金利が上がるとFXの値動きはどうなるかを世界一わかりやすく解説します

「長期金利の上昇に伴って、ドル円も上昇というニュースを見たけど、どういうこと?」

「アメリカの中央銀行が利上げするって言われているけど、FXにはどんな影響があるの?」

「金利が相場にどう影響するかシンプルに知りたい!」

こういった疑問に答えます。

本記事の内容

  • 【基本ルール】高金利=買われやすい、低金利=売られやすい
  • 金利の種類は短期と長期の2つ
  • 短期金利は政策金利の影響が大きい
  • 長期金利は景気の良し悪しの影響が大きい
  • 金利の捉え方を別角度から深堀り
  • 【2022年3月最新】アメリカの利上げはFXにどう影響する?
  • この記事のまとめ

この記事を書いている僕は、投資歴8年ほど。
主に指数取引やFXを中心に取引をして、元手70万円を8年で1億円まで増やしました。

投資初心者のよくある悩みとして、「テクニカル分析は勉強したけど、ファンダメンタル分析は意味わからん…」という点があると思います。

僕も元々はテクニカル分析だけで相場を理解しようとしていたのですが、テクニカル分析だけでは説明がつかない値動きが多数あることに気づき、ファンダメンタル分析にも力を入れるようになった背景があります。

8年も相場の状況を日々追っていると、「ファンダメンタル分析をスムーズに行うコツ」みたいなものが分かってきました。
その第一歩にあるのが「金利への理解」です。
そこで今回は「世界一わかりやすい金利のお話」をしていこうと思います。

※この記事を読み終わったときには、今までよりも「金利への理解」が深まり、相場の大局観がスッキリして見えてくるはずです。

【基本ルール】高金利=買われやすい、低金利=売られやすい

FXの目的は『両替』です。

ドル円の場合は、ドルと円の両替レートを表したものがドル円の価格になります。

2022年3月現在では、1ドルを手に入れるために115円ほど払わなければいけない状態です。

この両替レートはどういう原理で価格が決まるかと言うと、70~80%の要因は『二国間の金利差』で決まります。

金利の基本ルール
・金利が高い国の通貨は買われやすい
・金利が低い国の通貨は売られやすい

金融界では絶対のルールです。
短期的に逆の値動きをしても、長期的にはこのルールに則した値動きになります。

この記事を書いている2022年3月9日時点では、日本はマイナス金利(-0.1%)で、アメリカはゼロ金利(0%)です。
二国間の金利を比べると、アメリカの金利の方が高いので、ドルが買われて、円が売られやすくなり、ドル円は上がりやすい局面と言えます。

このように金利を理解することで、目先の値動きの方向性が分かるので、金利の動向は常に世界中の投資家から注目されているんですが、『アメリカの中央銀行が金利に言及』するときは、世界経済に非常に大きな影響力を及ぼします。

アメリカの中央銀行が金利に言及するときのインパクトを漫画で例える
・ドラえもんだと、ジャイアンが歌い出すような感じ
・鬼滅の刃なら、無惨さんが出てきたといった状況
・ドラゴンボールなら、悟空が超サイヤ人になった場面

どのアニメ・漫画でも、とてつもない影響力を誇っていますよね。

ドルの親分であるアメリカの金利が上がるか下がるかという動向は、
市場に出回るドルの総量が上下することも意味します。

もう少し噛み砕いて説明すると、

  • アメリカの金利が上がる = 市場に出回るドルの流通量が減り、ドルの価値が上がる
  • アメリカの金利が下がる = 市場に出回るドルの流通量が増え、ドルの価値が下がる

アメリカの金利動向によって、さまざまなFXの通貨ペアも大きな値動きをしてくるので、アメリカの金利動向を追いかけることは、トレーダーにとって必要不可欠であることが分かるかと思います。

金利動向の影響が大きいとき = テクニカル分析だけでは説明できない値動きになる【実例で紹介】
2020年のコロナショックにより、2020年3月にFRBパウエル議長が緊急利下げを2回実施した

この時は1%の緊急利下げを実施して、ゼロ金利政策にしたため、まだアメリカに比べて金利が高い状態のEURやAUDなどのドルストレートの通貨ペアは、ドル安トレンドで上昇となりました。

そして、ドル円は下落しました。
日本は2016年1月からマイナス金利(-0.1%)を実施しているし、アメリカがゼロ金利になっても、日本の金利の方が低いから、ドル安にならないんじゃない?という疑問が浮かぶかと思います。
なぜドル安になったかと言うと、アメリカのゼロ金利政策による金利の引き下げ幅が日本のマイナス金利実施時より大きかった(アメリカは1%、日本は0.1%)ので、ドル安になり、ドル円は下落という値動きになりました。

しかし、2021年にアメリカが金利を上げるよという姿勢を見せてから、FXのチャートはその期待を値動きに反映させており、ドル円は上昇という値動きの1年になりました。

金利の種類は短期と長期の2つ

金利は、短期金利と長期金利に分かれます。

金融界での短期は2年、長期は10年が共通認識です。

私たちの日常生活に馴染んでいる金利とは、お金を借りた人がお金を貸してくれた人に『元本 + 金利』という形式で返済する、金利のことを言っています。

ただ、FXをトレードする上で出てくる金利は『国債の利回り』のことを言います。

国債はよく国の借金と例えられることが多いですが、例えばあなたがアメリカの国債を1億円で買ったとします。
この状況は、アメリカがあなたから1億円を借りたということです。
アメリカは1年ごとに利回り分をあなたに支払ってくれます。
このときにあなたがアメリカの2年国債を1億円買っていたら、こんな感じの利回りになります。

  • 1年後にアメリカからあなたに1年間の利回り
  • 2年後にアメリカからあなたに元本(1億円) + 1年間の利回り

tradingviewで米2年国債の利回りのチャートが見れますが、1.6%ほどの利回りになっているので、実際に計算してみると・・・

  • 1年後にアメリカからあなたに1年間の利回り = 1億円 × 1.6% = 1,600,000円
  • 2年後にアメリカからあなたに元本(1億円) + 1年間の利回り = 1億円 × 1.6% = 101,600,000円
  • 合計 103,200,000円(+3,200,000円)

となります。もちろん短期金利は変動するので、多少の誤差は出ますけどね。

長期金利 = 米10年国債の利回りも、tradingviewで米10年国債の利回りのチャートが見れます。

ここで1つポイントなのが、短期金利と長期金利は、基本的に長期金利の方が高くなりやすいです。

お金を貸す側は、お金が返ってこない可能性があるので、お金を貸すだけでもリスクを背負うんですよね。
ただそれよりも高いリスクなのが『その貸したお金を別の投資先で運用した方がお金を増やせる』という可能性があることです。

1億円に金利1.9%で10年後に返済してくれる国債の利回りと、
株,積立,FXなどでの資産運用を比較した場合に、国債の利回りよりも儲かる可能性が少なからずあるわけですよね。

※現実問題、理性を保ちながら一定のルールを持って、資産運用が出来る人は少ないと思います。
国債は利回りこそそこまで高くはないですが、安全投資先として考えられるので、預けておけば元本保証のような観点もあります。

お金を貸す側の観点だと、お金を貸す期間が長ければ長いほど、他の金融商品に投資して儲かる可能性もある訳なので、長期金利は短期金利よりも高くしておかないと、お金を貸す側のメリットが少なくなるという理由で『長期金利 > 短期金利』の構図になることが多いです。

短期金利は政策金利の影響が大きい

ここまで解説してきた金利というのは、短期でも長期でも国債の利回りということでしたよね。

それとは別に、各国の中央銀行が操る金利というのも存在していて、それは政策金利と言われています。
短期金利や長期金利とは別物の金利と考えてください。

政策金利は、各国の中央銀行と政府間の金利とも言われています。
各国の経済状況に合わせて、『物価の安定』を保つという目的を達成するために政策金利を変動させています。

政策金利を変動させるときには、短期金利や長期金利の値動きも反応を見せます。
特に短期金利の方が、政策金利の影響が大きく、政策金利の変更観測などがニュースで出ると、短期金利の価格は過敏に反応します。

短期金利の方が過敏に反応する理由は、政策金利は物価の安定を保つために変動させているからです。
ガソリンや小麦などの価格が上昇するインフレが1,2年は続くかもしれないけど、10年後にどうなっているかは分かりづらいですよね。
経済状況などは目まぐるしく展開が変わっていく動向を注視しながら、物価の安定という目標達成のために、短期金利を利用しているとも言えます。

長期金利は景気の良し悪しの影響が大きい

長期金利は、今後の景気の良し悪しに関わるニュースが出たら、値動きが過敏に反応しやすいです。
ただ、短期金利が反応しないわけではありません。長期金利よりも反応が薄いという意味です。

世界経済を引っ張るアメリカの消費者物価指数や雇用統計などの経済指標が、景気の良し悪しを見定める材料になったりしやすいです。
しかし、どの材料が景気の良し悪しを判断するのに1番重要なのかは、その時の相場状況によって変わってくるので、経済ニュースなどは常に追わなければいけませんね。

基本的な考え方として、景気の先行きが良いという兆候なら、長期金利は上昇していきます。
長期金利が上昇するということは、国債は売られている = 景気が良いという判断になりますよね。
国債が売られると、株が買われるようになります。国債が売られるということは、リスクオンです。
国債は安全投資で、株はリスク投資なので、景気の先行きがヤバいかもとなった時(=リスクオフ)は、リスクの低い安全投資先の国債が買われるようになります。

そして、利上げが意識されるときには、長期金利は低下しやすいです。
利上げという行為は、景気が良くなってきたら、バブルになりすぎないように景気にフタをする金融行動です。
利上げをする兆候が現れると、株や仮想通貨などのリスクが高い投資先は売られやすくなり、安全投資先の国債が買われるようになるので、国債の利回り(=長期金利)が低下しやすくなります。

金利の捉え方を別角度から深堀り

政策金利の変更が見込まれるときの変化
・政策金利が上がる(利上げ) = 世の中に出回るお金の総量は減りやすい
・政策金利が下がる(利下げ) = 世の中に出回るお金の総量は増えやすい

このようなお金の巡りになっているので、⇩のような通貨関係になりやすいです。

  • 利上げを実施してお金の総量が減れば、お金の希少価値が相対的に上がるので通貨高
  • 利下げを実施してお金の総量が増えれば、お金の希少価値が相対的に下がるので通貨安

そのときに金利も連動して、値動きが上下しているということです。
ただ各国の中央銀行が直接的に短期金利や長期金利を操作しているわけではないです。
繰り返しになりますが、短期金利と長期金利 = 国債の利回りですからね。

ここまでは国債の需給という側面から説明をしてきましたが、もう1つ覚えておいてほしい考え方があります。

10年国債の利回りを算出できる計算式
・10年国債の利回り = 政策金利への期待度 + 期待インフレ率

期待インフレ率とは、将来的に物価が上昇することを期待されていることを意味します。

実際にアメリカがゼロ金利なら、
『0(= 政策金利への期待度) + 1.6%(= 期待インフレ率) = 1.6%』と考えられます。

基本的にインフレは景気が良くなっていく段階で物価が上昇していくのは、良いインフレと捉えられます。
その逆に、あまりに景気が良くなりすぎてインフレが加熱して、物価が上昇しすぎてしまう状態も生まれます。

良いインフレになる最初の段階は、各国の中央銀行による金利引き下げや金融緩和という金融行動に踏み切ります。
金利引き下げや金融緩和は、世の中にお金をじゃぶじゃぶに刷るという意味合いもあります。

『金利の引き下げ』という状況を言い換えると、借金をするハードルが下がるとも捉えられます。
金利が下がれば、借金をしたときに払わなければいけない金利が少なくなるので、企業や個人が積極的に借金を出来るようになります。
企業だったら、事業拡大や研究開発、設備投資にお金を使い、売上を確保できるようになるということです。

売上を確保するためには、人員を確保しなければいけないですよね。
飲食店を展開する企業だったら、どんどん新店舗をオープンして、売上を確保していく必要があります。その際には、従業員が必要になって、他の企業に人材を取られないように、給料を高くしたりなどの対策が必要になります。
従業員の給料が良くなれば、日常生活で積極的に消費をしていくので、企業も商品価格の値上げが出来るようになります。

この好循環が回ると、インフレがどんどん進んでいきます。
値上げをしても、消費者の給料も増えているので、消費が落ちることはないという考え方が根底にあるのが良いインフレです。

インフレが進んで、永遠に物価が上がり続ければ良いのか?ということも気になると思います。
物価はどこまでも上昇させられますが、給料が上がっていくのには限界があるので、インフレが加速しすぎると消費が追いつかないという現象が起きます。
過度なインフレになった情勢を見かねて、中央銀行が利上げを実施することで、物価上昇を抑えることが出来るわけです。

10年国債の利回りを算出できる計算式
・10年国債の利回り = 政策金利への期待度 + 期待インフレ率

先ほどの計算式に戻ると、物価の上昇を抑えることは期待インフレ率が下がることを意味します。
ということは、政策金利への期待度が0.25%で、期待インフレ率が1.25%なら、10年国債の利回りは1.5%となり、利下げ・金融緩和を実施する前よりも10年国債の利回りが低下していくということになり、良い景気サイクルになっていると言えますね。

相場を見るときの中心に『金利』を置いてみると、スッキリして考えやすいですよ。
金利の動向を追っていれば、どこにお金が集まって、どこからお金が抜けていくかが分かるので、投資先の選定もシンプルに出来るようになるはず。

【2022年3月最新】アメリカの利上げはFXにどう影響する?

アメリカは2022年3月16,17日のFOMCで0.25%の利上げをすることが濃厚とされています。

2022年3月2日のFOMCパウエル議長が議会証言で「利上げ0.25%はほぼ実施する方向だ」という意思を示したことから、実際に利上げが実施された直後の相場へのインパクトは少ないのではないかと予想します。

ただ今年中にどこまで利上げするかはまだハッキリと意思表示をしていないので、今後の利上げ幅や利上げ回数、金融引き締めへの言及・実行してくるようだと、リスク資産である株や仮想通貨などから資金が抜かれて、安全資産の国債買い、金利高、ドル高に繋がるのではと思っています。

アメリカはコロナショック後の利下げと金融緩和でドルを市場に大きくバラまきました。
過去に例を見ないくらいの規模での実施となったので、コロナ渦にも関わらず、ダウ平均やナスダック、S&P500、ビットコインなどのリスク資産は過去最高値を更新しました。

そして、今回の利上げや金融引き締めはバラまいたドルを一気に回収してくる局面なので、リスク資産の下げ幅もかなり大きくなると予想します。

また、為替レートは『二国間の金利差』が70~80%の要因になるので、二国間の金融政策がタカ派(利上げ、金融引き締め)とハト派(利下げ、金融緩和)でそれぞれ違うと、金利差が生まれやすく、値幅も出やすい通貨ペアになります。

金融先進国の中で、日本だけは未だにハト派の金融政策なので、そこが1つFXでは妙味が生まれるポイントかもしれません。
とは言え、日本も金融政策を転換させてくる可能性は十分にあるので、油断は出来ません。

この記事のまとめ

金利とは
・高金利=買われやすい 低金利=売られやすい
・短期金利=政策金利 長期金利=景気の良し悪しの影響が大きい
・アメリカが利上げすると、ドル高・株安・債券高・金利安になりやすい

今回の記事では金融市場の根幹を担う金利について深堀りしました。
少しでもこの記事で金利への理解が深まり、日々のトレード成績の向上に役立ててもらえたら嬉しいです。