(2ページ目)「被害4億級納車トラブル問題」に重大証言! | FRIDAYデジタル

「被害4億級納車トラブル問題」に重大証言!

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デュナミスレーシングが北陸信越運輸局から認められた「認証工場」である証

さて、冒頭のコメントにある警察関係者が明かした「道路運送車両法違反」とは、「デュナミスレーシング」に当てはめた場合、どのような違反なのか。

「道路運送車両法」とは自動車の安全性を確保し、その適正な使用を期するため、自動車の登録や検査の精度を設け、自動車の整備及び整備事業について規定した法律だ。デュナミスレーシングの場合、最後の「自動車の整備及び整備事業」について疑いがあるものと思われる。

デュナミスレーシングは、自動車の分解整備を行うことを北陸信越運輸局から認められた「認証工場」でもある。この認証を受けると、「自動車整備主任者」として2級以上の資格を持った整備士を登録する決まりがあるが、「デュナミスレーシング」は、実際には存在していない整備士の名義だけ登録したまま経営を続けていた疑いがある、と冒頭の警察関係者は言うのだ。

日産ディーラーを退職したO社長が1995年に「デュナミスレーシング」を創業した当時、新車、中古車の販売、車検、整備、自動車保険にいたるまで車に関する様々なサービスを展開し、整備士も5人いた。

しかし2011年以降に経営が悪化し、O社長自身が2020年に脳梗塞を患ったことも重なり、整備士を雇う経済的余裕がなくなったのではないか。内部事情に詳しい、ある被害者はこう明かす。

「デュナミスレーシングの整備主任者はもう長い間不在です。数年前に退職しています。O社長は『認証工場』の資格を死守するために、その整備士に『名義貸し』をお願いしていたのでしょう。実際、整備はもうこの数年、デュナミスレーシングの工場では行われておらず、車検や整備、タイヤ交換や修理などは周辺の整備工場やガソリンスタンドなどに丸投げしてましたから」

“丸投げ”すること自体は法令違反ではないが、実際には退職して存在していない整備士の名義のままで認証工場の資格を維持していたなら、法令違反となる。O社長が車の購入客に対する客の信頼を維持するための苦肉の策だったのだろうか。

被害者は今、何をすべきか?

「全額入金したのに納車されない…」

車購入をめぐるこのようなトラブルは珍しいことではない。東海地方に住むKさんも2020年2月に入金した中古車で同様の被害を受けたという。中古車販売店で実車を確認し270万円を入金したが、約束の期日を過ぎても何度も言い訳をされ納車されなかった。

そればかりかKさんのもとに届く予定の中古車は、2018年の九州豪雨で冠水し抹消登録(廃車)された車であることがわかったのだ。同店で購入しKさんと同様の被害を受けた購入者は80~90名もいた。

この事件も当初は「詐欺での立件は難しい」と言われていたが、家宅捜索から約7か月後に経営者が逮捕されている。現在、同販売店の経営者は2021年6月頃から収監されており、そこから裁判に出廷しているという。

Kさんは被害者代表として、その経営者逮捕に向けて地道な活動をしてきた。Kさんの活動ナシには経営者逮捕は難しかったと思われる。今、納車詐欺の被害者ができることはあるのか?Kさんはこう明かす。

「自分だけが解決したらよいと思って活動していたら力は発揮できません。人の為にと思うと何百倍もの力が発揮できますね。まずは警察と仲良くなることで、捜査の状況も教えていただけるような関係を作ろうと努力しました。テレビや新聞に出る際は必ず警察へ電話して情報提供をしていました。

そしてマスコミにも詳細な情報提供をしながら、記事やニュースとして報道してもらうことは、警察により動いてもらうという意味でも非常に有効だと思います。『警察は何もしてくれない!』と被害者どうしで批判していても何も始まりません。

現在、おそらく長野県警はO社長について様々な情報収集を行っていると思われます。しかし、警察が集めた情報に対して検察側が『まだ弱い』と判断すると逮捕には至りません。結局は、検察がどう判断するかですから」

悪質な行為が明らかな場合であっても詐欺罪での逮捕はハードルが高い。しかし、被害に遭った人たちが地道な活動をあきらめずに続けることが、大きな「山」を動かすことにつながるのである。

経営が軌道に乗っていた2013年頃、「もっと車で遊ぼうよ」の合言葉や社是、長野運輸支局からの表彰状にたくさんの注文票がならぶデュナミスレーシング店内

「環境に優しい自動車整備優良事業場」として4年連続運輸支局・運輸局から表彰を受けていた輝かしい過去も
  • 取材・文:加藤久美子

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