ロシア軍の低い士気、ウクライナ軍の高い士気

 全面侵攻がはじまってから1週間が過ぎた。しかし、いまだに首都キエフは陥落していない。これをロシア側の“誤算”と伝える報道が目立つ。

 ウクライナに比べて圧倒的な軍事力を持つロシア。事前の米情報機関の分析でも、ロシア軍がウクライナに大規模に侵攻した場合、首都キエフは2日以内に陥落、最大で5万人の市民に死傷者がでるとされていた。

 ロシア側の食料や燃料といった兵站の問題に加えて、ウクライナ軍の抵抗の規模が予想していたものより激しいことが、ロシア軍兵士の士気の落ち込みにつながっている、と指摘されている。侵攻に動員されたロシア軍部隊の多くが徴集兵で、非常に若い人員で構成されていることも要因にあるようだ。

 一方で、抗戦するウクライナ側の士気を支えているのが、携行できる小型兵器の存在だ。とりわけ欧米諸国から供与された米国製の対戦車ミサイル「ジャベリン」は功を奏しているらしい。

 ジャベリンは全長が1.2メートル、重さ22.3キロ、射程が2.5キロメートルで、戦車の装甲を貫く威力を持つ。独りで持ち運ぶことができ、目標物に照準を合わせて発射すればミサイルが自動的に追撃する。侵攻する相手に林の中などから密かに接近して撃ち込むことで、多大なダメージを与えられる高性能兵器だ。

 ジャベリンは18年からウクライナ軍が米国から導入。さらに今年1月には米国がジャベリン300発などを輸送。侵攻開始直後の26日には追加支援を承認している。