凛(藤原さくら)はけっこう強気でストレートな性格で、自分の恋心は10年を超えて秘密にしている。
そういう役を演じている藤原さくらが、とても気になるのだ。
『ファイトソング』は恋愛ドラマではない。
清原果耶が演じているヒロインには、いろんな「試練」が襲いかかってくる。
彼女はそこから逃げたり、立ち向かったりする。芯は強いようだが、でも弱いときや、ぼんやりしていることもある。恋愛要素も描かれるが、中心にはない。
人生そのものが描かれているからだ。
藤原さくらの「せつない表情」
そして、このドラマの恋愛部分を担当しているのは、おそらく藤原さくらの「せつない表情」なのだ。私にはそう見える。
藤原さくらのセリフにあまり恋愛要素はない。
強がっていたり、ぶっきらぼうに喋っていることが多く、あまり恋情は込められていない。
ただ、慎吾(菊池風磨)が近くにいるとき、周りの人にわからいように、その恋情が表情に出ることがある。
せつなそうな表情で、彼を少しだけ見る。
ぶっきらぼうに喋ったあと、その言葉の方向をみんなが見つめているとき、彼女は同じ方向を見ずに、そっと彼を見つめている。
少しだけである。
この少しの表情に、このドラマの恋情の強くが込められているように見える。