[巻頭インタビュー]森脇 良太 愛媛FC
この1年でJ2に戻るという強い気持ちをピッチで表現する
2022年4月1日(金)(愛媛新聞ONLINE)
「この1年でJ2に戻るという強い気持ちをピッチで表現する」
Jリーグ随一の〝元気印〟が15年ぶりに愛媛FCへ戻ってきた。 森脇良太にとって愛媛はキャリアを飛躍させた原点の地。 既にベテランの域に達したが、かつての熱量は失っていない。 「太陽の男」が、再び熱きパワーで愛媛に勢いをつける。
文・写真 松本隆志
──15年ぶりの愛媛FC復帰です。心境はいかがですか? オファーをいただいた時には何とも言えない気持ちがこみ上げてきました。このチームで15年ぶりにプレーできるワクワク感と、強い覚悟を持ってプレーしなければいけないという2つの感情を抱きました。 ──森脇選手にとって愛媛はプロキャリアの原点とも言える場所です。 プロ2年目、3年目を愛媛でプレーさせてもらったけど、プロ1年目はサンフレッチェ広島ユースから昇格してプロの世界のレベルの高さを知らされて挫折していたんです。この先、プロとしてやっていくのは難しいのかなと大きな壁にぶち当たっていた時に愛媛でプレーする機会をいただき、当時の監督にたくさん試合で使ってもらって、もう一度サッカーの魅力、喜びをここで学ばさせてもらいました。自分にとってとても大きな2年間でした。 ──チームとしても森脇選手個人としても初めてJ3で戦うことになります。 このチームがさらに輝くクラブになるように力を注ぎたい気持ちが一番強く、環境やカテゴリーの問題は僕の視野に入っていない。もちろん選手としてJ1の舞台でプレーしたいという思いはみんな同じだけど、この愛媛をJ2、J1へ上げる一つのピースに僕もなっていければと思っているし、その目標を持って日々頑張っていきたい。 ──あらためて“森脇良太とはこういう選手だ”とアピールするなら? プレー面の特徴は多くないけど、気持ちを込めて戦うことには力を注いでいます。90分間、最後の笛が鳴るまでファイトすることは自分の最大のストロングポイント。戦う姿勢、チームを鼓舞する姿をファンの皆さんにも見ていただけたら嬉しい。 ──かつては若手らしく、ギラギラ感あふれる勢いのあるプレーが印象的でした。今回はどうチームに貢献していきますか? 今でもまだギラつきはあるし、もっとサッカーを上手くなりたい、もっとチームに貢献したいという思いは誰にも負けていないつもり。ただ、35歳になり、勢いだけでプレーする年齢でもない。幸いここまでたくさんの経験をさせてもらったので、戦術的な落とし込みもそうだし、トッププレーヤーのメンタリティなどを自慢話ではなく、一つのアドバイスとして伝えていくのも僕の役割なのかなと思っています。 ──今季の始動日には森脇選手一人が入ることでこれほどまでにチームが明るく活気づくのかと思いました。 声だけはデカいんでね(笑)。でも僕自身、雰囲気はすごく大事にしたいし、ポジティブな空間にはポジティブなことが転がり込んでくると思っているタイプなので。とにかく前向きなコーチングを心がけています。声にはみんなを前向きにさせる力がある。一人のミスに対して、まわりが『何だよ!』って思うのではなく、みんなが声を掛け合い、カバーするようなチームにしていきたいし、そうなるように積極的に発信していければと思っています。 ──一方で、プロアスリートである以上、プレーで力を示さなければいけません。 本当にその通り。結果を出すことがファン、サポーターのみんなを喜ばせる一番の要素です。僕自身も試合に出てチームに貢献したい気持ちが強い。試合に出ている選手がいろんなことを発信するのと、出ていない選手が発信するのとでは影響力も違ってくる。僕はピッチの上で活躍できるようにトライするつもりだし、そのために愛媛でプレーすることを決断しました。 ──ファンは1年でのJ2復帰を期待しています。 1年でJ2に戻ることがファン、サポーターのみんなに対して最大の恩返しになると思います。4年も5年も待ってくれなんて口が裂けても言えない。この1年で戻るという強い気持ちをピッチの上でしっかり表現していきたい。 ──FC今治と今季は同じカテゴリーになります。今治とのダービーマッチは大きなトピックですが、対抗心はありますか? やっぱり負けたくない。今治が素晴らしいチームであることは間違いないけど、愛媛といえば愛媛FCなんだと思ってもらえるように僕ら選手は頑張らなくちゃいけない。本音を言えばJ2の舞台で対戦したかったけど、J3というカテゴリーでも愛媛と今治の2チームが引っ張り、切磋琢磨する中でこのリーグを盛り上げていければ。ただ、2回ある対戦ではもちろん2勝したい。 ──森脇選手はかつて徳島ヴォルティスとの四国ダービーで“ダービー男”と言われた存在でした。 あの頃はたまたま徳島とのダービーで得点を取ることができたけど、今季もまたダービー男と言ってもらえるように全力でファイトしていきたい。もちろんチームの結果が一番だけど、僕が得点を奪って勝てればこれ以上嬉しいことはないですね。
Profile 森脇良太(もりわき・りょうた) 1986年4月6日、広島県生まれ。2005年サンフレッチェ広島でプロになり、06、07年と愛媛FCでプレー。広島に戻った後、浦和レッズ、京都サンガを経て今季、愛媛FCに再加入した。元日本代表。明るい性格から「太陽の男」と呼ばれる。









