新潟県三条市の月岡から下大浦にかけての丘陵地帯(通称・道心坂)にある江戸期の建造物「長屋門」の再生で、地元の月岡小学校児童が葺(ふ)き替え用瓦の裏面に思いや好きな言葉などを記した。メッセージ入りの瓦は長屋門再生に使用され、50〜60年後の次の葺き替えまで人目に触れることはない。児童たちは、はるか未来の“再会の日”を想像し、真剣に筆を運んだ。
長屋門は、見附市の大庄屋が1838(天保9)年に屋敷門として市内に建造。1978年ごろ、三条市出身で都内で不動産業を営む故・川俣芳衛さんが道心坂に移設した。屋根瓦の一部が崩落するなど老朽化が深刻なため、道心坂のオオヤマザクラ保全活動を進めるボランティアグループ「ノジコの会」が昨年、「歴史ある文化遺産を残したい」と再生プロジェクトを始動。寄付を募っている。
同会では、瓦1枚につき千円の寄付で裏面に記名できる「瓦募金」を実施。月岡小児童の瓦へのメッセージ記入は、「長屋門への思いを次代につなげたい」と同会が呼び掛けた。125枚に、3・6年生と教職員が思いを記す。
1日、6年生62人がそれぞれ、修繕用の瓦に白、赤、緑など6色のシリコン塗料で自由に言葉を書き、学校名や名前を付記した。「楽」「SMILE」「フレンド」などのほか、「古いものが好きで、長屋門は歴史があるから」と「レトロ」と書いた女子児童も。「自分のキャラクター」というイラストを描いた子もいた。
「勝」と赤い塗料で力強く記した男子児童(12)は「野球をしているのでこの字を選んだ。将来もいろんな事に勝ちたい。50年後の葺き替えも見に行く」と笑顔だった。
ノジコの会によると、瓦募金と企業や個人を対象とした2千円以上の寄付には、これまで延べ741人が協力。現在も募金を呼び掛けている。
26、27日には長屋門で、百人に瓦にメッセージを記入してもらう催しを行う。参加費千円。申し込みが必要。問い合わせは婦人館知野、0256(33)1070。


















