麦茶(読み)むぎちゃ

食の医学館「麦茶」の解説

むぎちゃ【麦茶】

《栄養と働き&調理のポイント》


 殻(から)のまま煎(い)った六条(ろくじょう)種の大麦を、熱で煮出した飲みものがです。
 以前は夏の風物詩的存在でしたが、現在ではペットボトル入りや缶入りの市販品も多く出回っていて、夏だけでなく1年を通じて楽しまれるようになりました。
○栄養成分としての働き
 栄養的にみた場合、材料の大麦に由来するカルシウムやカリウム、リンなどが含まれていますが、その量はわずかで、麦茶からそれらを摂取することは期待薄。
 しかし最近、麦茶に含まれるなんらかの成分に、血液をサラサラにして血流を促進する働きがあるということが報告されました。
 つまり、麦茶が血栓症(けっせんしょう)、脳梗塞(のうこうそく)などの予防・改善にも役立つ可能性がみえてきたわけです。
○漢方的な働き
 麦茶には体のほてりを鎮める作用や胃腸の働きをととのえる作用、利尿作用などがあり、夏バテ、むくみ、膀胱炎(ぼうこうえん)などの改善に役立ちます。
 麦茶を風味よくつくるには、1リットルのお湯が沸騰したところに30~40gの麦茶を入れ、10分程度煮出すのがコツ。
○注意すべきこと
 なお、冷え症や冷えによる下痢(げり)などの症状がある場合、麦茶は体を冷やすので、ひかえたほうがいいでしょう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)「麦茶」の解説

麦茶
むぎちゃ

オオムギを炒(い)り、熱湯で煮だした飲み物。麦湯ともいう。熱いまま飲むこともあるが、一般には冷たくして夏の飲料とする。麦を炒った香ばしい香りがある。現在は、麦類を炒った炒り麦のことも、炒り麦を熱湯で浸出した液も麦茶と称しているが、以前は浸出した液は麦湯といって、炒り麦とは区別していた。麦類を炒って飲料とする風習は、煎茶(せんちゃ)飲用の普及よりずっと古くからあったといわれる。江戸時代の文化・文政(ぶんかぶんせい)(1804~30)ごろには、麦茶は商売として売り出されるようになり、江戸の町々には麦湯店が現れ、たいへん繁盛した。炒り麦(麦茶)を買って、家庭で麦茶をつくるようになったのは明治中ごろからである。麦茶は、熱湯中に炒った麦を入れてから4~5分は煮立てたほうが、色も香りもよく出る。味を引き立てるために塩を少量加えることもある。

河野友美

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「麦茶」の解説

麦茶
むぎちゃ

大麦の穎果を軽く炒ったものを湯で煎じてつくる飲料。現在は簡易タイプの水だしパックが普及している。おもに冷却して飲用する。西日本では裸麦が用いられる。ビタミン B1 が多く,さっぱりして,特に夏の飲料として親しまれている。

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飲み物がわかる辞典「麦茶」の解説

むぎちゃ【麦茶】


大麦を殻つきのまま焙煎(ばいせん)して飲料用に加工したもの。煎じて飲む。麦を炒った香ばしい香りがある。あたたかいまま飲むこともあるが、夏に冷やして飲むことが多い。◇「麦湯」ともいう。

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百科事典マイペディア「麦茶」の解説

麦茶【むぎちゃ】

麦湯とも。オオムギを玄麦のまま炒(い)ったもの。煮出して茶と同様に飲用。こうばしく風味があり,ビタミンB1の含有量も多い。夏,冷やして飲むことが多く,好みで砂糖や塩を加える。

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世界大百科事典 第2版「麦茶」の解説

むぎちゃ【麦茶】

麦湯ともいう。オオムギを殻つきのままいったもので,煮出して茶同様に飲用する。オオムギを焙焼(ばいしよう)することで生じた香気と独特の風味があり,夏季に冷たくして用いることが多い。最近ではティーパック詰のものが市販されており,これは水で浸出するだけで飲める。18世紀末ころから,江戸には麦湯を売る店があった。夏の夕方になると道ばたに〈麦湯〉と書いた行灯を出し,若い女が客を呼ぶ姿は明治になっても見られたようである。

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