【3月5日 時事通信社】国連安全保障理事会は4日(日本時間5日)、ロシア軍がウクライナ南東部のザポロジエ原子力発電所を攻撃し制圧したことを受け、米英仏などの要請で緊急の公開会合を開いた。甚大な放射能汚染を引き起こしかねない行為に「極めて無責任。国際法に反する」(ディカルロ国連事務次長)などと非難が殺到。ロシア側は「ロシア軍による攻撃だというのは、全くのうそだ」と否定した。

 トーマスグリーンフィールド米国連大使は「信じられないほど無謀で危険な行為だった」と強調。負傷者の治療や原発の安全な運転継続を確保するため、ロシア軍に施設からの撤退を要求した。

 ウッドワード英国連大使も「稼働中の原発を国家が攻撃するのは史上初だ」と糾弾。原発やダムなどが紛争時の攻撃保護対象となると定めたジュネーブ条約に反すると訴えた。アラブ首長国連邦(UAE)のヌセイベ国連大使は、東京電力福島第1原発やチェルノブイリ原発の事故に言及し、「人類への影響は計り知れず、そのような事故を二度と起こしてはならない」と主張した。

 これに対し、ロシアのネベンジャ国連大使は「今回の会合は、人工的ヒステリーをたきつけようとするウクライナ政府の新たな試みだ」と反発。原発制圧は「ウクライナのテロリストが核で挑発しないようにするためだ」と正当化した。(c)時事通信社