東京都青梅市で、刀鍛冶工房の村下(むらげ)として奮闘する平田のどかさん(23)へ、岡山県で暮らす父の想いを届ける。「村下」とは、刀の原料となる玉鋼(たまはがね)を作る職人のこと。3年前、刀鍛冶である夫が独立するのを期に、彼を助けたいとの思いで村下の仕事を始めた。実は、村下は刀鍛冶よりも希少な職業で、のどかさんは日本でただ1人の女性の村下。夫とともに青梅市に構えた手作りの工房で、1000度を超える高温と闘いながら伝統技術を守っている。小学校6年生の時、両親が離婚。10代の頃はその寂しさから生活も心も荒れ、男手一つで育ててくれた父とは激しい衝突を繰り返した。高校中退後は職を転々としていたが、そんな中で偶然に導かれ、生涯の伴侶と仕事に巡り合ったのどかさん。今、天職ともいえる仕事に打ち込む娘へ、父が届ける想いとは。