冷静と情熱のあいだ
感情的な人がいます。
自分がいかに不快だったか、どれだけ不安なのかをただただ叫び続けて、
その共感を人にも押し付けて、
そして勝手に失望して「分かってくれない」と嘆く。
分かるわけないじゃん。
あなたと私の感情は別なんだから。
そもそも、私の感情だってあなたが分かってないじゃん。
何でそう感じているのか説明してくれないと分からないです。
理屈っぽい人がいます。
自分がいかに正当なのか、どれだけ理性的なのかをただただ語り続けて、
その理解を人にも押し付けて、
そして勝手に失望して「分かってないなあ」と嘆く。
分かるわけないじゃん。
理屈と感情は別なんだから。
そもそも、人には感情があるって理屈をあなたが分かってないじゃん。
何でそうなると幸せなのか実感させてくれないと分からないです。
◆
人と人が分かり合うってすごく難しいです。
多分、あいだには凄く広くて深い谷があって、なんとなく相手の家が見えるぐらいな感じです。
ほんと私たちは孤独です。
でも、それじゃ嫌なので私たちはよくもがいてます。
そんな谷間で、ただ感情を吐くっていうのは、自分の家の扉を開けて大きな声で叫ぶようなものです。
一部には読唇術も使えて同じ波長を持ってて上手く共鳴(共感)してくれる人はいるんですけれど、ほとんどの人には遠すぎて相手が何を言ってるかさっぱり聞こえないんです。
だから、気持ちが伝わらないんです。分かってもらえないんです。
そんな谷間で、理屈というのは電話線や橋みたいなものです。
電話線を引いたり、橋をかければ相手のところまで声が届くようになります。でも、それでただ理屈を語るっていうのは、単なる勧誘電話や押し売りなんです。チャイムを鳴らしたらチラッとぐらいは玄関を開けてくれるかもしれません、電話をかけたら出てくれるかもしれません。でも、理屈だけ語っていたら、すぐに追い出されちゃいますし、電話も切られてしまいます。
近くまで行っても、声が届いても、相手の心の扉が閉まっていたら、伝わらないんです。分かってもらえないんです。
下手をすると自分の扉まで閉めっぱなしの人もいます。セールストークばっかりやってると、自分が何を思っていたのか、何を感じているのか、いったい何が幸せだったのかさえ、分からなくなっちゃうんです。
◆
伝えるには。聞いてもらうには。分かって欲しいなら。
自分の扉を開けて、橋をかけて、橋を渡って、そっと優しくチャイムを鳴らすんです。
感情も理性もどっちも大事でどっちも必要なんです。
両方無いとface to faceにならないんです。やっとそれで出会えるんです。
もちろん、それでも扉を開けてもらえなかったり、すぐ閉められちゃったりするかもしれませんけれど、でもよっぽど可能性があります。
もがきがいがあります。
自分の感情ばかり叫ぶ人は相手の感情も見えてないです。まるで動物です。
理屈ばかり語る人は自分と相手の感情を無視しています。まるでロボットです。
そう、この人たちは何だか人間っぽくないんです。
だから、私はそういう人たちは何だか嫌なんです。
時に理性というインフラでお互いの意見の調整をして、
時に感情というセンサーでお互いの話で泣いて笑って、
いいじゃん、どっちもあるのが人間でしょ。
そんなあいだでユラユラするのが人間なんです。
そしてそんなあいだだけ、人と人が分かり合えるチャンスがあるんです。
だから多分、これが「人のあいだ」ってことなんです。
人間なんです。
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P.S.
感情的な人をヒステリーってよく言いますけど、理屈っぽい人もせっかくなので何か呼び名が欲しいなあと思ったんですね。
ヒステリーの語源が子宮らしいから、じゃあ・・・って考えたら大変なことになったので、考えるのを止めました。(/ω\)