植草一秀[経済評論家]
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問題の本質は、森友学園が、あらゆる面で異例の取り扱いを受けていると見られることである。
1.そもそも、8770平米の国有地の不動産鑑定評価額9億5600万円が低すぎる。
隣接する9492平米の国有地は、2011年3月10日に国から豊中市に14億2300万円で売却されている。森友学園に払い下げられた国有地については、2011年から2012年にかけて、大阪音大が当該国有地の取得を要望して、埋設物撤去・土壌改良費2億5000万円を控除した5億8000万円の価格での取得を提示したにもかかわらず、価格が低すぎるとの理由で排除されている。
2.そして、森友学園に対しては、2016年6月20日 当該国有地が1億3400万円で森友学園に払い下げられ、所有権が移転された。
国は埋設物撤去費用を8億1974万円と算出して、これを鑑定評価額から差し引いて払い下げた。しかも、森友学園に対する譲渡価格1億3400万円の払い下げの決済については、頭金プラス10回の分割払いが認められた。土地借り入れの賃料よりも年間の分割払い金額で国有地が譲渡されている。
3.これとは別に、森友学園に対しては、学園が負担したとされる、2015年に実査されたとされる地下3メートルまでの埋設物除去にかかる費用1億3176万円(埋設物対策分が約8632万円、土壌汚染対策分が約4543万円)が、2016年4月6日に大阪航空局から支払われている。しかし、この埋設物撤去作業も、適正に実施されていたのか疑いが残る。産業廃棄物が国有地内に埋め直されたとの疑惑も表面化している。