英語圏で「自由」は2種類ある
ところで英語だと、自由に二種類ある。liberty とfreedom だ。どちらも自由と訳す。英語でものを考える人びとは、二種類の自由があると思っているのだ。どう違うのか。
まず、liberty 。これは、「奴隷でないこと」だ。
昔は奴隷制があった。アメリカには奴隷がいた。奴隷は主人の財産である。主人の言うことを聞かなければならない。自由がない。法的人格もない。人間扱いされないということだ。
奴隷が奴隷でなくなる。解放された。これをliberty という。束縛がないことである。人間らしく生きていける。
生きていくために、働く。財産を所有する。市場でモノを売り買いする。契約を結ぶ。…。これも、自由 libertyである。
モノを市場で売り買いする。政府は介入しないでくれる? この考え方を、自由主義 liberalism という。近代社会の基礎だ。
市場経済には副作用がある。勝ち組と負け組ができる。格差や貧困が広がる。どうにかしよう。税金を使って、福祉をがんばる。政府の出番だ。社会民主主義や、社会主義の考え方だ。
英語でリベラル liberalというと、福祉や格差の是正に熱心な左派、の意味になった。元の意味からズレている。
リベラルに反対し、市場のいいところを見直そう、と考えると、新自由主義である。