【SS】摩天楼と一等星

  • 1二次元好きの匿名さん22/02/24(木) 01:36:35

    夜が好きだ。
    暗くて静かなところにいると、お友達の声がよく聞こえる。
    それに、誰もいないターフはお友達とのレースにちょうど良かった。

    以前は、この時間までよく走っているウマ娘がいた。
    黒髪をなびかせ、どこか虚ろに唯々走り続ける。
    確か……アドマイヤベガさん、だったと思う。
    私が彼女を覚えているのは、一緒による走ることが多かったから…だけではない。
    彼女の隣には、彼女によく似た誰かがいた。
    彼女と違って表情豊かで、本当に楽しそうに走る子だった。
    でも、少し前からその誰かは一切姿を見せなくなった。

    ふと、考える。
    もし、お友達がいなくなったら私はどうなってしまうのだろう。
    お友達は私の目標で、目的だ。それを失ったら私は走れないだろう。

    彼女とその誰かの関係はわからないが、きっと大切な仲だっただろうことは想像がつく。
    なのにその誰かを喪って、彼女の走りは洗練された。
    わからない、わからない。一体彼女に何があったのか。

    そんなことを考えながら走っていると、目の前に夜空を見上げ佇む件のウマ娘が現れた。

  • 2二次元好きの匿名さん22/02/24(木) 01:37:28

    「……失礼します、アドマイヤベガさん。」

    私は珍しく自分から声をかけていた。知りたい、彼女はどう思っているのか。誰かの喪失を、どう考えているのか。
    私なら、お友達ならそれを取り戻せるとしたら、どう答えるのか。突然の私の出現に驚いただろう彼女に、そのまま言葉を紡ぐ。

    「あなたには…、『誰か』が一緒にいたと思います…。最近はその人を見ませんが……。」
    「…何の話かしら?」

    彼女は動揺したように、一瞬息をのんだ。
    他にこの秘密を知り得た者はいないのだろう。彼女の性格は私に似ていたように思う。誰かにこの話をすることはないだろう。しいて言えば、トレーナーぐらいか。
    驚き、呼吸が乱れている彼女を…いや、彼女の誰かが『居た』であろう空間を見つめ、私はつづけた。

    「ああ…気に障ったなら謝ります。ですが…もしあなたがその消えてしまった『誰か』にまた会いたいのであれば……、私なら協力できるでしょう。そう思って、声をかけたのですが……。」

    確証はなかった。それでもお友達と私なら、だれかを戻すことはできないまでも何か残った言葉を聞けるだろう。
    彼女はきっとこの提案を喜んで受け入れるだろう。そしてその上で、私に答えを与えてくれるかもしれない。
    もしお友達を喪ったとしたら、どうすればよいのかということを。

    「いいえ、もう必要ないわ。あの子も……妹はもうここにはいないけれど、どこか遠い星で私を見ていてくれる。私がいつかそこに行ったときに再開の喜びは取っておきたいの。」

    しかし、彼女は先ほどまでの動揺のないはっきりとした口調で断ったのだ。
    私は驚いた。どういうことなのだろうか、もっと大切なものがあるのだろうか?自分とともに、物心ついたころからいたであろうその『妹』よりも大切なものが…?
    わからない、私には理解ができなかった。

    「そう…ですか。それでは、失礼しました。」

    今までになく、動揺していただろう。
    そっけない礼とともに、私は再び夜の帳へと駆け出していく。
    暗闇の先に、お友達は走っていた。
    大丈夫、消えることなどないよとお友達は笑っているような気がした。

  • 3二次元好きの匿名さん22/02/24(木) 01:39:11
    【SS】アヤベさんは振り向かない|あにまん掲示板「き、今日も並走していただいてありがとうございました~」そう言ってドトウは私に頭を下げた。私だって喜んでやってるんだから、そんなことしないでいいのに本当に律儀な子だと思う。そろそろ夕日が落ち、星が昇っ…bbs.animanch.com

    のカフェサイドです


    私はカフェが最推しなのでどうしても書きたかったんです…

    時系列的には菊花賞後、有馬前を想定してます


    カフェの良さは色々ありますが、とても危ういところにあると思っています

  • 4二次元好きの匿名さん22/02/24(木) 01:39:52

    あにまん掲示板、良SSが深夜に投げられがち

  • 5二次元好きの匿名さん22/02/24(木) 01:40:26

    アヤベさんの販促目的もあるので、気になる方は是非アヤベさんも引いてください
    そして引換券は是非カフェに使ってあげてください

  • 6二次元好きの匿名さん22/02/24(木) 01:55:47

    どちらも引いた俺に死角はないぜ
    カフェはまだお友だちと離れた訳ではないからね…
    グッドエンドやサポカSSRみたいに自分も背中を追われる側になる事に目覚めて危うさから脱却すると思ってる

  • 7二次元好きの匿名さん22/02/24(木) 02:01:52

    良い…

  • 8二次元好きの匿名さん22/02/24(木) 02:08:39

    >>6

    わかります

    カフェは結構ずっと危ういんですけど、育成シナリオ最終盤でようやくお友達以外のつながりを認識し始めるんですよね

    ゆっくりと自分の世界を広げていってほしいと思います

    ノーマルエンドのヤバい感じ含め本当に好き

  • 9二次元好きの匿名さん22/02/24(木) 02:11:06

    よかった

オススメ

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