名大・東大など、中国広東省で有史以降に人為的に絶滅した大型ワニを報告
発表日:2022年03月09日
中国広東省で有史以降に人為的に絶滅した大型ワニを報告
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学博物館の飯島 正也 学振特別研究員、東京大学総合研究博物館の米田 穣 教授、中国合肥工業大学のリュウ ジュン 教授らの研究グループは、中国広東省新会博物館、順徳博物館との共同研究で、中国広東省の青銅器時代(注1)の地層から、有史以降に絶滅した大型ワニを報告しました。
現在の日本に野生のワニはいませんが、人類が日本列島に到達する以前には、複数のワニ類が生息していました。特に、マチカネワニとして知られる6〜7m級の大型ワニは、日本の古脊椎動物学史上、最も重要な学術標本のひとつであり、国の記念物に登録されています。マチカネワニの仲間は、日本各地の第四紀(注2)の地層から見つかりますが、30〜40万年前を最後に記録が途絶えています。
今回、中国広東省の青銅器時代のワニの標本を調査したところ、かつて爬虫類学者・青木 良輔氏(注3)が提唱したように、マチカネワニに近縁な大型種が有史以降まで生延びたこと、ワニ類の形態進化の間隙を埋める中間種(移行種)(注4)であること、古代広東人と共存し、人為的に絶滅した可能性が高いことが分かりました。
本研究の成果により、長年議論が続いたワニ類の分類問題の解決や、完新世(注5)の爬虫類メガフォーナの絶滅要因について理解が深まることが期待されます。
本研究成果は、2022年3月9日午前9時(日本時間)付イギリス英国王立協会紀要「Proceedings of the Royal Society B」に掲載されます。
【ポイント】
・中国広東省の青銅器時代の地層から発掘されたマチカネワニの近縁種を発見。
・この近縁種を、中国史書の記述に基づきHanyusuchus sinensis(ハンユスクス・シネンシス、以下「ハンユスクス」)(中国名:中国韓愈鰐)と命名。
・ハンユスクスは、ワニ類の形態進化の間隙を埋める中間種(移行種)であり、長年議論が続く分類問題を解決する鍵となる。
・ハンユスクスは、古代広東人と共存し、人類の直接・間接的な影響により絶滅した可能性が高い。
※以下は添付リリースを参照
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添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/627924/01_202203081646.pdf