研究論文
犬100頭の去勢、不妊手術における結紮止血法とインテリジェント熱凝固法の炎症反応の比較検討
論文全文はこちらインテリジェント熱凝固法とは?
人医領域では開腹することなく膣からのアプローチで子宮全摘出を可能にするなど、出血量の低減、手術の迅速化、炎症の低減、術後疼痛の低減に効果があると報告されている。
インテリジェント熱凝固法とは、対象組織のインピーダンスをモニターしながら高周波パルスを印加することにより、血管やその周辺組織を熱融合凝固させる方法。血管壁内のコラーゲンとエラスチンが熱融合され一体化し、血管が閉鎖されると同時に組織のインピーダンスが変化するので、この値を使って高周波パルス幅を自動制御することにより、必要最小限の高周波エネルギーにより熱融合凝固による止血を行うことができる。
現状施術の課題
これまでの犬の去勢、不妊手術は血管を手で結び、血を止めてそれから目標の臓器(卵巣、子宮、睾丸など)を摘出していました。しかし結ぶ人によっては、結び方が緩くて出血の原因になったり、結ぶための糸自体が将来の特殊な難治性の慢性炎症を引き起こしたりしてきました。どうにかこれらの欠点をカバーできないかという事でこのインテリジェント凝固の器械を導入。
本研究の要約
犬の去勢、不妊手術にインテリジェント熱凝固法を適用し、その炎症反応度合いををC 反応性蛋白(CRP)を用いて測定して、これまでの結紮法と比較。 対象は健康犬雌雄50 頭ずつの合計100 頭とした。去勢および不妊手術の双方で、インテリジェント熱凝固法によるものが結紮法によるよりもCRP 値上昇が有意に抑制された。この結果インテリジェント熱凝固法が臨床現場において、安全で安心な医療現場の確立に役立つものであることがわかった。
本研究の結論
インテリジェント熱凝固法を用いた去勢・不妊手術は、従来の結紮による方法より低侵襲で炎症を軽度に抑えることができた。また、残存結紮糸による術後異物反応に起因する癒着や肉芽種が発生しないことも大きな利点であるといえる。