国家公務員

国会職員とは? 衆議院・参議院事務局、衆議院法制局、国会図書館職員について解説!

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「国会職員になりたいけどどのような試験に合格すればいいんだろう?」
「そもそも国会職員って何をする人なんだろう?」


と考えている人も多いでしょう。

そんな疑問を解消するために、当コラムでは、国会職員(衆議院事務局職員・参議院事務局職員・衆議院法制局職員・国立国会図書館職員)の概要や待遇、更には試験データや対策を解説しています。

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国会職員とは?

「国会職員」とは、国の唯一の立法機関である国会を維持するために、国会を構成する様々な機関で職務を行う職員です。

しかし国会職員とは、国会を構成する機関で勤務をする国家公務員の「総称」を指し「国会職員」という名称で採用されるわけではありません。

採用試験は国会を構成する各機関ごとに行われています。

具体的には以下のような機関があります。

  • 衆議院事務局
  • 衆議院法制局
  • 参議院事務局
  • 参議院法制局
  • 国立国会図書館

全ての機関が「特別職」の国家公務員に該当し、法律に携わる者として、公正・中立的な行動を必須とします。

衆議院・参議院事務局は本会議・委員会の運営や議案に関する調査等をおこない、衆議院・参議院法制局は議員立法の立案等をおこないます。

採用機関や採用区分によって職務の内容は異なりますが、国の運営における「縁の下の力持ち」の役割を果たす職業です。

これらの試験はそれぞれ別の日程で行われるため併願することも可能です。

国会職員の待遇は?

それでは、国会職員の待遇のについて紹介していきます。

なお、本稿では事務職の大卒程度について説明します。

給与

国会職員は「特別職」に該当しますが、給与を含む待遇面は一般職の国家公務員に準じています。

初任給は区分や学歴によって初任給は区分や学歴によって異なります。

以下にまとめたので参考にしてください。

  総合職 一般職
衆議院事務局 224,040円 大卒程度218,640円
高卒程度
短大卒等:192,120円
高校卒等:180,720円
衆議院法制局
224,040 円 218,640 円
参議院事務局 224,040円 短大卒:192,120円
高校卒:180,720円
国立国会図書館 224,040円 218,640円
※令和3年時点
※地域手当含む
※衆議院法制局の一般職は、国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)合格者の官庁訪問先としてエントリーされることがある

勤務地

国会職員の勤務地もその採用区分によって異なります。

衆議院・参議院事務局職員および衆議院・参議院法制局職員は、国会議事堂(東京都千代田区)もしくはその周辺の勤務となります。

また国立国会図書館職員の勤務地は「東京本館(東京都千代田区)」「関西館(京都府精華町)」「国際子ども図書館(東京都台東区)」の3箇所のいずれかになります。

これらは東京都内を中心にした勤務地となっています。

転勤の有無

「国会職員は国家公務員だから転勤が非常に多いのでは?」と思っている人もいるでしょう。

しかし、国会職員の中には転勤が非常に少ない機関も存在します。

例えば、衆議院及び参議院事務局職員は、基本的に転勤はありません。衆議院法制局職員も同様です。

常に国会議事堂もしくはその周辺での勤務となります。(他機関への出向の際などは例外で異なる勤務地となる場合もあります。)

また、国立国会図書館職員は「東京本館」「関西館」「国際子ども図書館」の3施設が一体となって運営しているため、その3施設内限定での転勤が行われています。

※関連コラム:国家公務員とは?種類(職種)や仕事内容を紹介!

試験データを確認しよう

前述のように、国会職員の採用試には「大卒程度試験」と「高卒程度試験」がありますが、以下では「大卒程度試験」について解説いたします。

衆議院事務局職員採用試験の試験データ

衆議院事務局職員採用試験の受験資格

衆議院事務局職員の受験資格は、一般職の公務員試験に準じています。

特別職の公務員だからといって、特段難しい受験資格があるわけではありません。

総合職、一般職共に以下の受験資格となっています。

  • 年齢が21歳以上30歳未満で、以下の条件のいずれかに当てはまる
  • 大学を卒業している者もしくは卒業見込みの者
  • 衆議院事務局が上記と同様の資格があると判断した者

採用予定人数と倍率

衆議院事務局職員はどの試験区分においても、採用予定人数が少なく、非常に倍率が高い試験となっています。

令和3年度の採用試験における募集人数は以下の通りです。

採用区分 採用人数
総合職 若干名
一般職(大卒程度) 20名程度

しかし人気の高い試験のため、募集人数が少ないにも関わらず、受験者が非常に多いです。

2020年度の試験データはこのようになっています。

採用区分 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率
総合職 158 2 1.3%
一般職(大卒程度) 301 16 5.3%

受験データを見ての通り、衆議院事務局採用試験は非常に難易度が高い試験であることが分かります。

衆議院事務局職員採用試験の出題内容

試験内容は各採用区分によって異なります。

「総合職」試験では、1次試験から3次試験まであり、以下の範囲が出題されます。

  試験内容 試験範囲 出題数/試験時間
1次試験 1.基礎能力試験
(多岐選択式)
知能分野(27題)知識分野(13題) 40題/120分
2.専門試験
(多岐選択式)
憲法,行政法,民法,刑法,政治学行政学,経済学,財政学,社会政策,国際関係,英語 40題/90分
2次試験 1.記述式論文 憲法(必須)行政法,民法,政治学(いずれか2科目)を選択 3題/180分
2.個別面接
3次試験 口述試験
参照:衆議院事務局採用情報

択一式の問題は「国家公務員総合職よりは難しくない」という受験生が多いでしょう。

一方で記述式の問題は「国家公務員総合職と同等レベルで、細かい知識を問われることもある」のようなレベルとなっています。

また、一般職(大卒程度)試験も同様に3次試験まで行われます。

しかし、試験形式は総合職と異なる部分があるため、しっかりと確認しておきましょう。

  試験内容 試験範囲 出題数/試験時間
1次試験 1.基礎能力試験
(多岐選択式)
知能分野(27題)知識分野(13題) 40題/120分
2.専門試験
(多岐選択式)
憲法,行政法,民法,刑法,政治学行政学,経済学,財政学,社会政策国際関係,英語 40題/90分
2次試験 記述式論文試験 憲法(必須)行政法,政治学,経済学(いずれか1科目を選択) 2題/120分
3次試験 個別面接

一般職(大卒程度)の択一問題は「国家公務員一般職」と同レベルと考えましょう。

一方記述試験は「国家公務員専門職」よりは難しいと感じる受験生が多いため、しっかりと準備をする必要があります。

「1次試験は総合職試験と一般職試験は同じ?」と思う人もいますが、問題形式は同じであっても内容は異なるため注意しましょう。

衆議院法制局職員採用総合職試験の試験データ

衆議院法制局職員採用総合職試験の受験資格

受験資格は、以下のとおりです。一般職の公務員試験に準じています。

  • 年齢が21歳以上30歳未満
  • 年齢が21歳未満で、以下の条件のいずれかに当てはまる
  • 大学を卒業している者または卒業見込みの者
  • 衆議院法制局長が上記と同等の資格があると認める者

採用予定人数と倍率

衆議院法制局職員(総合職)の募集は「若干名」となっています。

1名しか採用されなかった年もありますが、3名採用された年もあります。

令和3年度の採用試験における募集人数は以下のとおりです。

採用区分採用人数
総合職若干名

2021年度の試験データはこのようになっています。

採用区分受験者数(人)合格者数(人)合格率
総合職7511.3%

衆議院法制局職員採用総合職試験の出題内容

1次試験から3次試験まであり、以下の範囲が出題されます。

  試験内容 試験範囲 出題数/試験時間
1次試験 1.基礎能力試験
(多肢選択式)
文章理解、判断推理、数的推理及び資料解釈に関する一般知能並びに社会、人文及び自然に関する一般知識 40問/120分
2.専門試験
(多肢選択式)
憲法、行政法、民法、刑法、労働法、経済学・財政学 40問/120分
2次試験 1. 論文試験
(3題解答 )
憲法(1題)、行政法(1題)、民法(1題) 3題/240分
2.面接試験
3次試験 1.口述試験 憲法を中心とする法律問題
2.面接試験
参照:令和3年度衆議院法制局職員採用総合職試験案内

法律分野からの出題が中心で、全範囲が必答となっていることが特徴ですが、試験範囲は国家公務員総合職試験(大卒程度・法律区分)とほぼ同じなので、併願しやすいといえます。

ただし、3次試験では憲法を中心とした口述試験があります。

これは別途対策が必要なので注意しましょう。

衆議院法制局様より具体的な情報をいただきました。ご協力ありがとうございました。

参議院事務局職員採用試験の試験データ

参議院事務局職員採用試験の受験資格

参議院事務局職員の総合職における受験資格は、衆議院事務局職員と比較して年齢制限が厳しいものになっています。

受験資格は以下の通りです。

  • 年齢が21歳以上27歳未満であり、以下の条件のいずれかに当てはまる場合
  • 大学を卒業している者もしくは卒業見込みの者
  • 参議院事務局が上記と同様の学力があると判断した者

また、参議院事務局職員には大卒程度の一般職試験がないことが特徴であり「総合職」が大卒程度の試験「一般職」が高卒程度の試験となっています。

採用予定人数と倍率

参議院事務局職員の募集は総合職で15名程度となっています。

大卒程度の一般職試験がないため、大卒程度で入るには総合職で採用されるしかありません。

令和2年度の試験結果は以下のようになっています。

申込者数(人)合格者数(人)合格率
52691.7%

この結果からも非常に人気で難関な試験と分かります。

参議院事務局職員採用試験の試験内容

参議院事務局職員の試験内容は、受験生による選択の幅が広い事が特徴です。

より綿密に学習計画を立てることが大切と言えます。

  試験内容 試験範囲 出題数/試験時間
1次試験 1.基礎能力試験 
(多岐選択式)
社会科学(時事問題含む),人文科学自然科学,文章理解判断推理・数的推理・資料解釈 50題/180分
2.専門試験
(多岐選択式) 
憲法(5問),行政法(10問),民法(10問)刑法(5問),労働法(5問)経済政策(5問),経済理論(10問)経済事業・経済史(5問),財政学(10問)国際関係(5問),政治学・行政学(5問)

※問題選択ではなく科目ごとの選択のため注意が必要
80題の内40題を選択/210分
2次試験 1.記述式専門試験 「法律部門」選択の場合憲法(必須)行政法,民法(総則,物権)民法(債権,親族・相続)(内2題選択)
「経済部門」選択の場合経済理論,財政学,経済政策(3題必須)

※受験申込時に「法律部門」「経済部門」のいずれかを選択
3題/180分
2.集団面接
3次試験 個別面接
※人物試験の参考となる性格検査も2次試験時に実施
参照:参議院事務局職員募集要項

参議院事務局職員採用試験は、試験の点数配分が公表されています。

基礎能力:専門:記述式専門:集団面接=1144

このような点数配分となっており、2次試験の対策が非常に重要となっていることが分かります。

国立国会図書館職員採用試験の試験データ

国立国会図書館職員採用試験の受験資格

国立国会図書館職員採用試験は総合職でも一般職であっても、短大及び高専卒業見込みの段階から受験できることが特徴です。受験資格は以下の通りです。

  • 年齢が20歳以上30歳未満で以下の条件のいずれかに当てはまる者
  • 大学を卒業した、もしくは卒業見込みの者
  • 短期大学もしくは高等専門学校を卒業した、もしくは卒業見込みの者
  • 館長が上記の者と同様の資格があると判断した者

採用予定人数と倍率

国立国会図書館の採用人数は近年「総合職」で3~4人「一般職」で15人前後となっています。

令和2年度の試験結果は以下の通りです。

区分1次受験者(人)採用者(人)合格率
総合職2963約1%
一般職43514約3.2%

総合職の倍率が約100倍、一般職の倍率が約31倍となっており、非常に難関な試験であることが分かります。

国立国会図書館職員採用試験の試験内容

国立国会図書館職員採用試験は独特の試験内容となっており、独自の対策が必要と言えます。

総合職の試験内容は以下の通りです。

  試験内容 試験範囲 出題数/試験時間
1次試験 基礎能力試験(多岐選択式) ※一般職試験と共通試験 40題/120分
2次試験 1.専門試験
(記述式)
以下の4科目の中から1つを選択
・法学
 (憲法,民法,行政法,国際法から2分野選択)
・政治学、経済学、社会学、文学、史学
 (日本史,東洋史,西洋史から1分野選択)
・図書館情報学、物理学、化学、数学、工学・情報工
 (工学全般,報工学から1分野選択)
・生物学

※120分中90分は一般職試験と共通試験、内30分は総合職独自の試験
120分
2.英語試験
(多岐択一式)
長文読解試験※一般職試験と共通試験 60分
3.小論文 与えられた課題に係る小論文(1,200字程度) 60分
4.個別面接
3次試験 個別面接

記述式専門試験や英語の択一試験など、独特の試験内容であることが見て取れます。

一般職試験も同様に独特な試験となっています。

  試験内容 試験範囲 出題数/試験時間
1次試験 基礎能力試験
(多岐選択式)
※総合職試験と共通試験 40題/120分
2次試験 1.専門試験
(記述式)
以下の4科目の中から1つを選択
・法学
 (憲法,民法,行政法,国際法から2分野選択)
・政治学、経済学、社会学、文学、史学
 (日本史,東洋史,西洋史から1分野選択)
・図書館情報学、物理学、化学、数学、工学・情報工
 (工学全般,報工学から1分野選択)
・生物学

※総合職試験と共通試験
90分
2.英語試験
(多岐択一式)
長文読解試験
※一般職試験と共通試験
60分
3.個別面接
3次試験 個別面接

総合職試験及び一般職試験で共通している基礎能力試験については22点~27点が一次試験突破のボーダーとなっており、特別難しいという事はありません。

しかし、独特な試験内容の2次試験は、専門試験での高い専門性及び、英語試験での高い語学力が求められます。

令和3年度の試験において、総合職の二次試験突破者が全体の4%ほど、一般職の二次試験突破者が全体の8%ほどという結果からも学力試験の難関さが伺えます。

国会職員になるための対策

衆議院事務局職員になるための対策

「衆議院事務局職員採用試験だけを専願する」という人は中々いないでしょう。

多くの人は「国家公務員専門職」「国家公務員一般職」「地方上級」などを併願します。

「併願すると勉強が分散しない?」と思う人もいます。

しかし併願でも効率良く勉強する方法があるのです。

それは「全ての試験で重要になる科目を先に固める」ことです。

衆議院事務局職員採用試験の場合「憲法」「民法」「行政法」「経済学」「財政学」あたりが「当試験でも、他の試験でも重要となる科目」です。

一方で「国際関係」「刑法」「社会政策」は非常にマイナーな科目です。

そもそも出題されない試験も多いですし、衆議院事務局職員採用試験でも2~3題の出題となっています。

その様な科目は「最初から範囲を網羅して知識を固める」というイメージよりは「試験前に頻出ポイントを確実に押さえる」という考え方が大切です。

しかし高倍率の試験のため対策なしでの合格は厳しいです。

当試験の優先順位がどのくらい高いのかによって、力の入れ具合を考えましょう。

衆議院法制局職員になるための対策

衆議院法制局職員採用試験では法律に係る深い知識を問われます。

問題文に対応する結論だけを暗記するのではなく、結論に至る過程までをしっかりと理解しましょう。

また、知識レベルも六法や判例レベルまで抑えることが望ましいです。

論文試験や口述試験においては、自分の頭の中で整理して分かりやすく伝える能力が必要であるため、早い段階から準備を行えるとよいでしょう。

参議院事務局職員になるための対策

参議院事務局職員試験における一次試験の選択では「刑法」「労働法」「国際関係」などは他の試験での出題が非常に少ない科目です。

特段得意でなければ避ける方が無難でしょう。

一方で「民法」「行政法」「財政学」「経済理論」は10題出題されます。

これらは他の試験においても重要科目となっているため、比較的初期から勉強を始めるべきです。

また2次試験の記述試験は「法律系」「経済系」と選択できますが、いずれも非常に高度な知識が問われます。

判例集や専門書などまで踏み込んだ学習が必要なため、長期的な目で少しずつ学習しましょう。

国立国会図書館職員になるための対策

国立国会図書館職員試験は他の試験にはない独自の試験が行われています。

そのため、ある程度「国立図書館職員になるための勉強」をする必要があるのです。

特に「英語試験」では長文読解を求められるため、主な英単語の暗記の他にも長文読解の勉強を行う必要もあります。

英字新聞の内容が把握できる程度の英語力があれば安心して受験することができるでしょう。

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この記事の監修者

小林 美也子講師 (講師紹介はこちら


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