前回はマイナー母系とかを見たけれど、今回はウマ娘のアプリもリリースされたことだし、今度はウマ娘の近親関係を洗ってみた。
母系なんでファミリーナンバーごとに見てるけど、ファミリーナンバーとはなんぞやについてはうぃきぺ見てもらうとして。
競馬の血統の話をする上で「親族」といったら母系を指してるもので、父親を経る血縁関係には触れない。父親も含めてしまうと、5代も遡ったら親戚が何百何千と現れて収拾つかないの。
3号族・シラオキ様牝系
ウマ娘はそれほど血統の話をしない、というか、話をしすぎるとアグネスタキオンとダイワスカーレットが親子だとかややこしくなるので避けてるのだと思う。
だから、マチカネフクキタルが「シラオキ様」という神様を崇拝するようなことを言うなど、ちょっと遠回しな形で触れることになる。
もちろんこれも元ネタがあって、フクキタルの祖母の祖母がシラオキという馬。まあウィキペでシラオキのページ見ればいいんだけれど。
これが子孫がめっぽうよく走る。1957年に産んだ子のコダマが二冠馬になったのを皮切りに、子孫がコンスタントに活躍し続け、1990年代になってからますます強い馬が出るくらいになって、フクキタル、スペシャルウィーク、ウオッカと輩出しちゃった。
シラオキの祖母がスターカップという馬だけれど、この名前もフクキタルが口走るシーンがあった。
スターカップのさらに祖母に遡るとフロリースカップという馬にたどり着くのだけど、これが小岩井農場が明治40年に輸入した20頭の繁殖牝馬の一頭。
フクキタルもウオッカも、そしてスペも、日本の歴史ある名家の出身といってもよい。
1号族
1号族に属するウマ娘は、スーパークリーク、アグネスタキオン、ライスシャワー、 ナリタタイシン、イクノディクタス、メジロパーマー、ヤエノムテキ。
サラブレッドの2割くらいが1号族だというくらいで、流石にウマ娘になってるのも多い。
ただまあ、1号族は多すぎるのもあってか、ウマ娘になってるのはどれもほとんど他人。
一番近いのはナリタタイシンとイクノディクタスだけど、タイシンの母方6代前と、イクノディクタスの母方4代前が同じPerfumeという馬なだけ。他人や。
アグネスタキオンの曾祖母にイコマエイカンという馬がいる。
自身は1勝しただけの凡庸な馬だったんだけど、子孫に活躍馬が続出。
有名なのはオークス馬アグネスレディー、他にも小倉大賞典勝ち馬グレイトファイター、桜花賞二着馬クインリマンド、京阪杯勝ち馬タマモリマンドと出した。
クインリマンドの子孫にも重賞勝ち馬がいるし、アグネスレディーの子に至っては娘のアグネスフローラが桜花賞を勝って、さらにその子はダービー馬アグネスフライトと皐月賞馬アグネスタキオン。クラシック母子三代制覇は今のところ唯一の例。
タキオンの親戚がぞろぞろウマ娘として現れてきて、いつのまにかイコマ家なる名家が生まれていてもおかしくない。
2号族
2号族も大勢の活躍馬がいる。ディープインパクトやレイデオロもそう。今話題のソダシもそうだし。
ゼンノロブロイとニシノフラワーは、ほぼ完全に他人というくらい遠い血縁。
ロードカナロアがニシノフラワーと多少近い親戚といえなくもない。ニシノフラワーの母方4代前と、ロードカナロアの6代前が同じSomethingroyalという馬。遠いか。
3号族その他
シラオキ系以外の3号族は、ツインターボ師匠とナカヤマフェスタ。お互いに、シラオキ系ともほとんど他人。
シラオキ系とは別のフロリースカップの一族に、シラオキの再従姉妹サンキストからの一派が栄えている。
クラシック二冠と天皇賞春秋制覇のメイショウサムソン、障害の名馬ポレール、1970年の菊花賞馬ダテテンリュウ、グラスワンダー産駒の活躍馬セイウンワンダーなどがある。
ウマ娘キングヘイローにカワカミプリンセスが懐いてるなら、グラスワンダーにもセイウンワンダーをつけてもいいかもしれんね。
ナカヤマフェスタはタイキブリザードと近くて、フェスタの祖母の祖母と、ブリザードの祖母が同じSensibility。
タイキブリザードなら、レースではマーベラスサンデー、ヒシアケボノと絡めるし、ウマ娘になっても面白いと思う。
重賞2着3着をずーっと繰り返して、安田記念3着、宝塚記念2着、ジャパンカップ4着有馬記念2着と誰が見ても強いのに、勝てたレースとなると谷川岳ステークスっていう、なんとも締まらない有様で。
最終的に安田記念を勝って、当時は珍しかった海外遠征も2度も挑戦したりと、いまいち君からヒーローに、そして挑戦者のパイオニアになった馬でもあった。
4号族
4号族はアイネスフウジン、タイキシャトル、ダイワスカーレット、ゴールドシチー、テイエムオペラオー、カワカミプリンセス、サクラバクシンオー、エアシャカール、メイショウドトウ。ウマ娘がよく出るファミリー。どれも血はかなり遠いけど。
ダイワスカーレットには、兄にもダイワメジャーがいる。生涯連対を外さなかった妹と違って、時に大敗して「ダメジャー」などと言われてたりもしつつ、マイルから2000では大活躍してGIを4勝。世代的にも妹とかウオッカとかディープインパクト、メイショウサムソンなど手強い相手が多かった中での10億円ホース。
ところで、ゲームのダイワスカーレットはけっこう肩幅があって体格が良い感じにモデリングされてるように見えるけど、実物のダスカも490kgくらいの大型馬。さらに兄貴のダイワメジャーも、母スカーレットブーケ、そして祖母スカーレットインクと代々がっちりして逞しい体格の馬であるそう。
Pixivでウマ娘タグを眺めると、やたらと豊満に描かれたダイワスカーレットが多数目に入るのだけど、「体格がいい美少女キャラ」という過去に類例が多くないのを描こうとして豊満な方に落とし込んだんじゃなかろうか。
タイキシャトルはいとこに、無敗で阪神ジュヴェナイルフィリーズを勝ち最優秀2歳牝馬に選ばれながら、骨折に泣いたピースオブワールドがいる。
それからシンコウラブリイとは、4代前が同じMuffitys。ダイタクヘリオスやヤマニンゼファーを向こうにマイル・短距離でバチバチやりあってた15戦10勝の名牝。
5号族
ウマ娘としては、バンブーメモリー、イナリワン、エルコンドルパサー、ビコーペガサス、マルゼンスキー、スイープトウショウがいる。
5号族にも、1926年に下総御料牧場がイギリスから輸入した基礎牝馬の種正がいて、その子孫が多くの大レース勝ち馬を出した。
種正の子の神正を、4代前に共通して持つのがバンブーメモリーとイナリワン。かたやスプリンターズステークス、かたや天皇賞春を勝ってる。
これも他に活躍馬が多い名家なんだけれど、しかし他にウマ娘にするとなると、ちと時代的に古いのになっちゃうな。
他には、エルコンドルパサーの4代前のThongを、5代前にもつのが2008年ヴィクトリアマイル勝ち馬のエイジアンウインズだとか、マルゼンスキーの3代前のQuick Touchを6代前に持つのが2008年宝塚記念の勝ち馬エイシンデピュティ。やっぱりちと弱いか。
6号族
八戸の奥羽種馬牧場(現在の家畜改良センター)という官営牧場に、1908年に輸入されてきたエスサーディーという牝馬があって、その子孫がユキノビジン。
この一族には、地方競馬の大エース・メイセイオペラとか、ビワハヤヒデ世代のレコード破り男・ネーハイシーザーがいる。
そういえばアプリのウマ娘が韓国でも開始するらしいけど、韓国で知名度がある日本馬をウマ娘にするとすれば、メイセイオペラは有力かも。種牡馬として産駒が韓国で活躍してレンタル輸出され、サイアーランキング3位になる活躍。
7号族
ウマ娘は、メジロマックイーン、オグリキャップ、シンコウウインディ、ヒシアマゾンがいる。
7号族は日本で名馬が多いんだけど、それは小岩井農場の基礎牝馬の一頭・アストニシメントの子孫がものすごい繁栄を見せたため。メジロマックイーンもここ。
メジロ牧場が名家といわれるのは、アマゾンウォリアー(ラモーヌやアルダンの祖先)、シェリル(ライアンの祖先)、メジロボサツ(モントレーなど)、それからアストニシメントの子孫で特にメジロ牧場で栄えたアサマユリと、複数の優秀な牝系を抱えてることからくる。
マックイーンには、菊花賞と有馬記念を勝った兄のメジロデュレンもいる。ステイヤーとして実力はあるはずなのに、天皇賞春はいろいろな不運もあってついに取れなかった。メジロ家とマックイーンが天皇賞にこだわる理由のひとつにもできるかも。
アストニシメントの子孫は他にも色々名馬がいるけど、知名度でいうとクリフジになっちゃうかな。古いけど史上最強という人もある。
それから、エアグルーヴのいた桜花賞を差し切り、オークスでも2着につけたファイトガリバーなんかも、四白流星の華やかな馬だった。
オグリキャップも、血統があまり良くないといわれているけれど、牝系から近親を見るとかなりの名馬が並ぶ。(父ダンシングキャップ、母の父シルバーシャークは地味血統という他ないけれども)
戦前に輸入されてきたシュリリーという馬がいて、その子孫には1950年の桜花賞馬トサミツル、1991年のエリザベス女王杯を勝ったリンデンリリーがいる。
さらにシュリリーの孫クインナルビーは、レダやスウヰイスーなど女傑級の強い牝馬が居並ぶ世代で秋の天皇賞を勝った。レダは史上唯一の天皇賞春勝ち牝馬、スウヰイスーは史上初の牝馬クラシック二冠で菊花賞2着。
そのクインナルビーの子孫がオグリキャップで、妹のオグリローマンも桜花賞馬。
他にも桜花賞馬キョウエイマーチとか、ダートの雄アンドレアモンと、十分名家といえるくらいの歴史と実績がある。
7号族は他にも、マイリーを祖とする「華麗なる一族」とか、ダンシングキイの三姉妹(ダンスパートナー、ダンスインザダーク、ダンスインザムード)など、栄える牝系がよくある。
ウマ娘だったら、華麗なる一族からダイイチルビーを出してほしいところかな。ダイタクヘリオスが「お嬢様」とライバル視してるあれがダイイチルビー。というかルビーがいなくてはヘリオスの話をやれない。
8号族
ウマ娘は、ダイタクヘリオス、メジロライアン、キングヘイロー、エイシンフラッシュ、エアグルーヴ。
先述の通り、メジロライアンはメジロ牧場の基礎牝馬シェリルの孫。
シェリルはメジロティターンを産んで天皇賞を勝たせて、その産駒がメジロマックイーン。父系を挟むから競馬的に近親とはいわないけど、人間でいうならライアンとマックイーンは従兄弟にあたる。
ライアンの姉には、目黒記念でダービー馬メリーナイスを破り、日経賞にも勝ってるメジロフルマー、牝馬ながらに生涯で活躍して京都大障害を制したメジロアニタがいる。
ダイタクヘリオスは、なんとなくあまり良血でないイメージがあるけれど、名家とまではいかずとも、従兄弟があのカブラヤオーなんだからしょうもない血統でもないように思う。
まあ父ビゼンニシキは渋いけれど、競走でも繁殖でもシンボリルドルフ相手に大健闘、内国産種牡馬としては成功してる部類。
カブラヤオーをウマ娘にしても面白いかも。ヘリオスがびびりまくるめっちゃ怖い親戚……と思わせて実は超小心者だとか(気が弱くて逃げないと駄目な、ちゃんと逃げ切るツインターボみたいな馬だった)。
エアグルーヴは、母はオークス馬ダイナカール、エアグルーヴの子にエリザベス女王杯のアドマイヤグルーヴ、さらにその子が二冠馬ドゥラメンテで、四代続けてGI勝ち。
エアグルーヴの子は他にも、香港GIを勝ってきて種牡馬としても活躍しているルーラーシップもいる。
他にもオダギラーの名馬オレハマッテルゼとかエガオヲミセテとかも、エアグルーヴの姉妹の子孫。
9号族
ウマ娘はマーベラスサンデー、ミスターシービー、アドマイヤベガ、メジロアルダン、スマートファルコン、サイレンススズカ、トーセンジョーダン。
血縁はどれも遠くて、強いていえばサイレンススズカとトーセンジョーダンが、6代前が同じAlbaniaという馬という程度。
メジロアルダンはまだ設定が出たくらいだけど、これは偉大すぎる姉メジロラモーヌ(当時唯一の三冠牝馬。当時は秋華賞がなくてエリザベス女王杯が4歳限定だった)がいるからどういうキャラ付けになるかな。
アルダン・ラモーヌの祖母がアマゾンウォリアーで、産駒にメジロイーグルがいる。三冠でいずれも掲示板に入り、有馬記念も3着、宝塚記念4着、京都新聞杯を勝ってるというブロンズコレクター感がある馬だったけど、種牡馬入りしてメジロパーマーを出した。つまり人間でいえばパーマーとアルダンは従兄弟。
アドマイヤベガは、母が二冠馬ベガ。三冠かと思ったらエリザベス女王杯で「ベガはベガでもホクトベガ」をやられた。
ベガは子がよく活躍して、アドマイヤベガの弟アドマイヤボスはセントライト記念を勝ち、アドマイヤドンはJBCクラシック三連覇ほかダートを勝ちまくった。比べれば落ちるキャプテンベガでもG3クラスを何度も入着して2億稼いでいる。
さらに唯一産んだ牝馬のヒストリックスターは、その娘のハープスターが桜花賞を勝ってオークス2着。
それから、スマートファルコンの牝系をたどるとMumtaz Mahalという世界の名牝に行き当たる。
日本で活躍した子孫だけでも、ホクトベガやタニノギムレットにラグビーボールがいて、世界の大種牡馬MahmoudやらNasrullah、Royal Charger、Kalamoun(トニービンの祖父)を出してる。これだけ多くの馬の血統表に出てくる牝馬は珍しいレベル。
10号族
これはメジロボサツの曾孫だけど、メジロ牧場の基礎牝馬の中でも、マックイーンのアサマユリ系(牝祖アストニシメント)と並んで古くから日本に根付いてる血統。
1930年に、社台グループの吉田善哉氏の父・吉田善助氏が輸入したデヴォーニアという牝馬の子孫。
メジロボサツ系の出世頭は、阪神三歳牝馬S・オークス・秋華賞にエリザベス女王杯2勝のドーベルか、メジロはつかないけどモーリス(天皇賞秋・安田記念・マイルチャンピオンシップと香港遠征でGIを3勝)か。
GIIクラスの勝ち馬は他にも多数。
ドーベルの孫に青葉賞のショウナンラグーン、フラワーカップのホウオウイクセルなど重賞馬もまだ出ている。
11号族
ウマ娘ではミホノブルボン、ウイニングチケット、マチカネタンホイザ、シンボリルドルフ、ファインモーション。
11号族にもまた日本の名家・クレイグダーロッチ系がある。
1926年に帝室林野局が輸入して新冠御料牧場に納めた馬で、戦前はわりと地味な系統だったらしいけど、1943年に生まれたコロナから続々と名馬を生み出す系統になった。
コロナの子スターロッチが、オークスを勝ってその歳に有馬記念を勝った。未だに3歳牝馬の有馬記念勝ちは他にない。
でもって繁殖で大繁栄して、スターロッチの孫に皐月賞馬ハードバージ、曾孫にサクラユタカオー、その甥にサクラスターオー。
別系統の孫曾孫にウイニングチケットと弟のロイヤルタッチもいれば、また別系統の曾孫にマチカネタンホイザ、その姪には京都記念ほか重賞4勝のワコーチカコがいる。
コロナの別の子テツノホマレからは、桜花賞2着で重賞4勝のコーセイ、フェアリーステークスのマックスロゼ、牝馬GII2勝のマックスキャンドゥ、マイラーズカップ・阪神三歳ステークスのロングハヤブサといったところが出ている。
さらに別の子カミヤマトから、ミホノブルボンが出た。
コロナ系以外のクレイグダーロッチ系にも、天皇賞馬アイフルが出てる。
シンボリルドルフの親族にも、全姉のスイートコンコルド(フランスでデビューしてから日本に移って3勝)の子孫に2018年になってマイルチャンピオンシップを勝つステルヴィオが現れてたりする。皇帝の姉の孫の孫の子、というのは貴族かどうかわからんけど。
ファインモーションは、兄にピルサドスキーがいる。
ジャパンカップを勝った馬だけど、パドックで馬っ気出しててこりゃ駄目やろと思われてたら、武豊をして完璧なレース運びだったというエアグルーヴをクビ差差し切った。ちなみにこの時出走してた牝馬はエアグルーヴだけ。
12号族
12号族も日本的に栄えてるファミリーなんだけれど、これは1908年に小岩井農場が輸入したビューチフルドリーマーの子孫が栄えたのが大きい。
輸入されて最初に出した子からすでに大レースを勝つ名馬を生み出し、子孫もずっと繁栄しっぱなし。
1930年代にカブトヤマ、40年代に天皇賞馬ロッキーモアー、50年代にダービー・天皇賞・有馬記念を勝ったメイヂヒカリ、60年代に三冠馬シンザン、70年代にハイセイコーのライバル・タケホープや気まぐれエリモジョージ、80年代に名マイラーのニッポーテイオー、90年代は菊花賞馬レオダーバン、00年代は牝馬二冠のテイエムオーシャン、10年代はヴィクトリアマイルのホエールキャプチャを出してる。
そんな日本随一の牝系の片隅に、ハルウララもいる。
13号族
ウマ娘はシリウスシンボリ、カレンチャン、ビワハヤヒデ、ナリタブライアン。
ビワ・ブライアン兄弟の従兄弟(祖母Pacific Princess)には、ファレノプシス・キズナ姉弟がいる。
それからカレンチャン、カワイイの権化はいいとして、実のところ血統はなかなか渋い。1953年に社台ファームがアメリカから輸入したフォルカーという馬の一族。
天皇賞馬レッツゴーターキンが、カレンチャンの親族。カレンチャンから母方に5代遡るブラックターキンという馬の曾孫がレッツゴーターキンだから、まあ近親というほど近くはないけれど。
92年の天皇賞秋、1番人気はトウカイテイオー、2番人気はナイスネイチャ、そこに11番人気で後方から飛んできて優勝をかっさらった。
鞍上が大崎昭一騎手で、63年にデビューだから岡部幸雄のさらに4年上の、キャリア30年近いベテラン。この頃、1000勝挙げたら引退するとき調教師免許の一次試験が免除される特典があったんだけど、大崎は850勝くらい。もうひと頑張りして1000勝を目指すいぶし銀の老兵に、最後のGI勝利を贈ったのがレッツゴーターキンだった。
90年代半ばには、なんとか大崎騎手に1000勝して花道を飾って欲しいと思う人が多かったもんだけど、98年に落馬事故がもとで後遺症が悪くなっちゃって、970勝(障害含む)で引退。調教師にはなれなかった。
カレンチャンのウマスタグラム投稿用自撮り中に、「なにしてんねーん」と理解できんくせにいっちょかみする昭和丸出しの親戚みたいなポジションで、レッツゴーターキンもウマ娘にしてみるのも一興か。なぜかやたら古い話詳しかったりとかして。
14号族
ウマ娘にはマヤノトップガンがいる。
それと、公式に認められてるわけじゃないけれど、あの緑ことトキノミノルも。
小岩井農場が1930年代に輸入したタイランツクヰーンという牝馬がいて、その子第二タイランツクヰーンの子がトキノミノル。
さらにトキノミノルの姉ダーリングの曾孫がグリーングラス。
同じくトキノミノルの姉イヅタダから、6代目にマックスビューティが出た。
この3頭だけで、八大競走のうち天皇賞秋以外の7つ勝ってる。
TTG、テンポイント・トウショウボーイ・グリーングラスの世代なんかもウマ娘化すると面白い世代だと思うけど、グリーングラスはやけにたづなが肩入れするというキャラ付けになっちゃったりして。
16号族
ウマ娘はゴールドシップ、マンハッタンカフェ、サクラチヨノオー。
16号族は、戦前に輸入されて栄えた牝系が複数あるのもあって、日本的にはかなりの勢力を誇る。
アメリカから下総御料牧場に輸入された基礎牝馬の星旗から、月城(競走名クレオパトラトマス、1935年帝室御賞典ほか28戦16勝)という子が出て、その子の梅城(競走名ハマカゼ、1948年桜花賞馬)の子孫がゴールドシップ。
ゴルシはあれで名家の令嬢といってもいいかもしれない。
ウマ娘にはなってないけど、小岩井農場の基礎牝馬ヘレンサーフも16号族で、子孫は古くは1941年の桜花賞馬ブランドソール(繁殖名ゴールドウヱッディング)、新しいところで2003年の春秋グランプリホース・ヒシミラクル、2013年のNHKマイルカップを勝ったマイネルホウオウがいる。
マンハッタンカフェは、従姉妹にビワハイジがいる。つまりその娘がブエナビスタとジョワドヴィーヴル。
サクラチヨノオーには、兄弟で朝日杯を連覇したひとつ下の弟サクラホクトオーがいる。もうひとり、七夕賞や函館3歳ステークスを勝ったサクラトウコウもいる。
競走成績は見劣るサクラトウコウが、種牡馬としては最も成功した(天皇賞馬ネーハイシーザーを出した)のが競馬の不思議。
17号族
あまり近い親族ではないけど、シーキングザパールの曾祖母Goofedから4代下がるとプリンセスオリビアという馬が出て、これが2013年マイルチャンピオンシップのトーセンラー、2014年の天皇賞秋のスピルバーグを出した。
19号族
テイオーは下総御料牧場の基礎牝馬の一頭・星友の子孫。
星友の子ヒサトモは、ダービーを勝っちゃった初めての牝馬。
そんな名馬も、戦争と戦後の混乱の中で不遇な晩年を過ごし(15歳になって再デビューして競馬を走った。しかも勝った)、産んだ子も牝馬はたった一頭、ブリューリボンという馬だけ。
ブリューリボンもあまり産駒が走らず、牝系の存続が危ないかと思ったら、孫の牝馬トウカイクインが6勝を挙げてそこそこ活躍。これは、と思った馬主の内村正則氏がヒサトモの子孫を買い集めて牝系を保護した。
それで1984年に、トウカイクインの孫トウカイローマンがオークスを勝った。JRA全競馬場出走という変わった記録も持ってる(史上二頭目)。
さらにその甥にあたるのがトウカイテイオー。テイオーが劇的なのは、競走生活に限らんのよね。
20号族
血統的には他の馬ともあまり絡むところがないから、書くことないな。
長寿の血筋で、母ウラカワミユキもサラブレッドの牝馬としての長寿記録の持ち主。ネイチャもいまだ健在で、JRA重賞勝ち馬最長寿記録更新中。Long Live Nature!
21号族
オグリキャップは牝系をたどればかなり名家といえる血統だけれど、タマモクロスの方は牝系にも特にこれといった馬は出てない。これだけ強くてこれだけ地味な血統なのは、本当にレアケースと思う。
それでも妹のミヤマポピーはエリザベス女王杯を勝つんだから、母グリーンシャトーの底力はどこから出てきたのやら。
22号族
フジキセキとニホンピロアワーズ、アグネスデジタルとキングカメハメハが多少近い親戚ではあるけれど、フジキセキ本人、アグネスデジタル本人のキャラが濃いから、薄い血縁いじる必要もないような。
23号族
シンボリ牧場由来の牝系で、近親にいくらか重賞勝ち馬もいる。というか母のシスターミルは、なんでシンボリ牧場じゃなくて西山牧場に来てたのかな。なぜか実家を離れて、家業が傾いて苦しい台所の家に移されてるような感じ。
父シェリフズスターも、コロネーションカップやサンクルー大賞を勝って西山牧場に買われてきて、牧場を支える種牡馬になってくれ、と期待したのに悲惨なほど空振り。
輸入した種牡馬を空振りし続けてしまったせいで経営が傾いた西山牧場は、シェリフズスターも売却。セイウンスカイもまるで期待されずに競走馬デビュー。
それからセイウンスカイが頭角を現し、あわててシェリフズスターも捜索されたけど行方不明。後に、とある牧場でこっそり飼われていたけど死んでしまった、というような旨の話が出たけど、その経緯に複数の話があるから何がなんやら。
セイウンスカイも、血統が良いとも言えないから種牡馬として人気も集められず、活躍産駒もさほど出ず、2011年に死んでいった。
それであのキャラ付けされてるからなあ。プレイアブルになったらどんなシナリオがつけられるか。