テレビ局側が“吉村偏重”の番組内容を認めたケースもある。今年元日に放映された毎日放送のトークバラエティ『東野&吉田のほっとけない人』に、吉村氏、松井一郎・大阪市長、橋下徹・元大阪市長が揃ってゲストで出演。約40分にわたってトークを交わし、MCの吉本タレント・東野幸治の「いつか総理になる人は」という質問に対し、橋下氏、松井氏両氏はフリップに「吉村洋文」と名前を書いた。
この番組内容が“政治的偏重”との批判を浴び、毎日放送の虫明洋一・社長は1月19日の記者会見で、「どうしてこうなったのかを調査したい。現時点で、問題はあったと認識している」と謝罪して調査を表明したのだ。
毎日放送は社内調査について「3月の番組審議会で調査結果を報告し、審議会でいただいた意見とあわせて今月中旬までに公表する予定」(広報部)と回答した。
なぜ、在阪メディアはそこまで吉村氏に甘いのか。在阪テレビ局の編成担当者はこう言う。
「数字(視聴率)が取れるからです。関西の夕方のニュースはほぼワイドショーですから、コメンテーターに関西の芸人枠があって、笑いを取りながらニュースを見せなければならない。吉村知事は芸人と対等に絡めるし、若くて誠実な雰囲気が大阪の若い女性やおばちゃんたちに受け入れられていて、視聴率が稼げる」
吉村氏も、「テレビ出演は公務」と積極的に出演依頼に応じている。
「出演料はゼロ。各局とも制作費が削られるなか、タダで数字が取れるのは大きな魅力です」(前出・編成担当者)
まさに商売的においしいから“批判はタブー”ということのようだ。
もっと深いつながりもあった。昨年12月27日、大阪府は読売新聞大阪本社と教育・人材開発や地域活性化、産業振興など9項目の「包括連携協定」を結んだ。
協定書には〈対話を通じた密接な連携により、府民サービスの向上及び府域の成長・発展を図ることを目的とする〉とされているが、府のホームページには9項目の一つに、「大阪府の情報発信への協力」が挙げられている。
※週刊ポスト2022年3月18・25日号