ポケモンGOやIngressの開発運営元 Niantic が、WebARプラットフォーム大手の8th Wallを買収しました。金額・条件は非公開ながら、Nianticでは過去最大の買収と表現しています。
8th Wall はアプリのインストール不要で手軽に体験できるARエクスペリエンスのプラットフォームを手掛ける企業。ポスターや製品パッケージにスマホをかざすとキャラクターが現れたり、仮想の家具を部屋に置いて試すなど、企業のプロモーションによく使われるあれです。
NianticはWebAR技術や開発プラットフォームを手に入れ自社のARプラットフォーム Lightship (旧称 Niantic Real World Platform) に組み込む一方、8th Wall のWebARソリューションは単体プロダクトとして引き続き提供します。
WebAR はウェブ(ブラウザ)上で動かすAR技術の総称。WebARというひとつのウェブ標準規格や仕様があるわけではなく、ウェブアプリケーションのための様々な技術を組み合わせてARを実現するAPIやフレームワークが複数存在しています。
8th Wallは2018年より独自のWebARプラットフォームを提供してきた大手。iOS / Android のモバイルブラウザを含む多くの環境で動くこと、SLAMや照明推定、顔認識フィルタなど多くの機能を備え精度が高いことに加え、ウェブベースの開発環境やホスティングまで提供することから、企業による広告案件で多数採用されてきました。
たとえばスパイダーバースやジュマンジといった映画、コカ・コーラやセブンイレブン、トヨタやポルシェやメルセデス・ベンツ、レゴやディオールやアディダス等々。(海外の一部の地域で展開したものばかりですが、多くはここで試せます 8th Wall Discovery Hub)。
ポケモンGOやピクミン ブルームといったプロダクトはどちらかといえば位置情報ゲームで、仮想と現実を重ね合わせるARはポケモンと記念撮影程度にしか使われていません。しかしNianticはカメラ映像から周辺環境を高精度に三次元マッピングする技術の6D.aiや、コンピュータビジョン技術のEscher Reality、3Dスキャナアプリの Scaniverse など、来たるべきAR時代に向けた買収を着々と進め、自社のARプラットフォームLightshipを強化してきました。
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ポケモンGOで2020年から始まった「ARマッピング」タスクも、ゲームの仕組みを使って世界を高精度な3Dマップとして取り込み、自社のARプラットフォームを強化する取り組みのひとつ。
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従来のLightshipプラットフォームは位置情報やARを使ったゲーム開発や、ARエクスペリエンスを企業のアプリに組み込むソリューションとして展開してきましたが、WebAR大手の8th Wallをその一部に取り入れることで、アプリ不要のARも開発環境つきで提供でき、さらにリーチを拡大できることになります。