- 1.歴史的仮名遣いとは
- 2.歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直すときのルール
- 3.歴史的仮名遣いと現代仮名遣いの一覧
- 4.練習問題
歴史的仮名遣いとは
どうして昔と今で書き方が変わるの??


歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直すときのルール
①「ゐ・ゑ・を」は→「い・え・お」に直す

わ行を読むときは、「wa・ i・ u ・e・ wo」と発音するよね。
でも、「を」は単語として使われているのではなく、「◯◯を」というように「助詞」として使われているよね。

②「ぢ・づ」は→「じ・ず」に直す
③「む」は→「ん」に直す
④語頭以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」は
→「わ・い・う・え・お(わ行)」に直す
単語の初めにない「は・ひ・ふ・へ・ほ」は直さなければいけないということだね。

①たとえ単語の初めになくても、他の単語にくっついて「複合語」になっている場合は、やっぱりそのままでいいんだ。
※複合語とは・・もともと独立している単語が二つ以上くっついて、新しいひとつの単語として意味などをもつようになったもの。
【例】
・「日」が「朝」について複合語になった「朝日」はそのまま「あさひ」
・「降る」が「雨」について複合語になった「雨降り」はそのまま「あめふり」
【例】
・しはすは(師走は)→「しわす(師走)」という単語と助詞の「は」なので、
「しわすは」になる。
⑤「くわ・ぐわ」は→「か・が」に直す
⑥ア段+う(ふ)→オ段+う
【例】
「やうす(様子)」は、ア段である「や」と「う」がくっついているよね。
なので、「や(ア段)」を「よ(オ段)」に直して、「う」をくっつけるよ。
「やうす」は「ようす(様子)」になるんだ。
⑦イ段+う(ふ)→イ段+ゅ+う
【例】
「ちう(宙)」は「ち(イ段)」と「う」がくっついているよね。
なので、「ち」はそのままで、「う」を「ゅ」と「う」に変えて、
「ちゅう(宙)」になるんだ。
⑧エ段+う(ふ)→イ段+ょ+う
【例】
「けふ(今日)」は「け(エ段)」と「ふ」がくっついているよね。
なので、「け(エ段)」は「き(イ段)」に直して、「ょ」と「う」をくっつけるよ。
「けふ」は「きょう(今日)」になるんだ。
歴史的仮名遣いと現代仮名遣い一覧
①「ゐ・ゑ・を」→「い・え・お」
| ゐたり | いたり |
|---|---|
| ゐど | いど(井戸) |
| こゑ | こえ(声) |
| をかしげ | おかしげ(かわいらしいという意味) |
| をとこ | おとこ(男) |
| をとめ | おとめ(乙女) |
②「ぢ・づ」→「じ・ず」
| あづまぢ | あずまじ(京都から東国へ行く道のこと) |
|---|---|
| ぢしん | じしん(地震) |
| ふぢ | ふじ(藤) |
| いづれ | いずれ |
| かはづ | かわず(蛙のこと) |
| はづかし | はずかし(すばらしいという意味) |
| みづ | みず(水) |
| よろづ | よろず(色々なこと) |
③「む」→「ん」
| 射む | 射ん(矢を射ようという意味) |
|---|---|
| かむなづき | かんなづき(神無月。10月のこと) |
| 戦はむ | 戦わん(戦おうという意味)※「は」→「わ」も直すよ。 |
| なむ | なん(係りの言葉。係り結び「ける」で結ぶ。) |
| やむごとなき | やんごとなき(高貴な身分のこと) |
④語頭以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」
→「わ・い・う・え・お(わ行)」
| 合はせる | 合わせる |
|---|---|
| あはれ | あわれ(趣があるという意味) |
| いはく | いわく(「おっしゃった」という意味) |
| おはす | おわす(いらっしゃる」という意味) |
| おそはるる | おそわるる(襲われるという意味) |
| しはす | しわす(師走。12月のこと) |
| すなはち | すなわち(すぐにという意味) |
| つはもの | つわもの(兵) |
| 言ひける | 言いける |
| 思ひて | 思いて |
| 使ひ | 使い |
| 言ふ | 言う |
| 思ふ | 思う |
| ゆふぐれ | ゆうぐれ(夕暮れ) |
| 思へ | 思え |
| かへす | かえす(返す) |
| まへ | まえ(前) |
| いとほし | いとおし(かわいそうだという意味) |
| いほり | いおり(庵) |
| おほかた | おおかた(「だいたい」という意味。おほかた・・・「ない」という否定の場合は、「全く」という意味) |
| かほ | かお(顔) |
| なほ | なお(やはりという意味) |
| にほふ | におう(輝いて美しいという意味) |
⑤「くわ・ぐわ」→「か・が」
| くわかく | かかく(過客。旅人のこと) |
|---|---|
| くわし | かし(菓子) |
| ぐわまん | がまん(我慢) |
| にぐわつ | にがつ(二月) |
⑥ア段+う(ふ)→オ段+う
| あふぎ | おうぎ(扇) |
|---|---|
| おとなふ | おとのう(音を立てるという意味) |
| かうい | こうい(更衣。天皇のそばで働く女性の位のひとつ) |
| さうざうし | そうぞうし(「ものたりない」という意味) |
| さうぞく | そうぞく(装束。服装のこと) |
| けんぱふ | けんぽう(憲法) |
| さぶらふ | さぶろう(お仕えする、・・・でございますという意味) |
| ちかう | ちこう(近う) |
| ちゆうじやう | ちゅうじょう(中将。役職の名前) 歴史的仮名遣いでは、「っ・ゃ・ゅ・ょ」のように現代仮名遣いで小さく書く字も普通の大きさで書く。 |
| やうす | ようす |
| やうやう | ようよう(しだいにという意味) |
| やうやく | ようやく |
| まうす | もうす |
| まうでけり | もうでけり(詣でけり) |
読む時は「たもう」でもよいけれど、表記(書くとき)は「たまう」なんだ。
⑦イ段+う(ふ)→イ段+ゅ+う
| じふにひとへ | じゅうにひとえ(十二単)※「へ」→「え」も直すよ。 |
|---|---|
| りふしやくじ | りゅうしゃくじ(立石寺というお寺の名前) |
| うつくしう | うつくしゅう(かわいいという意味) |
| ちう | ちゅう(宙) |
⑧エ段+う(ふ)→イ段+ょ+う
| けふ | きょう(今日) |
|---|---|
| 恋すてふ | 恋すちょう(壬生忠見の和歌で使われていることば) |
| てふてふ | ちょうちょう(蝶々) |
| せうゆ | しょうゆ(醤油) |
| ばせうをう | ばしょうおう(芭蕉翁。松尾芭蕉のこと)※「を」→「お」も直すよ。 |
| ほすてふ | ほすちょう(持統天皇の和歌で使われていることば) |
歴史的仮名遣い練習問題
スクロールすると、解答があります。
問題
| いづれ | |
| はらひて | |
| たのもしうをかしけれ | |
| あひたるけるを | |
| あづまぢ | |
| せうと | |
| ゐたり | |
| きりくひの | |
| いさかひ | |
| よはひ | |
| たふとみて | |
| くわかくにして | |
| きうり | |
| くはへて | |
| いみじうをかし | |
| かうむる | |
| づけい | |
| やむごとなき | |
| おほかた | |
| せうがふ | |
| をしへられし | |
| 思ひくづをれて | |
| おのづから | |
| ゑしゃく | |
| ころもほすてふ | |
| わづらひ | |
| をのこ | |
| 据ゑる | |
| ・・・やうにする | |
| いかがせむ | |
| かくほどなくうつろひて | |
| さふらふなり | |
| けふこえて | |
| をしう |
解答
| いづれ | いずれ |
| はらひて | はらいて |
| たのもしうをかしけれ | たのもしゅうおかしけれ |
| あひたるけるを | あいたるけるを |
| あづまぢ | あずまじ |
| せうと | しょうと |
| ゐたり | いたり |
| きりくひの | きりくいの |
| いさかひ | いさかい |
| よはひ | よわい(齢) |
| たふとみて | とうとみて |
| くわかくにして | かかくにして(過客にして) |
| きうり | きゅうり(胡瓜) |
| くはへて | くわえて |
| いみじうをかし | いみじゅうおかし |
| かうむる | こうむる(被る) |
| づけい | ずけい(図形) |
| やむごとなき | やんごとなき |
| おほかた | おおかた |
| せうがふ | しょうごう(照合) |
| をしへられし | おしえられし |
| 思ひくづをれて | 思いくずおれて |
| おのづから | おのずから |
| ゑしゃく | えしゃく(会釈) |
| ころもほすてふ | ころもほすちょう(衣ほすちょう) |
| わづらひ | わずらい(患い) |
| をのこ | おのこ |
| 据ゑる | 据える |
| ・・・やうにする | ・・・ようにする |
| いかがせむ | いかがせん |
| かくほどなくうつろひて | かくほどなくうつろいて |
| さふらふなり | そうろうなり(候なり) |
| けふこえて | きょうこえて(今日こえて) |
| をしう | おしゅう(惜しゅう) |