目標設定に関しては過去にもいくつか記事を書いてきていますが、そもそもの前提として目標の設定は必要なのかということについて書いていきます。
目標設定に関するちょっとしたまとめ記事ではありますが、環境問題関連で最近また気になることがあったので少し整理していきたいと思います。目標設定については一家言あるので、ついつい変な目標を見かけると気になってしまうのです。
目標設定の効果?
目標は設定するべきだ、という意見は各所で見受けられます。
いくつかその理由を分類してみましょう。
- 【動機付け】目標を設定しなければなかなか動き出せない。
- 【意欲の維持向上】モチベーションを保ち、達成感を感じられる。
- 【方法の発見】作業の目的や必要な理由を把握できるようになる。
概ねこんな感じでしょうか。これらについて個別に見ていきます。
動機付け
まず【動機付け】について、これは目標ではなく目的や方針を立てる際に必要なことです。これらの違いについては過去の記事でも書いていますが、方針(Vision)はやりたいことや向かうべきベクトルを定めること、目的(Purpose)は方針を決めた動機、目標(Objectiveなど)は方針や目的を達成するために定める方法のことです。
簡単な例として、ダイエットを例にしてみましょう。
「ダイエットをしよう!」と決めるのが方針です。「夏に水着を着たときに異性からモテたい!」というような何らかの理由が目的です。「そのためには何kg減らす必要があるから、どれくらい食事を制限してどの程度運動量を増やそうか」というように具体的な方法に落とし込まれたものが目標です。
この例からも分かるように【動機付け】が関わるのは方針や目的が定まる段階です。目標は概ね具体的なものであり、動機付けのような気持ちの問題や精神論で定まるものではありません。
動機付けが不要と言っているわけではありません、人間が動くには気持ちの問題が大切です。ただそれは方針や目的であり、目標設定という段階で行うことではないというだけのことです。
意欲の維持向上
次に【意欲の維持向上】について、これはその通りです。狙いを達成することは脳内の報酬系が働きますので意欲を維持向上させる働きが期待できます。
しかしながら正しく目標設定がされていない場合には危ない副作用があります。目標の進捗は方針・目的・目標が正しく設定されていればそれらの達成に近づくため問題となりません。しかし方針・目的・目標を混同していた場合、例えば「ダイエットをする」というのを誤って目標に据えてしまった場合は実際に取る行動が目的に沿わない結果になる可能性があります。効果の具体性が分からない「〇〇ダイエット」に手を出してしまい思ったように体重が減らなかったり、過剰な食事制限によって体調を崩してしまい水着が着れなくなる、というようなことです。
その行動が目的に資するかに関わらず、目標の進捗は脳内の報酬系を働かせてしまいます。一生懸命頑張って達成感があっても目的を達成できなければ悲しいではないですか。だからこそ方針・目的・目標は混同しないようにしっかりと分類して、正しく設定しなければいけません。
方法の発見
先述した過去記事でまさにこの点に書いていますが、目標を立てたから方法が決まるわけではありません。方法があるから具体的に目標を立てることができるのです。
何度も引っ張りますが、ダイエットの例でいきましょう。
「100kg痩せる!」という目標を立てたら方法が決まるでしょうか。それはまあ元々200kgある方であれば外科手術的な方法があるかもしれませんが、普通の人がそんな目標を立てたって達成しようがありません。実際は逆で、取り得る方法を組み合わせて目的に対して最適になるものを目標として設定しなければいけません、そうでなければ達成しようがない目標が乱立するだけです。できないものはできないのです。
延々とダイエットの話を引っ張りますが、「毎日1時間はランニングに時間を取れるから消費カロリーは・・・」「おやつを減らすと摂取カロリーは・・・」「目的にはこれだと足りないけど、お金を掛けてジムに通えば・・・」というようにできることを考えることで具体的な目標を設定することができます。
結論
目標設定は必要です。ただし正しいやり方で、方針や目的と混同しない形であればです。目標とは具体的なものであり方針や目的を達成するための道具でしかありません。「目標は素晴らしい、目標を設定して達成しなければいけない」というような目標至上主義ともいうべきものは勘違いであり、私たちは目的をこそ達成するべきなのです。
ちなみに具体性の伴わない目標は目標ではなく、ただの願望です。世の中にどれだけ目標と銘打たれた願望が転がっていることか・・・
余談
似たような過去記事ですが、目標設定の問題点についても書いています。
目標設定に関してはカテゴリーを作る程度には一家言あるため、定期的に記事を投稿していきます。