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【KYジャーナル】"PTAも変わらなきゃ!"

ニュース特集

2022年3月16日

あえて空気を読まず、働く女性の視点から社会に切り込む、
山本恵子解説委員(Keiko Yamamoto)の「KYジャーナル」。

今回のテーマは「PTA」。
新学期になると「気が重い」という保護者の人も多い役員決めなど
○PTAの何が問題なのか
○コロナ禍で集まれない、これまで通りの活動ができない今が見直しのチャンス
○「やりたいことを、やれるときに やれる人がやる」エントリー制など、
 時代に合った組織・活動について紹介します。

PTAとは

PTAの目的は、大きくは「保護者と教職員が協力して子どもの健全な育成をする」というもので、戦後、アメリカが日本の民主主義教育を推進するために結成を指導し、
文部省がPTAの設置を推奨したことから全国の学校に広がりました。

なぜ気が重い?役員決め

新年度が近づくと、PTAの役員決めが行われる学校も多く、保護者の方の中には、「気が重い」と感じる人もいるのではないでしょうか。

任意団体なので、参加は自由なはずなのですが、「やりたい」という人がいないと、役員を一度もやってない人がやる、とか推薦された人がやる、という学校も多くあります。

役員になると、平日昼間に開かれる会議や行事などに参加しなくてはならず、負担が大きいため、「できればやりたくない」、または、仕事や介護などで「できない」という保護者が増えています。

"PTA問題"とは

いまPTAをめぐって、次のような、さまざまな問題が指摘されています。

1つは、強制加入の問題。
加入は任意なので、本来、入退会は自由なのに、ほとんどの人が会員になっています。

そして、役員の強制の問題。
なかば強制的にやりたくないのにやらされる、というもの。
さらに、全員集まっての活動や、行事でのお茶出しなど、非効率的、不必要な活動などが指摘されています。

コロナ禍の今が見直しのチャンス

実は、コロナ禍の今が、PTAを見直すチャンス。

名古屋市立の小中学校のPTAでつくる協議会では、2020年10月、
「コロナ禍でのPTA活動」についてアンケートを実施しました。

「コロナ禍で集まれず、これまで通りの活動ができない」という声があった一方で、
集まらなくてもいいように、オンラインの活用が進んだことがわかりました。
しかも、会場まで行かなくてもいいので参加しやすい、とか、時間などの無駄が省けるなど、オンラインの活動を続けて欲しいという声も多く寄せられました。

今後のPTA活動として考えていることについては、およそ4割の学校が、
「PTA活動の見直し・負担軽減」を行うと回答したということです。

エントリー制の学校も

PTA活動の見直しとして、すでに、名古屋市の学校の中には、一部の活動を、やりたい人を募集して行う「エントリー制」にしているところもあります。

これまでは、やりたくなくても委員会の役員になってしまうこともあったのですが、
委員会は廃止して、サークル活動のようにやりたい人が集まって活動するという方針にしたのです。

PTA新聞作りなどもやりたい人がやる、運動会やセミナーの準備はその都度、できる人を募る、という制度です。

導入した学校では、強制ではないからこそ、参加してもいい、という人が増えたということです。

時代にあった組織・活動への変革

名古屋市立小中学校PTA協議会でも、
①主体的な参加、②負担軽減、③時代にあった組織・活動への変革、という方針をまとめています。

時代に合った組織、活動への変革の1つとして、「母代、母親代表」という役職の呼称を
なくすことがあげられています。
PTAのトップの会長は男性、というのが慣例だったため、
女性は補助的な役割「母親代表」という呼称が残っているところがあります。

協議会では、学校や区のPTAには廃止を求めないけれども、
協議会の役職からは、母親理事・母親代表という呼称をなくすとしています。

名古屋市小中学校PTA協議会の鬼頭恵助会長は、
「PTA活動の目的は何か、本当に必要な活動は何か、原点に立ち返り、魅力的なPTA活動のあり方を 学校、地域で話し合ってほしい」と話しています。

PTAもアップデートを!

PTA役員は、やってみると、学校に行く機会や、先生や他の保護者と話す機会が増えて、学校や子どもの様子がわかるなど、いいこともあります。

「子どものために、保護者と教職員が協力する」というPTAの本来の目的に戻り、
強制的にではなく、「やりたいことを、やれるときに やれる人がやる」と
PTAもアップデートが必要だと思います。

PTAについては、今後も、エントリー制を導入した学校など取材したいと思います。

また、PTAで、何か「へんだな」と感じることがあれば、ぜひ「まるっと!」のホームページの「#へんなルール」からメッセージをお寄せください。
取材して「KYジャーナル」でお伝えしていきたいと思います。

筆者

山本恵子解説委員(NHK名古屋放送局 報道部 副部長)
愛知県出身。1995年入局。金沢局を経て社会部で教育、女性活躍、働き方改革などを中心に取材後、名古屋局で赤ちゃん縁組や里親について取材。国際放送局World News部を経て2019年再び名古屋局。「子ども子育て応援プロジェクト#わたしにできること~未来へ1歩~」スタート。2021年より解説委員(ジェンダー・男女共同参画担当)を兼務。

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