管財人
かんざいにん
(1) 更生管財人 trustee in reorganization 会社更生手続きにおいて更生会社の財産の管理,事業の経営,更生計画の立案などを担当する者。更生手続き開始決定と同時に裁判所によって管財人が選任され,以後は事業の経営,財産の管理および処分の権限が管財人に専属的にゆだねられ,更生計画案の作成および遂行などを行なう。管財人は裁判所の監督のもと,善良な管理者の注意義務をもって職務を行なうべきこととされており,この義務を怠れば損害賠償責任が課される。また重大な理由がある場合には,裁判所は管財人を解任することができる。会社更生法上は管財人の語を使用しているが一般には更生管財人と呼ばれる。
(2) 破産管財人 trustee in bankruptcy 破産財団を代表し,財団の管理,換価,配当などを行なう機関。破産管財人の地位については,職務説あるいは代理説などの論争があったが,現在では,管財人を破産財団という独立の法人の代表機関とする考え方 (破産財団代表説) ,および破産者の財団を管理する機構とする考え方 (管財人管理機構説) が有力。管財人は,破産宣告と同時に裁判所によって選任され,その監督を受ける。
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管財人
かんざいにん
一般には他人の財産の管理人をいう。法律上重要なものとして、破産手続における破産管財人、会社更生手続における更生管財人、民事再生手続における再生管財人(再生債務者の事業の再生のためにとくに必要があると認められるときに、選任される)がある。いずれも、それぞれの手続の開始時に(民事再生手続における管財人については、手続開始決定後の場合もある)裁判所によって選任され(1人あるいは数人)、とくに、破産管財人、更生管財人は手続の中心的役割を果たす機関である。その職務内容は、破産管財人については、破産財団の管理・処分、換価、破産債権の調査・確定、配当などであり、更生管財人については、会社の事業の経営、会社財産の管理・処分、更生計画案の作成、更生計画の遂行などである。再生管財人については、再生債務者の業務の遂行、財産の管理および処分などである。いずれも職務の執行は裁判所の監督のもとに行い、善良な管理者としての注意義務を有する。
[本間義信]
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かんざい‐にん クヮンザイ‥【管財人】
〘名〙 他人の、特に破産財団、
和議手続中債務者などの財産を管理する人。管財者。
※太政官布告第三六号‐明治一三年(1880)七月一七日「分散者の管財人と為り又は会社及び共有財産を管理するの権」
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かんざいにん【管財人】
広義では,他人の財産を管理する人の意味で,他人との契約,法律の規定または裁判所の選任によってその地位につく者をすべて含むが(たとえば,不在者の財産管理人(民法25条),相続財産管理人(民法918,952条)など),今日では,倒産に関する法手続において倒産処理事務を遂行する機関,またはその機関に任ずるため裁判所によって選任された人を指すのが一般である。この意味での管財人には,破産管財人,和議管財人,更生管財人の3者がある。
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世界大百科事典内の管財人の言及
【会社更生法】より
…裁判所は更生手続開始の原因(債務を弁済すれば事業に支障をきたす状態,または破産原因事実の生ずるおそれ)の有無および更生の見込みなどを審理するが(30,38条),その際公認会計士を調査委員に選任して調査させることも多い(101条)。手続を開始する場合は,開始決定と同時に更生管財人を選任する(46条)。更生管財人は会社の事業経営権および財産の管理処分権を一手に収める(53条)。…
【倒産】より
…これは消費者金融によって破綻(はたん)した個人が破産制度を利用しはじめたことによるもので,かねてアメリカにおいて顕著にみられた現象であり,免責制度とあいまって,日本においても破産の債務者救済制度としての性格が明らかとなりつつあるといえる。破産者に財産がある場合には破産管財人(原則として弁護士)が選任されて財産を処分し,換価金を債権者に按分弁済(配当)するが,通常その率はきわめて低い。 和議は財産を換価清算することなく債権者の譲歩によって再建案(和議条件)を策定することを骨子とする。…
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