公文書館や国会図書館だけでなく
法曹界にいないと入れない最高裁
図書館でも調べものをする。
最高裁図書館に入る時は法曹界に
属する職員である身分証を提示する
と門衛二名が直立不動で敬礼する。
明治元勲たちの直筆花押とかもそこ
で調査中に実際に現物を見たりする
訳で。法制史の調査の時などは。
その頃の俺。
それらの時でも、実際に足を使わ
ないと調査は無理っす。
いくら今のネット時代でも、これ
ばかりはやはり同じでしょう。
すべてのデータがアーカイブになって
いる訳ではないので。
あと、学術的な調査というのはセンス
ですね。連鎖を見つけ出す。
そして、何よりも、識別と認識が
きちんとできていないと指標を自分
で定められない。
そこそこに能力は要る訳でして(笑)。
てことで、どこかの誰か、特に都内の
二輪乗りで映画好きの人!
『彼のオートバイ.彼女の島』での
竹内力のコオのアパートの場所と
スナック「道草」の場所を特定して
くれい!
当時の映画製作スタッフに知り合いが
いたら、その人に尋ねるというのは
最短距離だが、それはショートカット
なので、聖地巡礼者としてはいささか
ずぼらに過ぎる。
やはり、探し当てないとなぁ。
できる探偵さんのように。
都内に住んでいたら、たぶん私はやる。
まず地図で目星をつけて、そしてミニ
バイクや自転車で徹底的に道を走り
まわって現地確認をする。新聞配達や
刑事の聞き込み歩きのように。
それやると、フワッと謎の不明の現場
が浮上して来る。
不明地の現地調査って、端緒はそんな
感じ。