地方公務員

「愛知県」や「名古屋市」で働く公務員になろう!

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愛知県庁か?名古屋市役所か?悩みどころですよね。

いずれも地方上級、1次試験が同一日程ですから、併願はできません。

仕事、転勤、住居、待遇…はもちろん気になるところではありますが、やっぱり試験内容ですよね。

だって合格したいから悩むのですから。

本稿では、仕事から試験対策まで、まるっと両者の違いを並べてみましょう。

愛知県か名古屋市かに限らず、道府県庁と市役所で迷っている全ての受験生は参考にしてください。

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愛知県庁と名古屋市役所、仕事の違いは?

住民との距離感

実際、県庁の建物に直接出向いて行って、県庁職員とあれこれやりすることって皆無ですよね。

愛知県職員は、愛知県民と直接接点を持つことはあまりありません。

仕事の相手になるのは、県内の法人、県と取引のある法人、国の出先機関や中央官庁の職員、県下の市の担当者、他の県庁担当者……と、要は交渉ごとというか、関係調整業務がメインです。

これに対して、区役所(名古屋市は政令指定都市なので区があります)に出向いて行って、各種届出や許認可の申請など、市民が職員とあれこれやりとりすることは珍しくありません。

名古屋市のような大きな市役所でも、やはり住民との距離感が近いので、レスポンスもダイレクトです。

レストランのチェーン店を例に取ってみましょう。

好立地の支店であれば、お店の規模は大きくなりますが、それでも支店長はお客様の顔をみながら仕事ができます。
ありがとうもクレームも直接受け止めます。

ですが、各支店の統括をし、仕入れの量や価格、支店同士の人員の調整などを担当する職務はお客様へのサービス提供を念頭において仕事をしますが、直接顔を見ながら仕事をするわけではありません。

人事異動

愛知県も名古屋市も採用後は、平均して3〜5年おきに異動があります。

自治体の職員は様々な部署を経験して、自治体のゼネラリストになることが期待されるからです。

異なるのは、愛知県職員の場合は、愛知県全体が移動対象ですが、名古屋市職員はまず名古屋市から出ることはない点です。

確かに、名古屋市も決して狭くはないですが、愛知県全体の比ではありません。

愛知県内とはいえ、単身赴任が必要になる可能性も否定できません。

内定辞退率が著しく下がって問題になっている北海道庁は地域枠を設けるなど工夫していますね。

給与

東洋経済発表のデータ(2021年)によると、平均年収は名古屋市が715万円愛知県が687万円となっています。

一般的には、都道府県庁の方が、市役所よりも少し多めなのが通例ですが、場所によって逆転することもあります。

特に都会かどうか、県庁所在地、政令指定都市か否かにも左右されます(この辺の詳しいお話は長くなりますのでまた別の機会に)。

あと、平均値というのは、あまりあてにならないデータですし、個人差があるので、あくまでも参考程度にとどめておいて下さい。

忙しさ

現役県庁職員の方のお話とかお聞きすると、県庁特に本庁勤務は多忙とお聞きしますし、筆者の教え子で都府県に採用されて激務だと嘆く合格者も少なくありません。

「楽をしたいなら市役所」そう書くコラムも散見します。

ですが、県庁職員になって、毎日定時に退職できるのが物足りないとぜいたくな(?)悩みをいう人もいれば、市役所勤務で深夜までの残業は珍しくない人もいます。

特に政令指定都市は、県の権限が多く移譲されています。

つまり、他の市役所と同じ業務を担当しながらも、県庁の仕事もやっているようなものなので、やることが多く忙しいのです。

やることが多いから職員の数も多くなります。

2021年の大卒程度事務の採用予定人数は、愛知県が165人、名古屋市が220人です。

実際にどれくらい残業しているかは、県庁舎や市庁舎の建物の灯りが何時まで点くいているか見に行くといいと言われたものですが、在宅勤務が進んでいると、それも難しいかもしれませんね。

結局どっちが性格にあうか

住民からの手応えを感じながら、仕事がしたい。
引っ越しはできる限りしたくない。

それなら、断然名古屋市です。

愛知県全体が好きだし、三重や岐阜、長野に近いところに住んでみるのも楽しそう。

飽き性だから、異動とともに環境がガラッと変わる方がいい。

それなら、断然愛知県です。

そう言えば、都庁の人事担当者の方に「飽き性の人には都庁は向いてますよ〜」と言われたことを思い出しました。

それぞれの特徴は、メリットにもデメリットにもなります。

住民との距離が近いと、クレームや悪意もダイレクトに伝わってくる。
住民との距離が遠いと、クレームや悪意をもろに受けることは少ない。

異動先が多いと、人間関係で躓いた時は異動することで、乗り切れます。
異動先が少ないと、人間関係で躓いた時に逃げ場がなくなる可能性があります。

何れを選択するか、ご自身の性格、生き方に合った方を選んで下さい。

いかがでしょうか。
愛知県か名古屋市か、決断できましたでしょうか。

次章からは、愛知県、名古屋市、それぞれの試験対策についてご説明します。

どちらを受験するか決断された方は、そちらの受験対策だけを読んでください。

まだ迷っている。勉強しやすそうな方を選びたい。

そんな方は、両方の受験対策を読んで(大変ですが)、検討材料を増やしてください。

「愛知県」で働くためには?

受験資格

愛知県の大卒程度・行政職は、行政Ⅰ・行政Ⅱの2つの区分で採用試験を実施しています。

いずれも受験資格は、30歳未満と年齢要件だけで、学歴は問いません。
中卒でも高卒でも受験できます。

行政ⅠとⅡは試験科目が異なるだけです。

行政Ⅱは、専門試験をなくし、民間企業の就職活動をしている人にも受験しやすいように設けられた区分です。

試験科目

試験区分 区分 科目 内容 配点
行政Ⅰ 1次試験 教養択一
(2時間30分)
一般知能25問必須解答
(文章理解、数的処理)
一般知能25問必須解答
(人文科学、自然科学、社会科学)
15
専門択一
(2時間)
50問中40問選択解答
(憲法⑤、民法⑦、行政法⑧、ミクロ経済学・マクロ経済学⑧、財政学③、経済政策②、経済事情③、政治学②、行政学②、国際関係②、社会学②、社会政策②、刑法②、労働法②、)
30
2次試験 論文試験(1時間30分) 10
口述試験 個人面接 2回 45
適性試験
行政Ⅱ 1次試験 教養択一
(2時間30分)
一般知能25問必須解答
(文章理解、数的処理)
一般知能25問必須解答
(人文科学、自然科学、社会科学)
30
論文試験(2時間) 15
2次試験 口述試験 個人面接・集団討論 55
適性試験

試験結果(2021年)

  採用予定 申込者 受験者 一次合格 最終合格 倍率
行政Ⅰ 125 893 668 383 199 3.4
行政Ⅱ 40 393 243 103 46 5.3

倍率は低め、他の自治体が10倍を越す場合もあることを考えると、行政Ⅱの5.3倍も決して高い方ではありません。

また、1次合格の倍率と、1次合格に対する最終合格の倍率を比べてみると、 

  1次合格の倍率 1次合格に対する最終合格の倍率
行政Ⅰ 1.7倍 1.9倍
行政Ⅱ 2.4倍 2.2倍

若干ですが、筆記試験でふるいにかけられる割合が高いように感じられますが、後述のように、最終合格の判断では、面接試験の配点が多くなるので、バランスのいい試験といえます。

愛知県庁の合格者決定方法の特徴は2点あります。

各試験種目の成績が一定の基準に達しない場合は、他の試験科目の成績にかわらず不合格となる。

行政Ⅰは、専門択一の配点が教養択一の2倍なので、おもわず専門科目の勉強に力を入れがちですが、教養択一対策の手を抜きすぎると足をすくわれてしまいますので、バランスよく勉強する必要があります。

行政Ⅱは、1次試験は専門択一がないとはいえ、論文の内容があまりにもまずいと、同様の結果になりかねないので、注意が必要ですね。

もっとも、公表されてないだけで、ほとんどの職種で基準点を設けているようです。

一次試験と二次試験の総合得点の順位で決める。

行政Ⅰであれ、行政Ⅱであれ、100点満点で最終合格を決めるわけですね。

行政Ⅰは面接の配点が45/100、行政Ⅱは面接の配点が55/100です。

なので、択一試験や論文試験でギリギリだったとしても、面接で挽回できる可能性大です。
やはり、他の自治体同様面接重視の傾向です。

論文と面接

論文の課題は、基本的には現状の課題に対して、愛知県としてどう取り組むべきか、という他の自治体と同様のパターンです。

過去3年分の論文課題の内容は、HPで入手できます。

そして、こういった、課題は面接でも聞かれる内容です。

論文対策をすることが、ウェイトの高い面接対策にもなるので、しっかり準備しておきましょう。

愛知県の対策のポイント
①バランスのよく勉強する
②配点の大きい面接対策のために論文対策を利用する

「名古屋市」で働くためには?

受験資格

名古屋市の大卒程度・事務職は、行政一般、法律、経済の3つの区分で実施されます。

いずれも受験資格は、22~30歳と年齢要件だけで、学歴は問いません。中卒でも高卒でも受験できます。

3つの区分は、試験科目が異なるだけです。

試験科目(2020年)

試験
科目
内容 配点
行政一般 1次試験 教養択一
(150分)
一般知能25問必須解答
(文章理解、数的処理)
一般知識25問必須解答
(人文科学、自然科学、社会科学、時事(名古屋に関する事項を含む))
600
2次試験 口頭試験 個別面接① 600
個別面接②
※対象者は、1次試験及び個別面接①の得点を合計して決定
1200
論文試験
(60分)
答案作成は1次試験受験時
※個別面接②の対象者のみ採点の対象とする
600
法律経済 1次試験 教養択一
(90分)
一般知能15問必須解答
(文章理解、数的処理)
一般知識15問必須解答
(社会科学、時事(名古屋に関する事項を含む))
210
専門択一
(120分)
法律:40問必須解答
(憲法⑤、民法⑫、行政法⑫、刑法③、労働法③、経済学⑤)
390
経済:40問必須解答
(経済学⑱、財政学⑤、経済史②、統計学②、経済事情④、経済政策④、憲法②、民法③)
2次試験 口頭試験 個別面接① 600
個別面接②
※対象者は、1次試験及び個別面接①の得点を合計して決定
1200
論文試験
(60分)
答案作成は1次試験受験時
※個別面接②の対象者のみ採点の対象とする
600

試験結果(2020年)

  採用予定 申込者 受験者 一次合格 最終合格 倍率
行政一般 100 994 623 306 125 5.0
法律 50 330 232 149 78 3.0
経済 50 224 178 157 78 2.3

名古屋市は地方上級(全国型)に属しているで、教養択一は、全国型の問題集で対応できます。

他方、法律、経済は独自問題を採用していて、全国の地方上級の中でも非常にユニークです。

倍率は低めです。
他の自治体が10倍を越す場合もあることを考えると、行政一般の5.0倍も決して高い方ではありません。

また、1次合格の倍率と、1次合格に対する最終合格の倍率は以下のようになります。 

  1次合格の倍率 1次合格に対する最終合格の倍率
行政一般 2倍 2.48倍
法律 1.6倍 1.9倍
経済 1.01倍 2.2倍

加えて、配点をシンプルに整理すると、どの区分も同じです。

択一試験 論文試験 面接試験
1 1 3

1次試験よりも、2次試験の倍率が高いですね。

経済に至っては、1次試験でほぼ全員が合格しています。

他方で、最終合格者の決定は、1次試験と2次試験の総合得点の順位で決めます。加えて、各試験種目の成績が一定の基準に達しない場合は、他の試験科目の成績にかわらず不合格となります。

だとすると、経済であっても、択一試験の成績が振るわなくても1次試験の突破できますが、最終合格決定の際には影響を受けますし、いずれにせよ基準点はクリアしておかなければなりません。

とはいえ、択一試験や論文試験に対して、面接試験の配点は3倍と、非常に面接重視です。

3つの区分のどれで受験するか

択一試験をどの科目構成で受験するかの違いしかありません。
愛知県でしたら、行政Ⅰか行政Ⅱかで、面接の配点が異なりますが、名古屋市はどの区分で受けても同じです。

国立大学法人等職員や、市役所のように教養だけで受験できる職種と併願を考える型でれば、行政一般の一択です。

ですが、国家一般職や国税専門官のように、専門試験のある職種と併願されるのであれば、法律か経済での受験がオススメです。

専門試験のある職種の勉強をしている人は、教養試験対策には手が回っていないのが通常です。
国家一般や国税専門官は専門択一の配点の方が教養試験より配点が高いので尚更です。

名古屋市も、法律・経済だと専門択一は教養択一の約2倍の配点です。

刑法、労働法、統計学は勉強していなくとも(これらの科目の出題数はわずかです)、これまで勉強してきた科目だけで十分勝負できます。

しかも、法律・経済で受験した場合、教養択一では、人文科学・自然科学の出題がありません。

したがって、倍率から考えても、法律または経済いずれか、得意科目が多い区分で受験されるべきではないでしょうか。

論文と面接

論文の課題は、基本的には現状の課題に対して、名古屋市としてどう取り組むべきかという、他の自治体と同様のパターンです。

過去3年分の論文課題の内容は、HPで入手できます。

そして、こういった、課題は面接でも聞かれる内容です。

論文対策をすることが、ウェイトの高い面接対策にもなるので、しっかり準備しておきましょう。

面接では、「なぜ地方公務員か」、「なせ愛知県ではないのか」の質問がされることが多いです。

「愛知県に無いけど、名古屋市ならあるもの」を考えておくことは志望動機の準備にもつながります。
先の「愛知県庁と名古屋市役所、仕事の違いは?」の記述を参考にして考えてみてください。

名古屋市の対策のポイント
①専門試験の勉強をしている人は、法律か経済の区分で受験するべき
②1次試験も倍率が低くても、ある程度の点数は確保する
③配点の大きい面接対策のために論文対策を利用する

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この記事の著者

小林 美也子講師 (講師紹介はこちら


大手資格予備校・地方自治体・企業・教育機関等様々な場所で,長年にわたり公務員試験,宅建試験の受験指導,職員研修を行う。

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