今は無き池袋構内のうどん屋。
ブクロ育ちのクリームソーダのせいちゃん
と夜に長電話していて、池袋駅構内のフー
ドコーナーの話になった。
「あそこのうどんがうんまくてさぁ」と
誠一郎店長は言う。
「そうそう。あれは当時東京では珍しい
関西風ツユでしたね」と私。
「そう。トトロこんぶなんて載せてさ」
と店長。
とかいう会話で盛り上がった。
池袋は通学路だったので高校時代から
遊び場はブクロだった。
そして、駅構内の広いフードコーナーで
空いた小腹を仲間と満たした。
多くの店舗があったが、定番はこのうどん
店だった。
そして、うちらの好きなのは、エリアの
ど真ん中の太い柱のとこにあったハムカツ
屋だ。
そこでハムカツとメロンセーキを頼むのが
仲間内でのひとつの流行りだった。
メロンセーキてのは、まあクリームソーダ
をかき混ぜたようなやつ。
私は1976年からそこのハムカツとエリア
入り口の素うどん屋を愛用していたが、
池袋構内大改修により2016年に閉鎖され
た。
今はそこは綺麗な店舗の量販化粧品薬局
になっている。
今世紀になってからも、都内出張などで
立ち寄るとまだ1970年代中期と何一つ変わ
らぬ店舗、配置で営業していた事に驚いた
が、2016年の完全廃止にはちと寂しかっ
た。
素うどん屋は、なんてことはない乾麺の
うどんなのだが、ツユが上々だったのだ。
その味は東京ではとても珍しいので、多く
の東京人に人気だった。
どう言ったらいいか・・・。
そう。西新橋にあったさぬきうどん屋「お
ぴっぴ」のうどんツユにかなり似ている。
「おぴっぴ」も今はもう無い。
とにかく、ブクロ駅構内のあのうどんは
まじもんでウマかった。
ハムカツとミルクセーキはジャンクフード
感満載で、いきがったリーゼントの俺らは
ヘッとかニヒッてぺったんこのチョンバッ
グを地面に立てかけて、それを食ってい
た。
ブクロ通過の行き帰りは生き返りできるか
どうかの臨戦通学路だった。
そんな時代。
東京というのは不思議なとこで、地方の
田舎のように勉強できない落ちこぼれの
頭悪いのがつっぱりくん(今のヤンキーと
は別種)になるという図式は無かった。
偏差値65以上でもみぃ〜んなリーゼント。
そういう時代だし、そういう土地柄なの
が東京だった。
なんで、あの時代、あの70年代の東京の
ティーンはみんなギラギラしていたのだ
ろう。
まるでエッヂの立ったナイフみたいに。
でも、みんな元気だった。つっぱりくん
も真面目くんも。
陰にこもってグジグジぐたぐた陰でゴタ
ってる野郎なんていなかった。いたとし
ても、てんでそんな腐ったのは相手にさ
れなかった。少なくとも東京は。
田舎の事はどうだか知らない。
今は日本全国総カッペ時代。
昔の田舎のおばはん連中のようなのばっか
だ。
陰に隠れて誰さんがどーしたこーしたと
あげつらって嘲笑して嬉々としている。
キモいんだよ、ネット民のカッペ根性は。