1998年11月1日「消された天皇賞覇者」   作:防人の唄

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アニメ&アプリの『ウマ娘 プリティダービー』と比べ、かなり重苦しい内容です。

現実の競馬と設定が近い為、暗い部分も多々あります。
ウマ娘公式のキャラ&設定を模倣してるものもありますが、オリジナルも混ざってます。


かなりきついと思われる内容ではありますが、本作は現実の競馬界及びウマ娘公式を貶める意図は全くありません。



プロローグ&物語設定

プロローグ

 

 

 

『おっと…?ここで急に手応えが…?ここで急に抑えるようして…ああ⁉︎ちょっとこれは⁉︎……サイレンススズカ、サイレンススズカに故障発生です⁉︎…なんということだ、3コーナーをまわることなくレースを終えたサイレンススズカ…沈黙の日曜日…』

 

 

*****

 

 

「…みんな、スズカが勝つことだけを観に来てた。スズカがかつてない速さでゴールすることだけを期待してた。…私が勝つことなんて、誰も望んでいなかった。」

 

彼女は輝きを失った眼光から、この世界の全てを達観したような笑顔を見せて、夕焼けに染まる大空を仰いだ。そして再び、僅かに紅みが残った唇から言葉を絞り出した

 

「今度の有馬記念を、私のラストレースにするの。レース中に無理をして、脚を折って二度と走れない身体になって、…そのまま還るわ。そうでもしなきゃ、スズカの怪我後の私の行為を神様もみんなも決して許してはくれないだろうから…。」

 

 

 

*****

 

 

 

物語設定

 

(本作は、アニメ『ウマ娘 プリティダービー』を模倣した世界観で書いています。)

 

 

 

ウマ娘 

異世界(現実世界)の競走馬の名前と魂を受け継いで生まれてきたとされる種族。外見は腰から馬のような尻尾が生え、馬のような耳が頭頂部付近にある。超人的な走力を有するが、それ以外は普通の人間の女子と変わらない外見をもつ。

一定の年齢になると、トレセン等のウマ娘専門の学園に入り、競走ウマ娘としてレースに出場する。(現実世界の競馬と同じ。)

 

トレセン学園

東京にある、ウマ娘が通う大規模な学園&レースのトレーニング施設。単に競走能力を鍛えるだけでなく、ウマ娘や人間の知識も学ぶ。入学年齢は決まっているが、卒業・退学年齢は決まっていない。実績をあげ3年以内で卒業するウマ娘もいれば、実績をあげられず5年以上在籍しているウマ娘もいる。在園生徒数は約6000人。

 

 

ウイニングライブ

 

初勝利・あるいは重賞以上のレースで1着〜3着に入ったウマ娘達によって行われるライブ。

 

 

(以下は、本作のみの独自設定。)

 

 

〈重大設定〉

本作のウマ娘は、『走る為に生まれた種族』なので、将来的には必ずトレセンに入るることが決まっている。生物としての違いがかなりある為、人間と同じ職業や進路には殆どつけない。

 

〈帰還・還る〉

本作で多く登場する言葉。本作独自の設定で、ウマ娘の死を意味する言葉。

ウマ娘は、この世の生を終えると“ウマ娘の世界(人間でいう天国)にいく(還る)”とされている為、そのような表現となっている。

 

 

 

〈ウマ娘の足の怪我と「特別手術」・「予後不良」〉

 

ウマ娘が脚の怪我や骨折をした場合、いずれも重傷でなければ治療して再び走ることが出来る。だが、治るのが困難と言える程の重傷を負った場合は、走ることはおろか二度と動くことすら出来なくなる可能性が高い(ウマ娘の特徴で、脚の怪我が全身にも悪影響を与える)為、「特別手術」をする。特別手術後は日常的な歩行程度は出来るが、走ることは生きてる間ほぼ不可能となる。ただ、この「特別手術」を受けれるのは、殆どが優秀な実績を残したウマ娘だけで、その他のウマ娘は、後述のようにウマ娘の世界へ還ることになる者の方が多い。また実績のあるウマ娘でも、走れなくなる精神的辛さから「特別手術」を受けず、還ることを選ぶ者が多い。

 

ウマ娘の脚の怪我で「特別手術」も不可能な重傷の場合は「予後不良」の診断が下される。これを下されると「安楽帰還」の処置を取られ、ウマ娘の世界へ還る。

 

ウマ娘は人間と違い、片足でも一定以上不自由になるとそのまま命の危機に直結し、そのまま還る事態になってしまう。治療不可能の重傷となると「安楽帰還」の処置が取られるのは、その苦しみを受けさせない為。

 

 

 

 

〈クッケン炎(死神)〉

 

俗に〈死神〉と呼ばれる、ウマ娘に最も恐れられている脚の病。これに罹ると患部が腫れ、焼けるような熱と痛みをもつようになり、レースで怪我や重傷を負う危険が非常に高くなる。どんな頑丈なウマ娘でも罹りうるうえ、不治の病であり、ただ幹部の腫れと熱がおさまるのを待つしかない。治療にはかなりの苦痛も伴い、また一旦おさまってもレースでまた再発する可能性も高く、これに罹った7割のウマ娘はレースから引退(卒業・退学)する。(競走生活を終えれば再発は殆どしないので、日常生活に支障はきたさない)

 

 

 

〈ウマ娘療養施設〉

 

学園とは遠く離れた地域にある、トレセン学園ウマ娘専用の病院兼療養所。病気や大きな怪我を負った学園生徒のウマ娘が治療・療養の為に生活している。不治の大怪我や病気により回復が見込めなくなったウマ娘達が、ウマ娘の世界へ還る為の場所もある施設である。

 

 

 

 

 

〈レース引退(卒業・退学)したウマ娘のその後〉

 

G1或いは重賞(G3以上)のレース何度も制した者、または学力で優秀な成績を挙げた者は、引退(卒業)後も学園に残り重職(生徒会・コーチ・チーム創設)につくか、或いは全国の次世代ウマ娘達(未入学の幼いウマ娘)育成等の仕事や『コウハイ』(後述)の仕事与えられ、その後のウマ娘人生を保証される。

 

目ぼしい実績を上げられず、その後の仕事先もなく引退(退学)したウマ娘達は、ウマ娘の特徴&能力&記憶を消去する手術を受け、人間(女性)として新たにて生きていくか、或いは本世界で永遠の眠りにつき、ウマ娘の世界へ還るか、いずれかの選択を迫られる。(重病に罹ったり、寿命が迫ったウマ娘も、天国へ還る)

過去、二択を迫られたウマ娘は、ほぼ全てがウマ娘の世界へ還ることを選んでいる。

 

(選択迫られる理由は、ウマ娘は経済的・生物的な面から人間社会での生活が難しい為)

 

 

 

 

 

 

 

〈ウマ娘の家族〉

 

原作設定

 

ウマ娘は人間の男と結婚し、家族となれる。

生まれる子供が全てウマ娘なのかは明確ではないが、ウマ娘はウマ娘からしか生まれないという設定。

(異世界からきた競争馬の魂が胎児に宿ると、ウマ娘として生まれるらしい)

 

 

本作設定

 

ウマ娘は、ウマ娘同士から生まれる。

ウマ娘には、子孫を授けられる『授け種』(牡)と、子孫を産める『産み種』(牝(原作ではティアラ?))に分かれている。

 

史実の牡馬・牝馬と同じで、サイレンススズカやライスシャワーやオフサイドトラップらは授ける種。

ダイイチルビーやエアグルーヴ・メジロドーベルらは産み種。

 

なので、トウカイテイオー・ツルマルツヨシは、シンボリルドルフの子。

メジロブライト・メジロドーベルは、メジロライアンの子。

サイレンススズカ・スペシャルウィーク・ステイゴールドも親が同じ(サンデーサイレンス)。

オフサイドトラップ・ウイニングチケット・エアグルーヴも親が同じ(トニービン)。

 

ただ、この世界で姉妹関係と言われるのは、産みの親が同じな場合のみ(パシフィカスから産まれたビワハヤヒデ・ナリタブライアンなどがそれ)。

なので、授け種の親が同じでも、姉妹感情はない。

 

 

 

〈ウマ娘の結婚・子孫についての本作設定〉

 

ウマ娘の世界に、結婚はない(出来ない)。

 

理由として、より走る為の能力に優れたウマ娘の子孫を残す為の『コウハイ』の仕事があるから。

『コウハイ』は、学園卒業後のウマ娘に与えられる僅かな仕事の一つで、ウマ娘にとって最も大きな意味のある仕事。

(史実で使われる『交配』とほぼ同じ。片仮名の理由は、漢字の『交配』だと人為的な要素が入る為)

 

 

 

〈ウマ娘と『コウハイ』について〉

 

血統や実績が優秀な授け種のウマ娘は、より多くの優れた子孫を残す為、産み種のウマ娘とコウハイすることが将来的にほぼ約束されている。

反面、無実績かつ血統も冴えない授け種のウマ娘は、誕生する子孫の能力に期待がもてない為、殆どコウハイさせられない。

 

コウハイ後、授け種はそこまでが仕事なので、その後授けた産み種と関わることはない。

特に優れた授け種は、年間で数十回以上のコウハイをする。

 

一方、産み種は、子供が胎内に宿ると、約1年後出産する。

優れた産み種は毎年のように子供を授かるので、育児の為に人間の支えも多くいる。

(また、そういった育児等の専門の仕事をするウマ娘も希少だがいる)

 

出産後は、トレセン学園に入るまでの約5年間、ウマ娘専用のジュニアスクール等に通わせながら子育てをする。

 

以上の設定により、ウマ娘は産み種の親(母親)とは明確な親子関係やその感情があるが、授け種の親(父的親)とは親子関係や感情はあまりない。(メジロ家などといった一族を構成しているウマ娘達は例外)

ただ、表向きでそういった感情がないだけで、授け種とその子の間にも本当は深い感情が在るかもしれず、明確には不明。

 

 

〈コウハイ方法について〉

注(*一応作者として設定は考えているが、問題の可能性があるので、読者それぞれの想像に任せる*)

 

 

〈授け種と産み種の差〉

 

トレセン学園卒業後、産み種のウマ娘は無実績かつ血統が冴えなくとも、子孫を残す為に多くの者が交配の仕事を与えられる。(学園卒業後も余生を送られるウマ娘のうち、8割以上が産み種)。なので、授け種の方が現実的には厳しい状況に置かれている。

 




物語が進むにつれ、設定が多少変わるかもしれません。
また、作中で設定について描写することもあると思います。

主な登場人物(ウマ娘)は次ページに記します。



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