初心者が耳コピの際に気をつけるべき点について。
(2020年10月2日)
■耳コピで大事なこと
- 音色とミックス、マスタリングまで含めた完コピを目指す
- 特定の音色のコピーを目指す
- 楽曲構成、楽器編成、ボイシング等、アレンジを学ぶ
- コード進行
- メロディ
- etc.
全てを完璧にやろうとしても、あまり良い練習にならず、時間を無駄にしてしまいます。
■メロディを正確に拾う
メロディを本当に正確に拾えているか?を再確認してみましょう。
・メロディの分析
分析と言っても難しいことは何もありません。
メロディの音程運動は5種類に分類できます。
- 同じ音
- 上がる(となり)
- 上がる(跳躍)
- 下がる(となり)
- 下がる(跳躍)
当たり前すぎてつまらないですね。
でも理論とか分析って、こういう基礎の基礎を認識することです。珍しい単語を覚えることではありません。
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この5種類の動きをいつどのように使うか?という選択の連続で全てのメロディが作られています。
※厳密に言えば「休み」もありますが、省略します。
■メロディ耳コピの間違い例
耳コピで間違いやすいのは「跳躍」を伴うメロディです。
- 「ド↑ラシ」を「レラシ」にしてしまう
- 「ラ↓レド」を「ラミド」にしてしまう
- 「ド↑ソラ」を「ドファラ」にしてしまう
- 「ド↓ファミ」を「ドソミ」にしてしまう
それぞれ鍵盤で弾いてみてください。
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1は、隣り合っている「ラシ」は合っています。
しかし、跳躍の開始音が間違っている例です。
これはフレーズの最初に多い動きです。
最初の短い離れている音を正しく耳コピできているか確認しましょう。
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2は、開始音と到達音は合っていますが、中間の音をミスしている例です。
間の短い音を正しく耳コピできているか確認しましょう。
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3と4は下降パターンです。
耳コピしている時に跳躍する音があったら慎重に、正確に耳コピしましょう。
「跳躍を含む3つの音の中間」を的確に聞き取れるようにすることに重点をおくと、より質の高い学習ができます。
・分析
どういう時に、どの距離をジャンプすると良いメロディになるのか?
ジャンプする前後でどういう動きが多いか?
連続ジャンプが出るのはどういう場面か?
自分なりに「こういう時にはこう動く曲が多い」と理解していけばそれでOKです。それがメロディの理論です。
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メロディだけを何曲も耳コピすることで、メロディの理論が理解できてくるはずです。
ミックスまで含めた耳コピや、フル尺の耳コピをやるよりも、はるかに良質な経験値を得ることができます。
なお、さらに高度な分析をやると、
コードに対してメロディがどの音程を使っているか?
という非常に複雑な内容になってきます。
いきなりそういうことをやっても得られるものは少ないです。
地道に単音メロディの理解を深めていってください。
■音の長さ
(音の長さの話は、そのうち記事を分割して書きます。たぶん。)
音の長さの分析も、音程運動の分析と同様に分類を理解してからです。
- 「同じ長さ」
- 「前後の音より長い」
- 「前後の音より短い」
この三択になります。
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以上をまとめつつ、逆の言い方をすると、
下手なメロディは「音程運動がワンパターン」「長さもワンパターン」という反面教師を得られます。もしくは「規則性がなさすぎる」となります。
(規則性、反復性について書くとものすごく長くなるので、これもまたの機会に。)
良いメロディが上下左右にどのような運動をしているのかを細かく観察し続けてください。
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あなたが耳コピしようと思った大好きな曲が、
どういう
- 音程運動の組み合わせ
- 長さの組み合わせ
で出来ているのかを確認しましょう。
・感動の原因を探る
岡田斗司夫ゼミ。33分44秒~。
アニメの動きだけのわずかな演技についての解説です。
僕らがこのシーンを見ていじらしいなとか、素敵だと思うのは、演技を視覚情報として意識しなくても入ってくるから
非常に抽象的な概念の話をしていますが、これは音楽でも全く同じです。
音楽の素人でも、むしろ素人だからこそ「この部分すごく好き!」という感情が音楽によって引き起こされます。
中途半端に理論を知っている、「自分の知っている理論で理解できる!」というおかしな感動、独りよがりな興奮が起きてしまい、純粋さを喪失した状態に陥ってしまうことがあります。(逆に、自分の理解できないものを「すげえ!」と興奮してしまうこともあります。意味不明なことをやれば良いものになるわけではありません。気をつけましょう。)
なぜその曲を好きになったのか?
大好きな曲を耳コピしていくと、ある部分の音程やコード、リズムを再現できた時に「ここ素敵だよなー」と実感できる瞬間があるはずです。そういう部分がどのような仕組みで出来上がっているのかについて、いずれ徹底的に分析してみてください。理解出来ない場合には、そういう部分をこそレッスンで分析を代行してもらってください。
大抵の場合、それは非常にシンプルな技術を、的確に配置することで引き起こされる感動です。
理論学習は理論のためではなく、あなたの感動の源泉をつきとめるための行為であるべきです。生きた音楽理論の習得を目指しましょう。
その重要さを再確認させてくれるのが耳コピという行為の最大の価値です。
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■メロディ確認作業時のチート
ドラムをミュートしたり、EQで250Hz以下を聞こえにくくすることで、メロディに集中しやすくなります。
ズンズンしたドラムやベースによるノリに飲み込まれず、メロディだけに集中できる環境を作りましょう。
・聞かない能力
慣れてきたら脳内でリズムを無視できるようになってきます。何かを聞くということは、何かを聞かないということでもあります。この「選択的に聞く」能力は、アレンジやミックスの作業で大変役に立ちます。
ぼんやりと全体を聞くのは聞き専。作る側にとって重要なのは「聞かない能力」です。
■その他
跳躍の途中の音程が分からなくなるのは「歌ってみた」で音程修正作業をやっている人なら心当たりがあるはずです。
歌った人の音程が雑なのは仕方ないのですが、音程修正をする人が勝手に「跳躍を含む3つの音の中間」を変えて、作曲してしまっている悪例は非常に多いです。
メロディの音程に対する感覚が鈍感な人はそれで良いと思っているのでしょうが、聞く人が聞けばそのおかしさに瞬時に気が付きます。
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