そうした人たちと政治の中枢が「近い場所」にいるということの意味を、この機会にもっと多くの人たちが考えたほうがいいと思います。
─今後、森友学園問題はどのような方向に進展すると思いますか?
マッカリー 繰り返しになりますが、土地取引への便宜供与について確かな証拠が出てこない限り、安倍政権が引っくり返ることはないと思います。しかし、依然として民進党をはじめ野党への支持は低いものの、この先、与党内の安倍政権に対する支持がこれまでのように盤石でいられるかどうかは疑問です。
―自民党の石破茂氏も、国有地払い下げ問題に関しては「野党に言われるまでもなく、政府・与党として解明すべきものだ」と述べています。
マッカリー 自民党は総裁の任期を従来の「連続2期6年」から「連続3期9年」に延長しましたが、今回の問題をきっかけに政権支持率が下がるようなことになれば、党内に「この先も安倍政権のままではもたない」と考える勢力が出てきても不思議ではありません。長い間、高い支持率を維持してきた安倍政権ですが、党内での求心力が少しずつ失われるようなことになれば、なんらかの影響が出る可能性はあるでしょうね。
(取材・文/川喜田 研 撮影/長尾 迪)
●ジャスティン・マッカリー
ロンドン大学東洋アフリカ研究学院で修士号を取得し、1992年に来日。英紙「ガーディアン」「オブザーバー」の日本・韓国特派員を務めるほかTVやラジオでも活躍