彼には好きな竜がいた。死んだ彼女を蘇らせようと錬成して、化物を生んだ。
「誰がなんと言おうと、君は俺だけの可愛い竜なんだ」
冒険者育成機関が創設されて半世紀。ユグリア冒険者学園に通い、元々はライド科にいた少年・レドは、最愛の竜・アルティマを失った悲しみから錬金科に転科。そこで得た知識をもとに愛竜を蘇らせようと錬金術を行う。生まれてきたのはアルティマとは似ても似つかぬ異形の仔竜だった。
己の愚行に後悔しつつも、それでもアルティマの面影を感じた彼は健気に甘えてくるその竜を育てることを決意する。仔竜にメラムという名を与えたレドは、醜い錬金生物と共に学園生活を送っていく。
徐々に成長していくメラムと、日に日に増していくレドへの差別と迫害。彼はメラムを心の支えにして学園を卒業し、本格的に冒険者となる。コルネルス連合王国を舞台に冒険をしていく中で、レドは様々な出会いと別れを繰り返し、メラムと共に成長。その中で、命への向き合い方と、生み出したものへの責任、そして己が成すべきことを学んでいくのだった。
古の時代より胎動する大いなる厄災が蠢く中で、レドはメラムと、そして仲間たちと共にその元凶へと迫っていくことになるが……?