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物語におけるスタイルの性差を論じた上記記事に対して、id:KoshianX氏が一例だけをもって反論になるかのようなツイートをしていた。
しかし「これ何度貼ればいいんだろうな」と主張しているが、一年以上前もKoshianX氏こそが各方面から再反論されていたし*1、私もビキニアーマーの歴史をふりかえるエントリで疑義をとなえた。
hokke-ookami.hatenablog.com
いずれにしてもビキニアーマーは過去のスタイルであって、現在ならばギャグのようにしか利用されないという意見もある。
実際に、古びたからこそパロディ色の強いショートギャグアニメとして『おとなの防具屋さん』『ビキニ・ウォリアーズ』といった作品がシリーズ化もされている。
とはいえ、シリアスで重たい物語だからこそ、ビジュアルで娯楽色を高めるために性差を強める場合は近年も存在する。
たとえば2014年にTVアニメ化された『魔弾の王と戦姫』はファンタジー世界の軍記物だが、前線に露出度の高い女性を出すような世界観だった。
2017年にTVアニメ化された『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』も、服飾文化設定に疑問をもたせるレベルの制服デザインで、リアルタイムで疑問視されていた記憶がある。
もちろん、こうした作品は無数のファンタジー作品の一部であって、象徴的な作品であっても平均的とは限らない。
とはいえ、女性向けファンタジー作品も多くTVアニメ化されているのに、服飾デザインの露出度を男女逆転したような作品はそうそう見かけない。
ちなみに設定の統一感でいえば、1999年のオリジナルTVアニメ『ベターマン』の操縦用スーツが、老若男女の別なくシースルーデザインであったことを思い出す。
パイロットスーツのたぐいがボディラインを出すことは定番だが、『蒼穹のファフナー』のように各部の肌を露出する必要がある設定にして、少年も露出度が高まる作品もある。
こうした作品ならば、作り手の意図や効果はそれぞれ論じられるとして、整合性を壊すほどに女性だけ性的描写がされているとはいえないだろう*2。
さて冒頭のKoshianX氏のツイートに対しては今回もさまざまな反論がよせられ、例示されたゲーム「Fate/Grand Order」の女性キャラクター*3のスタイルを列挙するツイートも出てきた。
上記ツイートに対して、第三者が再反論するツイートもあったが、しかし列挙されたキャラクターを見て首をかしげざるをえなかった。
「tatutaagenoteiou5659@tatutaagenotei1」氏は「普通の子」というが、たとえば2枚目右上のジャンヌオルタが普通の露出度かというと、かなり厳しいものがある。
2枚目右中の源頼光も、露出度こそたしかに少ないものの、ボディラインを見れば性的なスタイルとしてデザインされていると感じてしまう。
列挙されたなかには、他にもシースルーでボディラインを出したり、太ももを露出しているキャラクターが多数いる。
なかでも3枚目最右上のBBは、正面の立ち絵でありながらスカートが短すぎて股間が見えている。同じキャラクターでも他の絵があるだろうに、と思わざるをえない。
これらが「普通」として提示されていること自体が、冒頭の記事に反論するようなユーザーのもつ感覚が露見してしまったように思えてならない。
そしてこれは、虚構にふれつづけることで良くも悪くも価値観が変化していくことの、ひとつの実例ともいえるだろう。