プロボクシング・グリーンツダジムの本石昌也会長が11日、スポーツ報知の取材に応じ、心と体の性が異なる性同一性障害を公表していた元WBC女子世界フライ級(50・8キロ以下)王者、真道ゴーの男子選手としての年内復帰実現へ向け、全力サポートする意向を明かした。
34歳の真道は2017年の引退後に性別適合手術、戸籍変更を経て男性となった。昨年9月に復帰の決意を明かされた本石会長は「結婚をして(3人の)子どももできて、簡単なことじゃない。でも、よっぽど悩んだことだろうし、夢を諦められないんだろうなと。後押しをしていきたいと思った」。男女両方の性でリングに立つという、日本ボクシング界で前例のない挑戦の支援を決意した。
すでに日本ボクシングコミッション(JBC)には意向を伝えており、「まずはルールづくりから」(JBC関係者)とプロテスト受験可否の検討に入っている模様。初の試みで想像できないハードルは残るが、本石会長は「もちろん、ルールをクリアしないことには試合も考えられない。そこ(の調整)は僕の大きな仕事。ただ(真道は)世界王者としてボクシング界に貢献してきた面もあり(日本ボクシング界が)寄り添ってくれている感じはする。彼(真道)には試合があるつもりで、年内に向けて頑張ってもらいたい」と実現へ手応えをにじませた。
真道はスーパーフライ級(52・1キロ以下)、バンタム級(53・5キロ以下)あたりでの再起を見据え、昨年10月から本格的な練習を再開した。この日は、大阪市内の同ジムで約2時間の練習を実施。6ラウンド行ったスパーリングでは、4回戦とはいえ階級が上のフェザー級(57・1キロ以下)の男子選手を連打でコーナー付近に追い込むなど、力強さを増したパンチを披露した。真道は「女子の世界チャンピオンという肩書きは忘れて、イチから始める気持ち。いろんな方が注目してくれるのはありがたいし、プレッシャーもかかるけど、自分を過信せずにイチから努力して、コツコツとやっていくのがテーマ」と静かに闘志を燃やした。