MySQLとPostgreSQLの違いを8つの観点から比較
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MySQLとPostgreSQLの違いを8つの観点から比較
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アンドエンジニア編集部
2022.02.13
この記事でわかること
MySQLは機能がシンプルで使いやすいのに対し、PostgreSQLは機能が豊富である
MySQLの方がネットに出ている情報量が多く分からない点を調べやすいメリットがある
PostgreSQLの方が大量のデータを処理する必要性がある場合は向いている可能性がある

MySQLとPostgreSQLの基礎知識

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まず、MySQLとPostgreSQLの基礎知識を解説します。そもそもデータベースとは何か、MySQLとPostgreSQLはどのようにして誕生したかなどについてみていきましょう。

データベースとは?

データベースとは扱いやすいよう整理したデータの集合物のことです。データベースはWebアプリ開発などに多く使われており、たとえばユーザーデータや商品データを保管するにもデータベースは必須です。

データベースを管理するためのシステムをデータベース管理システムと言います。データベース管理システムを使うことで、データベース上でデータの作成・読み取り・更新・削除などが簡単に行えます。データベース管理システムには様々な種類があり、それぞれデータベースに対する処理手順などが異なります。

MySQLとは?

MySQL(マイエスキューエル)は世界で非常に多く使われているデータベース管理システムです。現在はオラクル社が開発・サポートを行っています。データベースと言えばMySQLというほど知名度が高く、Web開発企業への入社を目指す方の多くが最初にMySQLを学びます。

【参考】:MySQL

MySQLとは?特徴から使い方・学習方法まで詳しく解説!

PostgreSQLとは?

PostgreSQL(ポストグレスキューエル)はMySQLと並ぶ人気の高いデータベース管理システムです。PostgreSQLはMySQLとは異なり、有志の開発者グループによって開発されたのが特徴です。

最初はそこまで人気はなかったのですが、その後ボランティアの手によって機能追加や修正が行われていき、現在ではMySQLに劣らないレベルまで成長しています。Web開発企業でもPostgreSQLを使うことは多いです。

【参考】:PostgreSQL: The world's most advanced open source database

PostgreSQLとは?MySQL・Oracleとの違いを解説

MySQLのメリット・デメリット

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続いて、MySQLのメリット・デメリットを解説します。MySQLは知名度が高いデータベース管理システムであり、特性を知らずに使ってる方も多いので、この機会にMySQLの基礎を学んでください。

メリット

MySQLのメリットは拡張性・柔軟性が高く、大規模アプリにも小規模アプリにも対応できる点です。また、MySQLは幅広い環境で動作するように作られており、MacやWindowsなどOSが変更されても挙動が変わらないです。

その他も全体的に優れていますが、中でもトランザクション機能が評価されています。トランザクションとは一連の処理が終わるまでデータが変更されないようにする機能のことであり、データの相違を防ぐために必要です。MySQLにはトランザクションに関連する機能が多くあるため、決済機能などお金が絡みデータの相違が許されない場面で重宝されます。

デメリット

MySQLは機能面のバランスが取れており、デメリットらしいデメリットはほぼありません。強いて言うなら機能がシンプルな分やや機能が限定されており、他のデータベース管理システムで使える機能がMySQLでは使えないことはあります

そのためSQLiteやPostgreSQLから乗り換える予定の方は、MySQLで使いたい機能が使えるか確認する必要があるでしょう。

PostgreSQLのメリット・デメリット

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続いて、PostgreSQLのメリット・デメリットを解説します。MySQLや他のデータベース管理システムに比べどのような特徴があるのかみていきましょう。

メリット

PostgreSQLの1番のメリットはライセンスが無料であることです。システム開発の初期費用を削減できたり実験として開発環境を構築したりできるのは、企業にとって大きいでしょう。他のデータベース管理システムはサポートが優れている反面、どれも高価であるため手を出しにくいです。

また、PostgreSQLは無料でありながら機能面が優れています。多くのプログラミング言語から利用できたり、複雑かつ大量のデータの操作が可能だったり、日本語に対応していたりするため高く評価されています。

デメリット

PostgreSQLのデメリットは情報を得るのが難しい点です。PostgreSQLの公式サイトは英語で書かれている上に、他サイトにも日本語の情報は少ないため、英語が読めないと学習に苦労することが予想されます。

また、PostgreSQLのコミュニティは公式的なサポートは行っていないため、分からない点を質問することができないです。Webアプリ開発初心者がPostgreSQLから学習を始めるのは難しいため、最初はMySQLから勉強して慣れたらPostgreSQLにも手を出してみるのが良いでしょう。

PostgreSQL入門、複数のRDBMSを習得して更なる活躍を

MySQLとPostgreSQLの比較

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MySQLとPostgreSQLを8つの観点から比較していきます。2つのデータベース管理システムの違いを理解することで、Webアプリ開発などにおいてどちらを使うべきなのか判断できるようになります。

データ管理方式

MySQLはリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)であり、Excelのように表形式でデータを保存するというシンプルな方式を取っています。一方、PostgreSQLはオブジェクトリレーショナルデータベース管理システム(ORDBMS)であり、オブジェクト単位でデータの管理を行うという少し複雑な方式です。

PostgreSQLの場合、JavaやPythonなどオブジェクト指向のプログラミング言語から操作できるのが特徴です。

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扱えるデータ量

PostgreSQLはMySQLに比べ複雑かつ膨大なデータの処理が得意とされています。たとえば、大量のデータを並び替える場合、PostgreSQLの方がソートのアルゴリズムが優れており効率的に並び替えを済ませることが可能です。

処理速度

MySQLもPostgreSQLも処理速度に関しては高く評価されています。どちらがより速いかは厳密には明らかになっておらず、OSやデータ量などの状況に応じて異なります。

データの取得に関しても処理速度は状況によって変わります。PostgreSQLは大量のデータをソートした上で、レコードを一括で取得することに関しては優れています。一方、MySQLは上位数件のみを取得する場合なら処理速度で勝ることが多いです。

データの更新・削除に関してはPostgreSQLの方が遅い場合が多いです。MySQLは更新・削除する値を直接上書きするのに対し、PostgreSQLは内部レコードを変更前・変更後別に保持し参照を切り替える、という工程を行っているためです。

SQL文

MySQLとPostgreSQLのSQL文は一部異なっているため、別言語から移行する際は気をつける必要があります。たとえば、複数のテーブルを結合させるJOIN文ですが、PostgreSQLではFULL OUTER JOINというLEFT OUTER JOINとRIGHT OUTER JOINの処理を同時に行える句が使えるのですが、MySQLではFULL OUTER JOIN句は使うことができません。

また、レコードを挿入できるINSERT文ですが、MySQLでは1つのINSERT文で複数のレコードを一括挿入できるのに対し、PostgreSQLはバージョン8.1までこれができず8.2からようやくサポートされました。

更に、データの更新を行うUPDATE文と削除を行うDELETE文ですが、MYSQLではこの2つでORDER BY句とLIMIT句が使用できるのに対し、PostgreSQLでは使うことができません。このように、片方で当たり前に使える構文がもう片方では使えないことがあるので、注意しましょう。

コマンド

コマンドに関してはMySQLとPostgreSQLとで全く異なります。たとえば、MySQLの起動時には「mysql -p -h {ホスト名} -P {ポート番号} -u {ユーザ名} {データベース名}」とコマンドを打ちますが、PostgreSQLでは

「psql -h {ホスト名} -p {ポート番号} -U {ユーザ名} {データベース名}」とする必要があります。

他にもMySQLでデータベース一覧を表示する場合のコマンドは「show databases;」ですが、PostgreSQLでは「\l」となっています。このように、それぞれの動作を行うコマンドが全く違うため、リファレンスなどを見ながら1つずつ覚えていくことになるでしょう。

シェア率

シェア率はMySQLが高いです。MySQLは世界中で利用されているため、ネット上に情報量も多く分からない箇所を調べやすいでしょう。PostgreSQLも人気はあるもののMySQLに比べるとシェア率は劣ります。

また、学習サイトなどにもMySQLの教材はあるがPostgreSQLはない場合が多いです。

サポート面

サポート面はMySQLの方が優れています。MySQLはオラクル社によるサポートを受けることができる上に、ユーザーコミュニティも活発です。また、機能やセキュリティ改善のアップデートも日々行われています。

PostgreSQLはオープンソースであるため、サポート面はMySQLには劣ります。

用途

MySQLは機能がシンプルで使いやすいのが特徴である一方、PostgreSQLは癖は強いものの機能が豊富であるのが特徴です。どちらがより優れているなどはなく、状況に応じて使い分けることが重要でしょう。

基本的には情報量が多く開発を進めやすいMySQLが選択されることが多いです。しかし、大規模なデータベースを構築したり、複雑な処理を実行する必要があったりする場合はPostgreSQLを選択する場合もあります。

MySQLとPostgreSQLは用途に応じて使い分ける

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本記事ではMySQLとPostgreSQLの違いについて解説しました。それぞれの特性やメリット・デメリットがお分かりいただけたかと思います。MySQLの方が知名度が高く、多くのWeb開発企業で活用されています。一方でPostgreSQLも大量データを処理しやすいなどのメリットがあります。

基本的には機能面のバランスが取れていて安定して使えるMySQLが良いですが、状況によってはPostgreSQLが適している場合もあります。Web開発企業ではデータベース管理システムの移行業務などを行う可能性もあるため、2つの違いをよく理解しておきましょう。

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